第10話 〜多忙〜
カーテンの隙間からまとわりつく様な日光が差しこんで来る。
その日光のおかげか、今日は一人で起きる事が出来た様だ。
・・・本来はそうであって然るべきなんだけどね。
今日は休日だから、特に早起きする必要は無いはずだけど。
「うぅ・・・ん?」
体が動かない?おかしいな・・・。
まだぼやけてはっきりと見通せない目を擦る。
下腹部にはさっきから重みが加わっていて、一向にその重みが無くなる様子はない。
・・・またか。
「あのね? 昨日も言ったけど、僕の上に乗るのは止めてくれないか?」
そう。昨日と同様、リンとシフォンが僕の下腹部に乗ってるのだ
しかもピンポイントで下腹部を狙って来るから質が悪い。
内臓が飛び出しそうだよ・・・。
それに、朝は、ねぇ?
「・・・朝ごはん、作ったよ?」
「早く起きてくださいっ!」
「あー、うん。でも今の僕は、起きようにも起きれない状況にあるんだけどね?」
僕に起きて欲しいと望むなら、僕の上からどいてくれよ・・・。
「あっ、はいっ! ただちにっ」
「・・・ん」
ふう。下腹部に二人分の重みは辛いな。
内臓壊れる。
「・・・あの、着替えたいんだけど?」
なんで君達はそこで僕をじっと見ているんだ?
「どうぞ?」
「・・・早く着替えないと」
「いや、無理。」
うん。僕にも羞恥心くらいあるんだけど。
なんかこの子たちは、・・・ずれてる様な気がするなぁ・・・。
その後、十分に渡る説得の末、ようやく出ていってくれた。
ユウの言葉を借りるならば、まさしくギャルゲーの主人公だ。
・・・ギャルゲーなんてやった事無いけどね。
○○○
「あのぅ、シフォンさん。お聞きしたいんですが・・・」
「・・・どうしたの?」
「これは一体何なんでしょうか」
「・・・目玉焼き?」
「うん。そうだよな。疑問符を付けたくもなりますよ。むしろこの炭化した物質をどう形容したらいいか僕にはわからないんだけどっ!?」
「・・・よく息継ぎ無しの一言で言えたね」
「いやぁ、それほどの事じゃないよ・・・って、話逸れてる! ・・・一体この炭化した物質は誰が作ったのかなぁ?」
「・・・私じゃないよ」
「・・・じゃあなんで目が泳いでるんだ? オラ洗いざらいしゃべっちまいな!」
「・・・やってねぇって言ってんだろこんちくしょうがー」
「見事な棒読みありがとうございます。で、リン。だれがやったんだ?」
まぁ、分かってはいるけどね。
「そりゃもちろん、シフォンですよっ」
「・・・リンの裏切りものぅ」
「・・・リン。シフォンには料理をさせないようにしよう」
「そうですねっ」
「・・・二人とも、酷いよ・・・」
いや、これが妥当な判断だと思うよ。
このままシフォンに料理させておいたらいつか死人が出る。
・・・その内にでも教えてあげよう。
「ま、今日の朝ごはんは僕が作るよ。ちょっと待っててね」
とてもじゃないが、あれは食べれない。
食べたらせっかくの休日を病院で過ごす事になるからね。
○○○
「「「いただきます」」」
朝食は簡単なものにしたから時間はあまりかからなかった。
「「「ごちそうさま」」」
・・・早いとか言っちゃいけない。
朝はいつもこんなものだよ。しかも今日はいつもより簡単な朝食だからさらに早いし。
「リン、シフォン。洗濯物、干してくれないかな?」
「・・・無理だよ」
「そうですねー、無理ですっ」
・・・やっぱりか。
うちの物干しは高いからな・・・。リンとシフォンは身長が低いから届かないんだろう。
・・・結局、僕がやらなきゃいけないのか・・・
・・・はぁ。
おっと。溜息をつくと幸せが逃げるって聞いた事があるな。
これ以上苦労が増えない様に控えよう。
○○○
「あー、結局リンとシフォンの部屋を掃除しただけで今日一日潰れたな・・・」
リンとシフォンがいま使ってる部屋は、元々空き部屋だったから、埃がたまっていたのだ。
「リン、シフォン。明日はデパートに行って服やら家具やら一式揃えに行こうか」
「・・・そんなに気を使わないでもいいのに」
「そうですよっ」
「それがそういう訳にも行かないの。もうリンとシフォンは日下部家の一員だから、ちゃんとした部屋が無いとね。だから、明日はデパート行くよ?」
「はいっ」
「・・・ありがと」
「ん。じゃ、今日はもう寝ようか。埃も無いから昨日よりは寝やすいはずだよ」
「・・・おやすみなさい」
「おやすみなさいですっ」
「うん。おやすみ。・・・シフォン、明日は朝ごはんは作らないようにね」
「・・・分かったよぅ・・・」
「シフォンっ、またボクが教えてあげるからねっ」
「・・・ありがとリン。」
リンとシフォンは話し合いながら二階へ上がっていく。
今日は長かった様な、短かったような・・・
・・・さ、僕も寝よう。
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