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メタモルフォーゼ

「いやぁ! 熱い戦いでしたね。とても素晴らしかったですよ」


 ラムレスさんも拍手を送っている。

 転移で持ってきた品などと違い、若干世辞が入っている様な気がするな。

 あ、オレンジグローブナイトウォールラスはぞろぞろと帰還を始めたぞ。


「ま、俺も近々剣の強化予定だぜ」

「その時は是非とも観戦側に回りたいもんだ」

「残念だが羽橋はその頃はそれ所じゃねえかもな」

「……萩沢、何を企んでいる」


 俺の詰問に萩沢が視線を逸らす。

 いや、本当何を企んでいるんだよ。


「やったな! これで羽橋も強くなったな」

「依藤……はぁ。もう指摘するのも疲れた。実さん、回復をお願い出来る?」

「うん」


 という訳で俺は実さんに回復を施して貰っている最中にグローブを確認した。


 オレンジグローブナイトウォールラスのパンチグローブ 付与効果 動体視力向上 風の拳 アイスグローブ 野生の勘 水中活動 氷耐性(中)グローブスイッチ インスタント拡張能力 水の衣 ボクサー


 ボクサー能力も色々と拡張したっぽい。

 というか……付与能力多いな!

 そろそろ整頓とか掛りそうなくらいあるぞ。


「グローブスイッチ? うわ!」


 グローブスイッチと呟くと、グローブの形状がベビーブルーパンチングベアのパンチグローブに戻る。

 付与能力もそっちに変わるみたいだ。


 基本武器性能は共通で、付与効果のスイッチっぽい。

 形状変化に時間差は無い。

 随分と上がってきてるな……攻撃力だけならメタルタートルの剣は越えたぞ。

 フルメタルタートルの剣には追いついていないけどさ。


 しかし……これって水中装備じゃないか?

 あのボスとの再戦も近そうだ。


「ガウー!」


 グローブを外すとグローブがクマ子に変化する。

 同時に俺の目の前にベルトが落ちる。


「クマ子ちゃんもおつかれさま」

「ガウー!」


 まあ、戦闘中、俺の能力を底上げ&アシストしてくれていたのは分かる。

 元々その手の能力を所持しているみたいだったしな。


 オレンジグローブナイトウォールラスの王者のメダル 効果 王者防衛 グローブ強化 1VS1 使用可能 グローブ性能アップ


 ……基礎性能が上がっているし、グローブとのセット効果まで発揮している。

 残念だけどクマ子しか装備させる気は無いけど。


「ガウー」


 で、次はクマ子か?


 ◇パンチングベアー Lv32

 能力 ボクサー

 拡張能力 分厚い毛皮 スタミナアップ ハニーハント

 特殊能力 アシスト インセクトキラー メタモルフォーゼ


 お、30から伸びる様になった。


「メタモルフォーゼ?」


 何か特殊能力が増えている。

 一体なんだ?


「お? なんだ? クマ子が何か覚えたのか?」

「ああ、特殊能力の項目にメタモルフォーゼってのを覚えた」

「単純に変身って事なんだろうが……」

「ガウー!」


 試すとばかりにクマ子が両手を上げて……クマ子の周りに何やら魔法文字が出現して包み込む。

 そして、その光が弾け……クマ子が立っている場所にナイトウォールラスが立っている。

 ああ、さすがにボスクラスの大きさじゃないぞ。

 オレンジナイトウォールラスの標準より……少し小柄か?


「ヴォフー!」


 で、目付きというかなんと言うか、纏う空気が完全にクマ子で俺に擦り寄って来る。

 それでも2メートル40センチくらいはあるのでクマ時よりも大きくなってる……のか?

 直立で立っている訳じゃないけど体積は大きくなってると思う。

 牙は雄と違って短めだけど。


「えっと……」

「メタモルフォーゼ、ユニークウェポンモンスターがいる状態で上位の魔物を倒すと、その魔物に変化する事が出来る様になるそうですよ。でなければ劇的な強さの変化に追いつけないかもしれませんからね」


 ラムレスさんが補足してくれた。

 この辺りの情報はやはりこの世界の人の方が詳しいな。


「あ、そうなんですか」


 ◇ナイトウォールラス Lv32

 能力 ボクサー

 拡張能力 分厚い皮 スタミナアップ ハニーハント

 特殊能力 アシスト インセクトキラー メタモルフォーゼ 水中適応(中)


「何か特殊能力が増えてる……水中適応(中)って」

「ヴォフッ! ヴォフ!」

「これで海の中もクマ子、じゃないなセイウチ子は行ける様になったって事じゃねえか?」


 萩沢が呟く。

 わかってるって……だが、何故海の中へ行く事前提?

 そもそもお前のネーミングセンス、なんとかならないか?


「まあ……劇的なグローブ強化が出来たからセイウチ子……クマ子で良いだろ、は強くなったな」

「ヴォフ!」

「とりあえず羽橋に盛大な拍手をー!」


 と、依藤が言うと観客をしていたクラスメイトが揃って拍手をし始める。

 完全に見世物にされたぞ。

 なんか悔しい。


「思った事をそのまま言え。ここでグッと堪えるのは幸成らしくないぞ」

「わかったよ……みんな覚えてろよー! この中の誰が似た様な試合をしても不思議じゃないんだからなー」


 と言うと心当たりのあるクラスメイトが嫌そうな顔をし始める。

 そりゃあ強くなるって言っても、こんな試合をしないといけないってのは嫌だよな。

 とはいえ、望まぬ能力を授かった奴等はこうでもしないと戦い辛い世界なんだからしょうがないか……。

 ま、こうしてクマ子の能力が再度上昇する様になった訳だ。


「あははーセイウチー」


 実さんがセイウチとなったクマ子の背中に乗る。

 貴方はクマ子に乗るのが本当に好きですね。


「実さんも何か……この際、ワラビーからがんばってパンチングベアーをテイミングしたらどう?」

「ヴォフ?」


 俺の言葉に実さんは首を横に振る。

 嫌なのか?


「ううん。私が好きなのはークマじゃなくてクマ子ちゃんなんです。もちろんクマも好きですけどね」

「はぁ……」

「だから私は必要ないですね。クマ子ちゃんとお友達だから、他にクマさんはいらないんです」


 実さんなりのルールみたいな物があると……よくわからないけど。


「よーしクマ子ちゃん、海へ一潜り」

「今は夜です! 明日にしてください!」


 夜の海へ実験に行くのはやめてください!

 村の結界から離れているので危ない。


「えー……わかりましたーじゃあ明日泳ぎましょうね」

「ヴォフ」


 と言う事で俺達は滞在している宿にみんなで戻る事になったんだけどー……。

 ナイトウォールラスの姿で俺達に同行しようとして、クマ子は陸上での足の遅さに気付いたっぽい。


「グローブに戻るか?」

「ヴォフヴォフ」


 クマ子は首を横に振り、実さんに降りる様に顔を動かす。

 実さんがクマ子から降りると、クマ子はまたも魔法文字を出現させて包み込まれた。


「ガウー!」


 そしてパンチングベアーの姿に戻る。


「ああ、そっちにも戻れるのか」


 これからは陸上じゃ足の遅いセイウチと同居かと思ったけど、クマに戻れて良かったな。

 こう……付き合いが長くなってきた影響か、クマの外見に愛着もあったし。


「じゃ、帰ろう」

「ガウ! ガウガウ!」


 クマ子はパワーアップしたグローブを手に嵌めてこれでもかと言う程ご機嫌だ。

 鼻歌交じりに歩いてる。

 グローブを見て、俺でも分かるくらいニヤニヤとしてるなぁ。

 まるで誕生日プレゼントを貰った子供みたいな動作と言うのかな?

 どちらにしてもクマ子にはこれからもがんばってもらわないと。

 一緒に強くなって行けるなら何よりも良い事だ。


「次のグローブ強化はいつになります?」

「あの……それはもう少し先じゃない? というか実さんはボクシングが好きなの?」


 格上と戦うから出来ればもう少しLvやグローブ自体を強化して挑みたい。


「んーなんかとても楽しいんです。だから次はいつになるかなって思って聞いただけですよ」


 無自覚なボクシングマニアとか……なのかな?

 まあ、いいか。

 なんて片付けようとした所でラムレスさんが歩調を合わせて答える。


「ユニークウェポンモンスターのボス試合ですね? ボクサー系は射程や縛り等の影響もあって探せばいるかもしれませんよ?」

「かと言って毎度格上はちょっと……」

「同格のボスに挑んで変化可能種類を増やすと言う手もありますよ? 何分、格上に有利な戦いが出来る様にと、国も情報を集めておりますので」

「ああ……そうなんですか」


 あくまで俺のイメージなのだが、ワラビーがLv5、ナイトカンガルーがLv10、パンチングベアが15……か?


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