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「Lvが上がったのか?」

「ああ……えっと拡張能力は……」


 ここで本当の事を話すか?

 何か捻りを……ポイント相転移を話すか?

 確認の為に使用する。


 視覚範囲を設定しました!


 で、他に二箇所設定箇所一覧が浮かぶ。

 設定した箇所を確認すると、別アングルでこの場所が見える。

 なんか不思議な感じだ。


 アレだ、スマホとかをカメラモードで見てる感じだ。

 これは間違いなくめぐるさんの千里眼と同一規格の能力と見て良い。

 めぐるさんが5で覚えた事を俺は10か……とはいえポイント相転移は悪くない能力だ。


 どっちを話す? 茂信達にとって有益だと思われる能力は?

 5で実質ポイント相転移の恩恵は話したようなもんだから……今回は誤魔化さずに話すか。


「視覚転移……設定した所を遠くでも見る事が出来る能力みたいだ」

「めぐるさんの千里眼と同じ能力だな」

「そう、相手が動かなければ遠くに物を飛ばせるようになったって事だ」

「やったね!」

「ああ」


 今まで罠に掛った魔物を俺が山勘で仕留めるしか出来なかった。

 めぐるさんは千里眼と物質転送で物を投げつける事で倒せる訳だし、一歩遅れているけど、便利なのは変わらない。

 これからはもっと正確に仕留められる。

 という所で萩沢が手を上げる。


「羽橋」

「ん? どうした?」

「それって遠くの物を引き寄せたり出来ないのか?」

「どういう意味だ?」


 茂信が萩沢に尋ねる。


「だって羽橋の転移って遠くの物を取り寄せたり出来ないだろ? それって遠過ぎて見えないから出来なかったんじゃないかって思ってさ」


 ああ、なるほど、確かに出来ない手じゃないかも?


「試してみる? 例えば工房にある道具を登録して置いて取り寄せられるかとか」

「だな。そんなに時間が掛る訳じゃないし、休憩も兼ねて戻ろう」

「了解」


 という訳で一旦工房に戻り、俺は工房を設定箇所にした。

 ……もしかしてこれって日本でも使用できるのだろうか?

 嫌だなぁ……俺が居なくなって忘れられている状況とかどっちでも見たくない。

 まあ出来るんだからやるけどさ。

 で、工房で一旦休憩をしていると実さんの健やかな寝息が聞こえてきた。


「今の所、それほど大きな怪我をしてないし……起こさなくても良いよね?」

「ああ、問題ない」

「その分、経験値の入りは良くないが、命には代えられないもんな」


 萩沢の言葉にみんな頷く。

 別に俺達は死にたいから戦っている訳じゃない。

 自分達の立場を守る為に戦っているんだ。

 実さんの健康を守れなくて、みんなの立場を向上なんて出来る訳がない。


「じゃあ登録も終えたし、取り寄せ出来るか試してみる」


 茂信の工房に立てかけられているボーンソードを机に置いて、出発する。

 で、移動先で俺が視覚転移を使用して片目で、狙いを定める。


「……お? 砂時計出現」


 五分後……足元にボーンソードが出現した。


「おおおお! という事は罠で仕留めれば昼間でも羽橋はLvを上げられるな」

「そうだな。遠隔で動かない相手なら尚の事狙いやすい」

「動くならめぐるさんがやれば良いんじゃない? 投げる物は俺が引き寄せるし」


 上手く行くか怪しいけど、失敗したら引き寄せられるのは強みだ。

 待ち戦法だけど、悪い手ではない。

 あんまり重い物は引き寄せるのが大変だから注意しないと行けないけどさ。


「ま、俺の拡張能力はわかったから今度は茂信と萩沢だ」

「楽しみになってきたな」

「おうよ!」


 と言う訳で、割と気分良く俺達は三時間程狩りをして行った。


「数が多かったり、地味に強かったりして大変だな」

「そうだな……休憩に帰れるのが救いだな……お?」


 そこで……水の音が聞こえてきた。

 音の方角を見ると僅かな光が見える。


「なんだろう?」

「行ってみるしかないだろ」

「そういや安全そうな所を回っていたけど、未踏の部分に入ってたのか?」


 かもしれない。夜は方向感覚が狂いがちだからな。

 戦えたから気づかなかったのか?

 コンパスとかも最近じゃ取り寄せて歩いていたから大丈夫だと思っていたんだが……。


「警戒しながら行ってみよう」

「OK」


 音の方へ行く。

 すると……。


「わあ……」


 そこには10メートルくらいの泉があった。

 湧水がコンコンとしたから湧きだし、小川となって下流へ流れて行っている……のかな?

 その泉の底が淡く発光し、蛍のような光が昇って行く。

 なんとも幻想的な光景だ。

 この蛍みたいな光が魔物とかだったら危ないのだが……。

 警戒しながら確認すると、特に敵という訳でも無く、視覚に魔物名も出現しない。


「すげーなー実さんにも見せてやりたい光景だ」


 萩沢の言葉に俺達も頷く。

 後で連れて来ても良いかもしれない。


「井戸水じゃないけど飲料用の水になりそうだな」

「採取して鑑定して見るか」


 萩沢が水を組み取って確認する。


「おい。坂枝、羽橋、これを見てくれ」

「ん?」


 俺は萩沢が鑑定した水を見る。


 魔物避けの聖水 効果 魔物避け 魔力回復 ポイント価値 50

 魔物の嫌がる魔法効果のある聖なる泉の水。

 体に振りまけばしばらく弱い魔物を退かせる事が可能。

 戦闘中に魔物避けの効果は無い。


「ほー……もしかして俺達のLvが低かったから見つからなかったとかか?」

「ありえるわね」

「聖水? 確か聖なる武器とかに使うはずだぞ?」

「そういう武器もあるのか」

「ああ、谷泉達の話じゃ闇とか不死とかの魔物に効くだろって推理していたはずだ。確か谷泉達の方は……解毒の聖水だったかな? 魔力回復目当てに採取していたはずだ」


「……こんなのあったら俺の役目はますます減るな」


 萩沢が愚痴り気味に呟く。

 まあなぁ。結界能力の奴もコレを飲まされていたのだろうか?

 どれだけ回復するかは知らないが、腹がパンパンになるまで水を飲むのは嫌だな。


「位置を登録しておくか? 指示があれば転移で持って来れるぞ?」

「こういう時に羽橋は便利だな。性能も高めだから道具作成でも使えそうだ」

「何に使うか知らないが……」

「聖なる武器作りの材料にも出来る。今後使うかもしれないし、武器を冷やす時に使う水に使用したら品質を上げられそうだな」


 そういう発想もあるか。

 となると良い水の確保は重要だよな。


「というか、小川があるから下って行けば川とか発見出来るかもよ?」

「そうだね。人里を見つけられるかも? それにしても……幻想的で良いなぁ」


 めぐるさんがうっとりと蛍のような光を目で追っている。

 確かに。

 なんとなく心が洗われる様な気がしてしまう。


「オアシスみたいだけど、明日には枯れてたりしてな」


 ……あのなぁ。

 萩沢、空気読め。


「そうだったら嫌だな。多めに採取しておくか?」

「よし、羽橋、コップとか水筒を引き寄せてくれ」

「あいよ」


 茂信の工房にある食器を引き寄せて水を汲み、工房に送って置く。

 ま、これで多少は確保できただろう。


「魔物避けだから、ここって安全地帯になるんじゃない?」

「弱い魔物限定かもしれないから、下手に滞在して強力な魔物が出てきたら危なくない?」

「あー……確かに」


 という訳で、凄く名残惜しいけど俺達は小川の方を辿って移動した……までは良かったんだけど、岩場みたいな所まで行った所で小さな穴みたいな亀裂に入って行くだけだった。

 残念……。


「岩場って事は採掘出来るな」

「ああ、幸成が取り寄せたピッケルが役立つな」


 登山用品店で見つけた小型のピッケルを茂信に手渡している。

 ガツンと茂信がピッケルで岩場の壁を砕いて確認する。


「火熱結晶、水結晶……鉄鉱石……おお、結構良い素材が見つかるな。前に話した珍しい鉱石だ」

「こんな所にあるのか?」

「そうなんだろうな。純度も高い。谷泉達の行く場所は随分先の話のはずだったが……」

「技能持ちだと入手難易度が軽くなるとかじゃないのか?」

「かもしれない。良い傾向だな」


 なんて感じにマッピングしながら魔物を倒して行く。

 やがて茂信と萩沢がLvアップした。

 殆ど同時だったな。


「Lvアップしたぞ。どうにか10になったな」


 茂信がステータスを確認しながら呟く。


「こっちもな」

「何が出たか教えてくれ」


 で、確認していた茂信は目を輝かせて言い放つ。


「強化だそうだ。どうやら特定の素材とポイントを使用して武具を強化する事が出来るようになったらしい」


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