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オトモキャット

 そうだなぁ。

 仮にこの能力が無かった場合、どうなっていただろうか?

 異世界で手に入れたポイントを金銭に出来ない状況で、円をどうやって手に入れるか?

 金貨でも持って質屋にでも行くとかか?

 なんかその辺りはいろんな所で繋がっているからあんまり稼げないとかどっかで読んだ様な気がする。

 そもそも金とかってシリアルナンバーがあって安易に取引出来ないとか。


 魔物の死骸を素材として売る?

 無理だ。そんな物売れない。

 異世界の植物を日本に持って行って新種発見だって発表して儲ける?

 時間掛り過ぎるし、手続きやいろんな意味で厄介事に巻き込まれそう。


 ふむ……手がありそうで無い。

 思えばこの能力に随分と助けられているんだなぁ。

 これが無ければ交易で儲けるなんて出来なかった。

 日本に帰れても、買って来る事なんて無理だったかもしれない。

 って話が逸れた。


「ポイントを金以外にも変換出来るかか……」


 俺は再度、ポイント相転移を指定する。


 円

 ドル

 ユーロ

 ライクス


 いつもこれで選んで変化させているんだよな。

 特に何も不思議に思っていなかった。

 まあ確かに金に変化するにしても円とドル、ユーロしかないのはおかしいよな。

 俺も詳しい訳じゃないから適当な事は言えないが、世界には様々な貨幣がある訳だし。


 ……経験値にならないかな?

 するとユラッとライクス国の貨幣の下に……EXPという項目が出現した!


「……EXPって項目が出たぞ」

「ポイントを経験値化させる事が可能なのか!?」

「変換比率があるだろ。試しに指定してみろよ」

「待て、俺達にも授けられるのか?」


 茂信と萩沢の言葉に俺はEXPを茂信達に施せるか行ってみた。

 ……出ないな。

 ポイントをEXPに変換する事しか表示されない。

 試しに100EXPを指定すると、そのまま100ポイント分変換されて……俺の経験値になった。


「……無理みたいだ。経験値化させて茂信達に与えるとかは出来ない」


 逆に経験値をポイントにさせる事は出来るみたいだ。

 これって俺のLvを下げる事も出来るって事だよな……。


「幸成限定か」

「だけどポイントを経験値に出来るって凄い能力じゃねえか? 使えるようになって今まで使って無かったら制限プレイをしていた様なもんだぞ!」


 うわ! 激しく恥ずかしい。

 自覚はあるけど、俺は完全に馬鹿じゃないか!

 もしもこれで上手く、運用で来ていたらもっと上手くやれていたはずだぞ。


「とにかく、羽橋。お前はポイントを経験値に出来るなら振りこんでLv上げろ! もう、戦いに行かなくても交易と転職斡旋で経験値を稼げるんだからよ!」

「……そうだな」


 依藤達に上げてもらう必要も無く、稼いだポイントを振りこむ事で経験値を稼げるならやらない手は無い。

 というか……これって経験値だけじゃなくてステータスとかも振りこめるかもしれないぞ。

 やり方がわかったら可能性は無限に広がる!


 だが、それよりもまず、俺はみんなを日本に返す拡張能力を早く得たい。

 Lvの方が重要だろうな。

 そうすれば、謎の遺跡攻略とかしなくたって、魔王が出てくるかもしれないなんて事を警戒する必要も無くみんなを日本に帰せるんだから。


「じゃあこれからしばらくは手に入ったポイントを経験値に変換して行くよ」

「ああ、レートは悪いかもしれないけど、そうすれば依藤達よりも高Lvになれるかもしれないからな」

「ガウー」

「ニャ!」


 こうして俺はポイント相転移を作動させて、所有している殆どのポイントを経験値に振りこみ始めたのだった。

 そうして急激にLvが上昇し、その度にいろんな拡張能力が出てきたのだけど……結局、みんなを日本に帰せそうな拡張能力は出て来なかった。



 国中が遺跡の変化に活気づきつつある状況。

 ま、遺跡の調査とかで先延ばしになった、実さんが率先して行くクマ子と俺のパワーアップイベントの予約が取れたらしい。


「こっちこっち!」

「ガウー」


 実さんがクマ子と手を繋いで俺達……茂信と萩沢、そしてミケを連れて行く。

 ちなみに実さんはこのイベントの為に休暇を取ったそうだ。

 俺の方は……一応、仕事や交易品を持って来るために時々転移で国に戻る事になっているんだけどさ。

 依藤達は相変わらず遺跡の調査とLv上げをしている感じ。

 他に、クラスメイトで試合鑑賞をしたい暇人が野次馬として一緒に来る事になっている。


 で、やっぱり行くのはボクサー系のユニークウェポンモンスターと戦えるボクサー島って所だ。

 この前行った海岸とはまた違う沿岸にある島に存在する。

 割と観光地化している島……らしい。

 俺達はその島に向かう為に定期船に乗っている。

 ユニークウェポンモンスターの生息する諸島を巡るそうだ。


「というか実さん、俺はボクサーを続けるかどうか決めてないし、キックボクシングとかに転職させるか考えているんだけど?」

「ガウー」


 あ、クマ子が露骨に嫌そうな顔をしてる。

 別流派への転職は嫌がるらしいからしょうがないか。


「え? 幸成くん嫌なの?」

「そうじゃないけど……まあ、転職の方はいつでも出来るらしいから良いけどさ」


 対応の魔物さえ倒せれば問題は無いし、クマ子のパワーアップの為には挑んだ方が良いか。


「ま、依藤達のお陰で幸成自身がかなり強くなってるし、強くなるには良いんじゃないか?」


 茂信が気楽に答える。


「そりゃあそうだけどさ」


 未だに俺はめぐるさんの形見の剣を使うか、クマ子のグローブで戦うかを悩んでいる。

 答えは……出したくない。

 ああ、俺も能力転移で依藤の剣術……いや、その下のライクス流剣術でも良いから習得出来れば良かったと言うのに。

 さすがにポイント相転移で能力をポイントで変化とかは……出来なかった。

 出来たら良かったんだけどな。


「クマ子を仲間として戦わせた方が強いって事だろ? そりゃあ悩み所だな」

「ニャー」


 ミケが萩沢の手を握って鳴く。

 確かに……その悩みが付きまとう。

 実際、ユニークウェポンモンスターを仲間として使役している人達が共通で悩む問題だそうだ。

 武器として使うか、仲間として戦ってもらうか……状況次第で切り替えるのは当たり前だけど、どちらにしても付きまとう問題だ。

 その為に予備のユニーク装備を所有する者もいるのも事実だけど、俺が使いたいのは形見の剣な訳で、そうはいかない。

 悩ましい問題だな。


「ま、どっちにしても萩沢、お前の試合もあるんだからな?」


 職業神殿のコネを俺は強引に使って剣術のユニークウェポンモンスターの予約をもぎ取った。

 というか……予約している奴のキャンセル、俺のお陰でライクス流剣術を手に入れた奴の予約を譲ってもらったのだ。

 俺が能力転移を施したお陰で不要になったって事らしい。


「く……羽橋、余計な真似を」

「剣術の予約は取れないと思ったら大きな間違いだぞ?」


 萩沢には十分に見世物になってもらおうじゃないか。

 剣術の島に行くのが楽しみだ。


「ニャ!」


 ミケは俺が予約を取っていた事に対して感謝とばかりに頭を下げる。

 礼儀正しい奴だな。

 最近じゃクマ子と同じく、みんなの玩具として着せ替えをさせられているミケ。


 というか……モンスターをハンティングするゲームのプレイ動画や携帯ゲーム機プレイの視聴の影響でサーベルキャットの需要が凄い事になっているらしい。

 正確には小型ネコ系のユニークウェポンモンスターが、だけどさ。


 サーベルキャットに至っては五年先まで予約が埋まったそうだ。

 オトモキャットが欲しいという事か。

 職業神殿では猫系のユニークウェポンモンスターの予約権の売買に目を光らせているとか。

 ゲームの副次効果ってこんな所にも出るんだな。

 茂信から聞いた話だと、冒険者が欲する装備にもいろんな変化が出ていて、コスプレと言うか ……ハンティングゲーム風の装備に加工する依頼が増えているらしい。


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