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ニューキーツ 作者:奈備 光

5章 チョットマの冒険

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80 呪われた三つの色

 木、鉄、セラミックのプレート。
 ンドペキはどれを取ればいいのか、全くわからなかった。
 水中の影が示唆したように、スゥが話したことを思い出そうとした。

 魔法、魔物、化け物……、そういった言葉が断片的に記憶に残っている。
 いろいろな危険の例を、面白おかしく話して……。
 しかし、その話の中身は、どうしても思い出せない。
 記憶にあるのは、生気を吸い取る化け物、という単語だけだ。

 水中の影が、スゥが話したことを思い出せというのは、そもそもそのときの話なのだろうか。
 そのとき以外に、スゥがこの恐ろしい男の話はしなかったように思うが。


「クソ!」
 声の男が攻撃して来ないことは、もうわかっていた。
 そのつもりなら、とっくに自分の体は真っ二つになっている。
 このまま引き返そうとするなら、恐怖の装置を発動させるのかもしれないが、今のところ、なんの動きもなかったし、もう声を掛けてくることもなかった。

 単なる、戯言ではないか、とも考えた。
 木であれ、鉄であれ、セラミックであれ、どの小片を取っても、なんらかの通路は開く。
 そのうちどれかは出口のある通路だ。
 声の主は、こうやって悩み苦しむ者を見て、楽しんでいるだけなのではないのか。

 しかしそれなら、わざわざ水中の影が、スゥの言ったことを思い出せなどと、言うはずがない。
 いや、あの水中の影も、仕掛けのひとつなのだろうか。


 もうひとつ、ンドペキを悩ませていることがあった。
 思い始めていたのである。
 あの水中の黒い影は、JP01ではなかったかと。

 もう、私を忘れたの。
 会いたいっていうから。
 と、影は言ったのだ。

 それは、とりもなおさず、JP01ではないか。
 KC36632は、JP01にこちらの希望だけは伝えてくれたのではないか。
 だから、JP01はここに来たのではないか。


 もし、あの影がJP01であれば、その言葉には重みがある。
 信用してもいいとさえ言える。

 パリサイドは、チョットマとスミソを救ってくれた。敵軍の動向やハクシュウやチョットマの消息を知らせてくれ、スジーウォンに急を知らせてくれもしたのだから。
 だから、あの影が言うように、スゥの言ったことを思い出さねばならない。

 しかし、全く思い出さないのだ。
 いかに危険か、軽口のように挙げたてていた言葉が、それほど重要なものだとは思ってもみなかった。
 あのときの言葉が後になって、というのはよくある話だが、まさかこんなことになろうとは。

 呪いの板は三枚。
 ひとつは木片、ひとつは鉄片、ひとつはセラミック片。
 木片は夢を表し、鉄は血を表し、焼き物は時を表す。


 夢、血、時。
 どれなんだ!
 なにを選べばいいのだ!
 わからない……。

 ンドペキは空洞の辺りを、改めて調べ始めた。
 久しぶりに、声が聞こえた。
「フフ、無駄だ。どんな爆薬を持ってきても意味はない。この洞窟もろとも吹き飛ばすなら、話は別だがな」

 男は、まだ見ていた!
 そして笑いやがった!
 やはり、楽しんでいやがる!
「選べ!」
「くそ!」
「え・ら・べ!」


 しかし、それからというもの、どんなに罵詈雑言を浴びせようとも、どんなに懇願しようとも、そして状況を丁寧に説明しようとも、もう一言もなかった。

 時間切れだ。
 これ以上、時を無駄にすることはできない。
 選ぶしかない。


 木か、鉄か、セラミックか。
 夢か、血か、時か。

 常識的に考えれば、血はない。
 夢か、時か。


 ンドペキは、木の小片が載ったテーブルに近づいた。
「夢を取るのか」
 声が聞こえた。

「クッ」
 遊んでいやがる。

「よかろう。夢を取れ」
「うむう」
 ンドペキは唸った。

 声の主は、迷わせて楽しんでいる。
「これを取れば、どうなる!」
「さあな」

 迷えば迷うほど、声を楽しませるだけだ。
 俺にはもう時間がない!
 所詮、これは遊びだ!
 卑劣な遊びに付き合っている暇はない!

 ンドペキは木片を掴んだ。
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