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姫勇者ラーニャ 作者:松宮星

新たな仲間と覚悟と愛と

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全ては憧れから! 時を遡って!

 イスファン郊外の荒地。
 そこには、盛り土だけの墓が幾千も並んでいる。時と共に形を変え土饅頭すらなくなるそこには、王族の墓もある。
 ペリシャ教には、死者を祭るという発想はあまりない。死は穢れであり、亡骸はただの抜け殻なのだ。来るべき未来の審判まで、亡くなった者は眠り続け、その眠りに生者は関わらぬのだ。
 三年の間、死者を祭り続けるシャイナ教や、一定時期ごとに法要をするインディラ教の対極とも言える思想だ。


 オレは土砂の小山すら残っていない墓所の前で、手を合わせた。
 ペリシャ国から墓参りの許可をもらってくださったサントーシュ様と、護衛のイムラン様が同じように手を合わせる。
 そこに眠っていらっしゃる過去の英雄――二代目勇者の従者――シャダム様への敬意を胸に。


 聖人サラディアス国王が最期に願ったのが、魔の穢れを大地から祓う事だった。
 王宮の庭園から広まったそれは、首都イスファンを覆い、更にイスファン周囲の荒地や砂漠へと広がり、やがて消えたとの事だ。
 魔に蹂躙され穢れきっていたこの墓所も、サラディアス様によって清められている。
 こうして、墓所を訪れる事がかない、穢れが祓われた今を目にでき、たいへん嬉しい。
 浄化してくださったサラディアス様と、墓参りの許しをペリシャ国より得てくださったインディラ僧のお二人への感謝の気持ちを新たにした。


 勇者の従者であるオレ達は、国王ばかりか世継ぎの王子を全て失ったペリシャ国の建て直しに協力した。
 と、言っても、オレの仕事は大魔王戦を語るぐらいなものだったが。
 移動魔法が得手なサントーシュ様と、カルヴェル様の分身は、とてもお忙しそうだった。お二人が、物資や人間の移動を手伝われなければ、ペリシャ国の混乱は五倍にも十倍にも広がった事だろう。
 地方の太守であるサントーシュ様の甥御様が、次代国王に就く事が決まり、ペリシャでのオレ達のなすべき仕事は一段落した。
 ジライさんの部下達も、もう合流ずみ。
 後はこの国を去るのみとなっていた。


 インディラ教時期大僧正候補という高い身分にありながら、サントーシュ様は驕ったところが全くない、穏やかで徳深い方だった。
 又、サントーシュ様の護衛役であるイムラン様も、気さくな気持ちのよい方だ。
 お二人がペリシャの為に尽力する姿は、インディラと長く敵対してきた人々の心をも動かしたのではないかと思う。
 ナラカ戦の後も、変わらず世が続き、両国が良好な関係を築けてゆく事を願いたい。


「ありがとうございました」
 オレはサントーシュ様に深々とお辞儀をした。
 ずっと、シャダム様の墓の事が気がかりだったのだ。死者達の眠るこの地が穢されたままではないか、心配だったのだ。
「いいえ、こちらこそお役に立てて嬉しいです」
 サントーシュ様は、大僧正候補にふさわしい笑みを浮かべていらっしゃる。
「英雄シャオロン様と英雄シャダム様の親交は、よく存じておりますから」
 霊感体質のオレは、十三の時、この地で英雄シャダム様の霊とお会いした。従者仲間ゲラスゴーラグン様への伝言を勇者に託したくって、シャダム様は目覚められたのだ。あの方の教えのおかげで、オレは勇者の従者として正しく生きられた。あの方は、オレにとって恩人なのだ。
「お二人のお話はナーダ様のお口から伺っておりますし、我等は『女勇者セレス』の愛読者なのです。シャオロン様の事もよく存じていますよ」と、イムラン様。
「愛読者?」
「『女勇者セレス』が、各寺院の書庫にあるのですよ。ウッダルプル寺院には閲覧用が各巻十冊あります」
 びっくりした。
『女勇者セレス』は事実にそって書かれてはいるものの、真実とは異なる部分も多く、更に言えば勇者一行を美化しすぎている。勇者一行の旅をおもしろおかしく大袈裟に描いた、娯楽活劇本なのだ。学問書ではない。
「大衆読本が寺院に置かれているのですか?」
「ええ。あの本は例外でして」
 イムラン様がカカカと笑われる。
「大僧正様のおはからいで、歴史書の分類に入っておるのです」
 歴史書……
 寺院が歴史書として保管していたら、あの本が真実として後世に伝わるのではないか?
 オレがその不安を口にすると、サントーシュ様が、その通りですね、あの本が真実と思われては困りますと難しい顔をされた。
「あの書は、バランスが悪すぎます。私見ですが、セレス様への描写が三十六、赤毛の戦士アジャン様の描写が二十二、シャオロン様が二十、忍者ジライ様が十四に対し……ナーダ様の描写は八ほどしかないのです。許しがたい事です。あの本だけでは、ナーダ様の真実はまったく伝わらない!」
 穏やかなサントーシュ様が珍しく、強い語調でおっしゃる。
「武に秀で、知的で慈悲深くお優しく、それでいてお心遣いも細やかで……。大僧正候補でありインディラ(いち)の武闘僧……両称号を共に抱いた先達は少ないのです。更に、ナーダ様は、寺院のあらゆる分野に優秀な功績を残し、後人の指導にもご熱心な方でした」
 うっとりとした顔のサントーシュ様。
 イムラン様も大きく頷かれる。
「ナーダ様が、我ら年少僧を三十名ほど集めて、講義してくださった日々は……今でも昨日のことのように思い出せます。全ての者が理解できるよう根気よくご指導くださり、敏い者には別に課題を与え、学業が苦手なものには実例をもって噛んで含めるように教えてくださって……」
「最終日にそれぞれにお言葉をくださった時には、涙が出ました。大僧正候補であらせられたあのお方が、年少僧の一人一人に、話しかけてくださったのです。全員違う言葉で。進歩を褒め、長所を称え、欠点をご指摘くださった上で改善策をご教授くださり……。我々全員をしっかり見ていて下ったのです」
「ほんに、あのお方こそ真の大僧正候補でありましたなあ」
「セレス様との旅でも、ナーダ様がご活躍だった事は間違いないのに……あの書の作者はわかっていない」
「ええ、ええ。ナーダ様は現在は国王として、インディラ国を正しく導いているお方……国王としても比類なき尊きお方……ナーダ様に勝る方はおられぬというのに……」
 お二人がぽわ〜んとした顔で、宙を見つめる。
 えっと……
 そういえば、ナーダ様、寺院の方々からすごく慕われていたよな。
 ナーダ様がお姿をみせると、僧侶様達が押し寄せるように集まって来て、一言をいただくだけで感激の涙を流す方もいたりして……
 そうか……
 サントーシュ様達も、ナーダ様の信者(ファン)だったのか。
 ナーダ様が還俗なさった頃、お二人は十才ちょっとだったはず。年少僧時代に、素晴らしい指導者ナーダ様に出会って、心酔したわけか……


「ナーダ様を慕っていらっしゃるんですね。それほどご好意を寄せられているとは気づきませんでした」
 と、オレが婉曲的に言うと、お二人は照れたように笑われた。
「表に出さぬようにしていますので」
「ガジュルシン、ガジャクティン様達には、どうぞご内密に」
 何故です? と、問うと、お二人の笑みは苦笑になった。
「昔、大僧正様に叱られまして……奥の院にガジュルシン様がご勉学にいらっしゃると知って、大喜びで歓迎の準備をしたのですが……少々、あ、いや、かなり目にあまる歓待準備をしてしまったみたいで、片付けられてしまいました。好意を押し付けては王子様が寺院に居づらくなる、少しは考えろ、と怒られまして……距離をとって、遠くからお姿を眺めるだけで満足する事にしたんです」
 はあ……
「私も、ナーダ様に、ちょっと引かれてしまった時期がありまして……武術鍛練の時なのですが、嬉しさのあまりベタベタしすぎたみたいで……いらしてくださらなくなると寂しいので、控える事としました」
 はあ……
 インディ僧侶のお二人を、ジライさんは警戒していた。
 在家のガジュルシン様がインディラ寺院代表の座を勝ち取った事で、現大僧正候補サントーシュ様は面目を潰されている。ガジュルシン様に怨みを抱いているのではないか? と、危惧したのだけれども……
 杞憂だったようだ。
 ガジュルシ様は、ナーダ様のご長男。ナーダ様の大ファンのお二人は、ガジュルシン様にも過剰な好意を抱かれているようだ。


 このお二人、ラーニャ様と気が合いそうだなあと思った。


「我らは一度、インディラに戻ります」
 と、サントーシュ様。
「来るべき日、勇者と従者の方々と共に寺院をあげて戦えますよう準備をしておきます」
 オレは頷きを返した。
 もと大僧正候補ナラカを滅する事は、寺院の願いでもある。頼もしい味方が増えることで、未来が明るくなればいい。
「オレは村に戻り、妻と会って来ます」
「シャイナへ? お送りしましょうか?」
「いいえ、大丈夫です。カルヴェル様の分身にお願いしてありますので。ご厚意だけありがたくいただいておきます」
 オレは現大僧正候補に頭を下げた。
 サントーシュ様は穏やかに、そうですか、と、だけおっしゃった。


 ペリシャに共に来た事で、ほんのわずかだが、お二人との距離が縮まったように思えた。


* * * * * *


 私はずっと夢を見ていた。


 カルヴェル様に導かれるまま、『勇者の剣』の内に潜り込み、剣の記憶を夢として見ているのだ。


 ナラカ戦までの日々、魂を『勇者の剣』の内に入りこませる事でより共感を高め、肉体は異次元で鍛錬する事になった。魂の抜けた体をカルヴェル様が魔法で動かし、筋力、瞬発力、持久力を向上させてくださるのだそうだ。
 始める前に、異次元に籠もったら、ガジャクティンみたいに何年も封印されるんじゃないかしら? と、疑問をぶつけたところ、大丈夫だとカルヴェル様はおっしゃった。
 そうならぬよう大魔術師様本人が監視するし、何より、ガジャクティンを閉じ込めた本人が、今、そんな行動にでるはずがないからだそうだ。
 ガジャクティンを閉じ込めて、二歳以上老けさせた犯人は……やはり、僧侶ナラカだった。
 何の為にガジャクティンを閉じ込めたのか尋ねると、大魔術師様は『ガジャクティンを強くしたかったのだろう』と、おっしゃった。
『ガジャクティンには、魔力も霊力もなく、わしが『雷神の槍』を貸すまで聖なる武器すらなかった。そのままでは大魔王戦に行き着くまでに命を落しかねないゆえ、修行の時間を与えたんじゃよ』
 本人の同意もなく二年半も閉じ込めたことが、善意?
 私の怒りを察したのであろう、カルヴェル様がホホホと笑われた。
『死なせたくない、と思ったんじゃろ。ナーダの息子だし、の』
 だけど、ナラカは、ガジャクティンを二歳以上老けさせ、ガジュルシンから声を奪い、姫巫女をさらい、『勇者の剣』を破壊しようとしているのだ。そのせいで、世界が破滅を迎える事になっても、やり通すと言って。
 正しいとは思えない。
『共感などせんでよい。正義は人の数ほど存在する……あやつもそう言っておったろう? あやつは、あやつなりの正義と愛情をもってナーダの息子達や世界に接しておる。その結果がわしらの目には邪悪に見えるだけよ』
 おかしいのはナラカ方だと思うと言うと、もっともじゃと大魔術師様は笑われた。


 私は夢の中で剣と同化していた。
 ものすごい速度で、剣が見た世界が頭の中をよぎっていく。
 一日が数秒で過ぎてしまうような速度。
 でも、その時、剣の周囲で起きたこと、剣が感じたことは、やけに鮮明に私の心の内に残るのだ。
 勇者に背負われている時の勇者の背から見た景色、と、同時に俯瞰視点やらのさまざまな角度の映像、と、同時に探知の魔法で察知した魔力から見た世界。同じものをさまざまな視点で見た映像が、いっぺんに頭に流れてくる。その時、剣が感じた感情と共に。
 情報量が多すぎるし、映像変化速度が異常に早い。しかも、時は遡行してる。
 目にしたって、何がなんだかわかんないはずだ。
 なのに、何となく理解できてしまう。
 共感能力のおかげだろうか?
 カルヴェル様が魔法で支援してくださっているのかも?
 ともかくも、凄い情報量を、瞬時に私は理解してゆく。


 映像は現在から少しづつ、遡ってゆく。
 私の事を好ましく思っている現在から、妥協して力を貸していた頃へ、そして私に触れられる事を断固拒否した時期へと移って行く。
 そして、『勇者の剣』とグスタフ兄さまのラヴラヴ映像へ。
 剣が兄さまが好きだった理由も遡ってゆくうちにわかった。
 グスタフ兄さまは、振るい手となる前から、ほぼ毎日、『勇者の剣』のもとへ通い、剣を称え、いつか共に戦える未来を楽しみにしていたのだ。毎日の出来事を剣に話し、剣に敬意と愛情を示し続けていたのだ。
 言っちゃ何だけど、兄さまも、うちの馬鹿勇者おたくそっくりだったわけだ……『勇者の剣』へのメロメロ具合が。
 で、『勇者の剣』の崇拝者だった兄さまの次の振るい手が私……最初、すごく嫌われたわけが納得いった。性別の問題だけじゃない。私、剣に敬意なんて、カケラもなかったもん。


 それから、お母様の時代の映像……
 千人斬りは……
 非常に残念なことに……
 映像無し!
 こら、ちゃんと見とけ、馬鹿剣! お母様とお父様の×××シーンが見られるかと期待してたのに〜〜〜〜〜ジライはどーでもいいけど。
 お母様が剣の振るい手である資格を失ったショックか何かで目を閉ざしたのかなあ……
 くそぉ……


 闇の王ケルベゾールドとの戦い。
 お母様、お父様、シャオロン様、赤毛の戦士、ジライを、大魔術師カルヴェル様が助ける。


 それから、冒険の映像。
 北方諸国、エウロペ、エーゲラ、ペリシャ教圏と時代が遡ってゆき、剣のお母様への気持ちも変化してゆく。
 大魔王戦の頃はラヴラヴだったのに、昔は……
 何というか……
 理由もなく嫌っている感じ。
 お母様の行動を好ましく思っても、すぐに敵意を持つというか反発するというか、触れられる事がともかく嫌みたいなんだ。虫唾が走るとか、毛虫のごとくとか、言うのがぴったりくるぐらいな嫌い方。
 ある意味、私よりも嫌われていたみたい、お母様。けれど、お母様が身をもって剣と信頼関係を築いてくれたから、『女だから』という理由だけでは剣は私を嫌わなかったようだ。剣を尊敬してなかった事と、ナーダお父様に恋していた事が、剣的に×(バツ)だったようだ。
 時は更に逆行してゆく。
 ジライが味方に加わり、ジライが敵として勇者一行と対決し……
 そして、至福の時がやってきた……
『勇者の剣』と共感する事によって感じる、弾力のある、心地よい、あたたかさ……
 心が、えもいわれぬ幸福感に満たされてゆく……
 ああああああ、素敵!
『勇者の剣』が筋骨逞しいお父様に、背負われているのよ!
 お父様の背中を、私はモロに感じる!
 広くって、筋肉が盛り上がっていて、頼りがいがあって、うっとりするほど、ス・テ・キ。
 大きくなってからは触れる事かなわなかった聖域に、今、私は背負われているのよ!
 一生このままでいたい……


 と、思っていても映像は変わってゆく。
『勇者の剣』は、孤独の中にいた。
 ランツ曾おじい様のお部屋で、誰のものともなれず、ただ、存在していた。
 過去を懐かしみ、亡くなったランツ曾おじい様を思い出しては涙に暮れる日々って感じ。
 時々、子供時代のお母様が部屋を訪れたけれども、剣は不快しか感じてなかったようだ。


 ランツ曾おじい様が亡くなった時の剣の嘆きときたら……
 まるで、この世の終わりがきたかのように激しかった。
 大切な家族を亡くした時の絶望といおうか。
 知識としては知っていても、共感して初めて心からわかる。
 剣は、曾おじい様を心から愛していたのだ。


 そして、再び大魔王戦。
 ランツ曾おじい様と大魔術師カルヴェル様、僧侶ナラカが力を合わせ、トゥルクに出現した大魔王を倒す。


 曾おじい様の代の勇者一行は……
 とっても刺激的だった。
 お母様とお父様の×××を見損ねた分を補ってあまりあるというか、破廉恥すぎるというか、この私でも正視できないとういか、もういいわお腹いっぱい! と、叫びたくなるというか……
 十八禁映像と暴力ばかりだった。
 Hで乱暴な勇者と、勇者と同じくらい性達者な大魔術師と、破戒僧の旅だった。
 いやん、もう……カルヴェル様ったら……性の達人だったのね……おじいちゃんの今の姿からは想像できないけど。今世に帰った後、まともに顔をあわせられないかも……あ〜んなことや、こ〜んなこともなさってるんだもん。
 彼等は『勇者の剣』を武器ではなく、友人として扱った。
 その事を剣はとっても喜んでいた。感激のあまり泣きそうになるほどに。
 それは剣にとって、初めての体験だったのだ。
 自分を道具以上のものと思い、愛し語りかけてくれる、勇者とその従者。
『人』として扱ってくれる仲間。
 彼等に出会えた幸運を、剣は神様に感謝していた。


(………)


 ん?


 何か、今、感じた。
 何っていうか……
 あったかい気持ち……
 世界中を旅してようやく自宅に帰ってホッとしたというか……ン十年ぶりに友人に会ってキャピキャピするみたいな……そんな感じ。安堵感? 嬉しくって内側からじわ〜とわきあがる感情っていうのかな?
 あえて言葉にすると……


『懐かしい』……?
 いや、
『昔に戻ったみたい』……?


 映像の流れが更に速くなる。
 速すぎる。
 もう、共感も理解もできない。


 繰り返される勇者と大魔王の戦い。
 大魔王戦で呪われる勇者、命を落す従者。
 大魔王に蹂躙され、瘴気に穢される世界。
 魔族に喰らわれる人々。魔に堕ちる人々。燃える街。暴徒と化す群集。踏みにじられる弱者。


 やりきれない映像が、私の中を通り過ぎてゆく。


 そして……


 私は出会ったのだ、金の髪、青い瞳の、男性に。
 剣士の格好をしているけれども、体格はあまり良くなく、優しげな顔立ちも服装にそぐわない。
 芸術家タイプって奴だ。うちのガジュルシンと同じ匂いがする。
 男は私を……いや、剣を見つめ、涙を流した。
「愚かな人だ……」
 と、言って私を抱きしめた……


『勇者の剣』が歓喜に震える。
 大切な者を失わずにすんだ事を、喜んでいる。


 ラグヴェイ……と、剣は呼んだ。


 私は、そう感じ取った。
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