義賊 日本左衛門(2/14)縦書き表示RDF


初めて日本左衛門と沙耶を題に書いてみました(恥)
義賊 日本左衛門
作:ドラキュラ



第一話:初めての出会い


「・・・・・・はぁ」学校から帰る道で沙耶は、ため息を吐いた。

今日、憧れだったバスケ部の先輩に告白をしようとした時に、同級生が先輩と帰って行くのを目撃してしまったからだ。

『あの子、先輩と付き合ってるんだろうな』女の勘で何となく感じ取った。

「今になって思えば、何にも先輩と接点がなかったのに告白しても、無駄だったよね」

自嘲気味に笑いながら沙耶は何時も通る道に差し掛かった。


京都の三条通りの外れにある大盗賊、日本左衛門の首塚。

沙耶は中学に入ってからこの道を通っているが、今だに慣れない。

しかも今の時刻は夏の午後十一時。

先輩を待っていたらこんな時間になってしまっていたのだ。

「夏だと何時もの倍は恐いのに」

愚痴を言いながら薄暗い道に歩を進めた。

しかし、五分と経たない内に

「やっぱり四条通りから帰れば良かった」半べそになりながら後悔する沙耶。

びくびくしながら歩を進めていたが、何かに躓き盛大に転んだ。

盛大に転んだ為、制服は汚れ鞄の中身が散らばった。

「・・・・拾わないと」

散らばった筆記用具や教科書を拾っている内に一筋の涙が落ちた。

「・・・・・ひっく、ひっく・・・・えっぐ、ふっ、うっ・・・・・ぐっ」

落ちた涙は、止まる事を知らずに嗚咽も止まらなかった。

泣いていると、首塚が視界に入った。

「・・・っにが・・・・何が日本左衛門よっ、大層な名前なんかして」

何かに当たりたい気持ちになる沙耶。

「何が義賊よ!結局は泥棒じゃない!!」八つ当りに首塚を蹴り倒した。

ゴトッ

首塚は音を立てて地面に倒れたが

「痛ったー!!」首塚を蹴り倒した足を擦りながら沙耶は更に涙目になった。

「もうっ、最悪!?」

悲しみから怒りの感情に早変わりした沙耶は、ずんずんと進もうとしたが何かにぶつかった。

「・・・・・っ、今度はなに?」鼻を抑えながら見ると逞しい胸板だった。

「・・・・・・」

嫌な予感を感じながら上を見ると、鋭い目付きをした二十代後半の男性と目が合った。

『ひぃ!?ヤクザ!?』勝手に職業を決めるな。

「ご、ごめんなさい!本当ごめんなさい!!」勢い良く頭を下げる沙耶。

「・・・・おい、娘」低く鋭い声が上から聞こえてきた。


「退け座でも何でもします!だから、人身売買なんかしないで下さい!?」大粒の涙を流して逃げ腰になる沙耶。

「・・・・・・」男は沙耶の態度に閉口した。

『黙っちゃったよっ、たぶん、どこの店に売るか考えてるんだ!?」

男の沈黙を思考に取った沙耶は、逃げようときびすを返したが腕を捕まれ阻止された。

「・・・・・どこに行くつもりだ?」捕まれた腕を解こうとしながら謝る沙耶。

「身体を売る以外なら何でもするので、どうか許して下さいっ」拝み倒す勢い良いで頭を下げる沙耶。

「なら、答えろ。ここは何処だ?お前は何者だ?」男の質問に沙耶は、途切れ途切れに答えた。

「・・・・・ここは、京都の三条通りで、私は荻原沙耶です」

「京都?ここが京都だと?本当か」男は辺りを見回しながら尋ねた。

「は、はいっ」

「じゃあ、今は何年だ?」

「へ、平成、十九年、西暦2007年ですっ」

「平成?今は享保じゃないのか?」腕を離し肩を掴み揺らしだす男。

『この人、もしかして薬中か何か?』男の反応を見て沙耶は焦った。

「本当です!本当だから離して下さい!!」力の限り暴れたが、びくともしなかった。

「俺は・・・・・・・・死んだはずじゃなかったのか?」無意識に沙耶の肩を掴んでいた腕に力を込めた。

「痛いです!離して下さい!人を呼びますよ!!」大声を出すが、何の反応もなかった。

「・・・・・この墓は・・・・・・?」肩を掴んだまま横を見ると小さな塚があった。

「・・・に、ほ・・・・・ん・・・左衛、門の墓・・・・・・・」

呆然とした表情で塚を見つめる男の様子を見て、沙耶は何かを感じ取った。

『この人、何か変だ』

薬中か何かと思っていたのだが、本当に何が何なのか分からない様子だった。

『この人、まるで母親とはぐれた子供みたい』

呆然とする男は、親とはぐれた迷子の子供のように困り果てていた。

「貴方、名前は?どこから来たの?」沙耶は、男に恐る恐る尋ねた。

「・・・・・俺は、日本左衛門だ」

これが沙耶と男、盗賊、日本左衛門の最初の出会いだった。


感想評価を待っておりますので、よろしくお願い致します!?











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