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鼠の目・これまでの梗概
作:土成 謹造


<鼠の目・ここまでの梗概>

オレはフリーランスの何でも屋だ。
犬の散歩から、触法スレスレまでなんでも請け負う。
無論、料金次第だが…。
汚い路地裏を這い回ることから鼠と呼ばれている。
ああ、すでに初老なんでな、ちょっと説教くさい。

ある日、オレのオンボロ事務所に突然、依頼人が現れた。
腰の抜けそうなどえらい美人だ。
名前を川崎真知子といった。

依頼の内容は実に簡単な内容だった。
川崎真知子には妹がいる。
川崎真理子という。
その真理子が「波動研究会」というカルト教団だかインチキ科学に淫してしまい、教団本部に垂れ込めてしまったらしい。
その妹を波動から連れ戻してくれないか、ということだった。

児戯に等しい。
研究会本部に行く、真理子に会う、連れ戻す…実に簡単だ。
オレはその依頼を受けた。

オレは荒事が予想されるときには、ケンスケという男に手を借りる。
ケンスケは仏外人部隊の脱走兵だ。
実戦経験も、またナイフを扱わせたら、ケンスケほど剣呑な男はいない。
今回もケンスケに助っ人を頼み、早速、波動本部に乗り込んだ。

しかし、そうスンナリとはいかなかった。
真理子奪還どころか、嗅ぎまわるうちに二人の若者の死体が転がることになった。
しかも、そのうちの一人はオレの事務所を手伝ってくれている和田さんの一人娘、和田洋子だった。

はっきりいえば、オレは和田さんに惚れていると思う。
ならば、これはオレの最低の矜持として固くもつれた結び目を解かねばならない。

幸運がひとつ転がっていた。
川崎姉妹の祖父、川崎徳一がオレの馴染みの靴屋の隠居・滝川順平と兵隊時代からの知り合いだったのだ。

滝川の隠居から長い長い話を聞いた。

川崎徳一はもともとは朝鮮半島の出身者であり、戦後、帰化したこと。
終戦直前に満州戦線から脱走したこと。
戦後のドサクサにまぎれて、巨万の富を一代で築いたこと。
徳一の畢竟の願望が東アジア祭祀を統合できる血をつくりだすこと。

そのために川崎徳一は朝鮮王朝の末裔である良子を娶り、さらに息子の川崎聖一を廃宮家出の篤子と結婚させる。
聖一・篤子夫婦の子が真知子・真理子姉妹となる。
しかし川崎聖一は徳一の野望にはまったく興味を示さず、徳一の死亡後、フッツリと失踪してしまう。

ところが川崎徳一は嫡外子としてもう一人、徳永高男という子をなしていた。
高男はヤクザ世界に身を置いていたが、川崎徳一に触発されるように宗教ビジネスの可能性に賭け、宗教法人・波動研究会を立ち上げていた。

つまり川崎真理子は義理の叔父がでっちあげたカルト教団に遁走していたのだ。

路地裏を這い回り、所轄警察の山下刑事に文句をいわれながら、どうやら若者二人の死体を作ったのは、徳永の子飼いで、非合法暴力を請け負う長田という男であるところまでは掴んだ。

長田とはケンスケが会うことになった。
廃ビルで長田とケンスケは対峙することになり、長田は和田洋子ともう一人の犠牲者、宮崎一平の殺害を認める。
ただこの際のトラブルで、長田はケンスケにこっぴどくやられることになる。

ともあれ請け負った仕事は仕事だ。
オレは川崎真理子奪還を図らねばならない。
オレは川崎家に乗り込むことにした。

そこで出会ったのが川崎姉妹の母親と祖母、つまり川崎徳一の妻と義娘ということだ。
彼女らとの会話で川崎真理子が山奥の神さびた土地に篭っていること、さらにどうやら姉の川崎真知子も行っているらしいことを掴んだ。
加えて、この川崎家はすでに山下刑事、すなわち警察の監視下にあることもわかった。

真理子追跡にオレやケンスケ、山下刑事らの情報を統合し、オレはその神さびた土地へ行こうと決めた。
ケンスケも同道するという。
和田さんも、断じて行くのだという。

ところでケンスケにやられた長田は、すでに承知していたその神さびた土地へ向かいだした。
一度だけあった川崎真知子との肉体関係に味をしめた増長だった。
途中、長田は乗車したタクシー運転手も殺害する。
歯止めが効かなくなっているのだ。
殺害後、徒歩に切り替えた長田が見た光景は異様だった。
川崎姉妹がいる場所に、ライフルで武装した人間が十数人いるのだ。

これは、一体!
川崎姉妹のカルト教団は、暴発しようとしているのか?














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