episode18:戦いのおわり、絶望の始まり
どこまでもどこまでも綺麗な青空が広がっていた。
朝の澄んだ空気と小鳥のさえずり。
まるで絵にかいた様な理想的な朝だった。
しかし、美しい朝には似合わない、涙声が葬儀場から響いていた。
棺の中には、大好きな人のために命を差し出した悲劇のヒロインとなり、多くの人から同情を買うこととなった蘭が、血を洗い流された綺麗な状態で横たわっていた。
“まるで眠っているようだ”
誰かがポツリと呟いたその言葉に、園子は眉をひそめた。
“眠ってくれていた方がずっと良かった”と。
式には多くの人が参列した。学校の友達、部活の先輩や後輩、商店街のおじさんやおばさんまで。
その人数は、蘭の人望の厚さを物語っていた。
その場には、事件の事を聞きつけて大阪から駆けつけた平次や和葉の姿もあった。和葉は終始泣きっぱなしで、平次の制服の裾をずっと掴んだまま放さなかった。一方の平次は哀しげな表情というには程遠い、青ざめた顔で参列していた。
この事件は世間を賑わす大きなニュースになっていた。謎の組織、誘拐、そして名探偵ともてはやされた彼の…
園子が動こうとする度に多くの報道陣が事件の当事者の園子を囲もうとしたが、顔馴染みの刑事たちが園子を懸命に守っていた。
式が終わり、参列者達が家路につき始めたころ、平次が園子の元へと寄ってきた。
『ちょっとええか…?』
『ええ。いいわよ。』
園子は平次が来ることを予想していたかの様に、あっさりと答えた。
二人はなるべく人目に着かない所へと移動した。
『…工藤とあのちっこい姉ちゃんはどこや?』
平次は誰も口に出来なかった“違和感”を口にした。
『新聞やニュース、見たでしょう?彼は…』
『俺は信じひんぞ!!』
平次はついカッとなり声を荒げた。その声に驚いたのか、木で羽を休めていた鳥たちは一斉に羽ばたいた。
『俺は信じひんぞ…工藤が殺人やと?……そんな馬鹿げた話があるか…』
平次は悔しそうに俯いた。
『ホント、馬鹿げてるわよ。人を殺すなんて…蘭はそんなことのために彼をかばった訳じゃないわ…』
そう話す園子の頬を涙が伝った。新一がとった行動への怒り、蘭を失った悲しみ、蘭を守れず、新一を止められなかった自分の愚かさ。園子はもう、何に涙を流しているのか分からなかった。
『スマン…』
平次は泣きじゃくる園子にただ謝るしか出来なかった。
そして暫くの沈黙の後、平次は意を決したように呟いた。
『俺、工藤とあの姉ちゃんに会うてくるわ。』
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