警告
この作品には
〔残酷描写〕
が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
十三対の恐怖
―――彼は、わずかな金銭と引き換えに、彼の師であり、人々に『聖者』とたたえられる人物を殺した。
死体は地中深く埋めたため、見つかる恐れはない。
後に残ったのは、座るべき主を1人失った13脚の椅子のみ。
彼の罪を証明するものは何も存在しないはずだった。
―――しかし数日後、晩餐会は行われた。以前と同じ顔ぶれで・・・
・・・ありえない・・・
彼は恐怖した。師が蘇ったことをではない。彼の犯した罪によって師に裁かれることを恐れたのだ。
恐怖に駆られた彼は、何度も師を殺そうと試みた。
首をはねる。
油をかけて燃やす。
野犬に喰わせる。
棍棒で叩き潰す。
重石をくくりつけて海に沈める。
彼は考えつく限りの方法を使って、師を殺し続けた。
しかし次の晩餐会では、師は何事も無かったかのように出席してくる。
そして、何事も無かったかのように椅子に座り、何事も無かったかのように彼に笑いかける。
―――まるで彼に、自らの犯した罪を見せつけるかのように・・・
人知れず追いつめられた殺人者は、次にとるべき行動を定めた。
晩餐会の前夜、礼拝堂に忍びこんだ彼は師のいつも座っている椅子を叩き壊した。
その瞬間、彼は悪夢から解放された喜びに全身を奮わせた。
―――師の帰るべき席はすでに失われた!
自分は罪から逃れたのだ!
彼は笑った。笑うという感情以外全てを忘れ去ったかのように笑った。そして、いつまでも笑い続けた。
―――その翌日の晩餐会では、参加者は12人しか居なかったにも関わらず、空席は存在しなかった。
そんな、いつもとは違う光景でありながら、それに気付かぬ風で師はいつもと同じ言葉を発した。
「さあ、晩餐会を始めよう」
評価
ポイントを選んで「評価する」ボタンを押してください。
ついったーで読了宣言!
― お薦めレビューを書く ―
※は必須項目です。
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。