挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

ブックマークする場合はログインしてください。

魔の吹雪

作者:キュウ
3分ほどで読めるミニ短編です。
カフェオレとか紅茶とか片手にゆったりとどうぞ。
また、本作は別に公開中の『吹雪の村』と合わせて読んでいただくと、
さらに楽しんでいただけると思いますので、そちらもぜひどうぞ♪
『吹雪の村』→ http://ncode.syosetu.com/n8424ea/
 あるところの広場に集まった、六人ばかりの子ども達。
 半円に並ぶ子ども達の真ん中で、一心に視線を募るのは、一人の杖を突いた老人である。老人はしゃがみこんだ子ども達に向かい、ポツリポツリと掠れた声で語りだした。
「昔から、この辺りに伝わる話があっての。東に在る森へ行き、迷いの路を抜けた先に、一面真っ白な雪原に出るんじゃ。雪原を進むと、そのうち灰色の雲が立ち込め始め、やがては悪魔のような吹雪に、襲われるのじゃ……」
 子ども達はその話を、宝石のように目を輝かせて聞いていた。その中に、ぐいと顔を前に突き出し、とりわけ熱心に耳を傾けている、幼い少女が居た。
「その吹雪は、どんな者も死に追い遣ると言われているのじゃ。だから、吹雪を抜けた先に何が在るのか、誰一人として知っている者は居らんという……」
 少女は、今にも喝采をあげそうになるほどに、その話に興味津々だった。
 老人の話を聞きながら、彼女は、吹雪の魔物の様子を想像する。
 前方からは次から次へと雪が迫って来る。幾百となく、幾千となく、絶え間ない雪の大群が、足を進めたいという気概を にわかに失わせてゆく。
 その雪の粒一つ一つが、迷者に与えるべき痛みを欠けることなく抱えて、一斉にこちらへと向かって来る。
 それは紛れもなく、大冒険と言えるものであるだろう。
 胸躍る想像から帰ると、少女の好奇心は一層掻き立てられた。彼女は感嘆の声を上げたのち、「私も行ってみたいなあ……」と、一言呟くのだった。
 少女の横で少し年上の少年は、彼女の様子を目にして訳も分からず、一抹の不安を抱いたのだった。
 ――吹雪の魔物はどれだけ年月を経ようとも、恐れられる傍らで不思議と人を惹きつけた。
 いつしかその「魔性」の吹雪は、「悪魔」の如きと言われ始め、自ら身を危険に晒そうとする人間達を何人も受け入れては、一人残らず「そこ」へ誘い込んできた……。

 ――あるとき一人の男が、誰かの記憶を辿るように、迷いの森を抜け、先に待つ一面真っ白な雪原を訪れた。彼はやがて現れた猛吹雪の中に入り込もうと、諦観に押しつぶされそうな意志に何とか負けまいと、一心に歩いていた。
 数日前に居なくなったたった一人の妹を探し求め、今にも倒れてしまいそうな身体を懸命に支えながら、ゆらゆらと彷徨っていた。
 どれだけの時間が過ぎただろうか。灰色の雲間から覗いた、一線の陽光を見つけると、そこを目指して……まるで、何かに手招きされたかのように、その、吹雪の中心へと向かいだした。
 長いようで短い、死の淵を手探るようなそんな旅の末には、何処へ辿り着くのだろうか?
お疲れ様でした♪
HP(→http://kyunote.blog.fc2.com/)にて
コメントや編集後記、ほかのお話のまとめも掲載しておりますので
ぜひこちらにもどうぞ

評価や感想は作者の原動力となります。
読了後の評価にご協力をお願いします。 ⇒評価システムについて

文法・文章評価


物語(ストーリー)評価
※評価するにはログインしてください。
― 感想を書く ―

1項目の入力から送信できます。
感想を書く場合の注意事項をご確認ください。

名前:

▼良い点
▼気になる点
▼一言
お薦めレビューを書く場合はログインしてください。
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ