異次元世界大戦 独立艦隊海戦記(41/67)PDFで表示縦書き表示RDF


異次元世界大戦 独立艦隊海戦記
作:山口多聞



総解説 1


 世界情勢

日本・・・この世界で日本は中国との本格的な戦争は避け、国民党と共産党の内戦に対して若干の陸軍部隊を派兵したにとどまり、その後国民党が汪兆銘率いる北京政府と蒋介石率いる重慶政府に分離すると北京政府を正式な国家として承認している。そのため、重慶政府を支援する英米と対立し、対抗する形で独伊との三国同盟を行ない、さらに仏印進駐を行なったため対米英開戦に至る
 開戦後は南方資源地帯への進出、米国との早期講和を目指して動くも各部の戦略不一致から齟齬を来たし、結果ミッドウェイ海戦で空母2隻を失うという手痛い損害を被った。その後は戦略の調整が図られ、オーストラリアの連合国からの脱落を意図しての豪州封鎖作戦と、独逸軍のスエズ占領にあわせてインド洋方面作戦を本格化させている。

独逸・・・史実どおりナチスが支配権を握り、第二次世界大戦を引き起こした。ただしこちらのヒトラー総統は多少聡明なようで、まずバトル・オブ・ブリテン敗退の責任を取らせて空軍の癌とも言うべきゲーリングを失脚させている。また人種主義政策も余裕がないため一時棚上げし、ユダヤ人は占領したマダガスカル島へ送り込んでいる。また史実では冷遇したロシア解放軍のウラソフ中将へは積極的な支援を行なっている。
 軍事面でも空軍の組織改編が行なわれたため、既に本土防空部隊ではHe280戦闘機が採用され、4発爆撃機He277の開発が進行している。海軍でも空母「グラーフ・ツェッペリン」が竣工している。

米国・・・満州事変以降中国へ積極的な政策を行なう日本と対立し、日本が北京政府への支援を開始すると経済制裁を発動。さらに日本軍が対抗処置として仏印へ進駐すると英蘭と図って石油の全面輸出禁止を行い日本と戦端を開く。しかし予想以上の枢軸国の実力に当初の戦略構想は大きく崩れつつある。
 1943年に入りようやく戦時体制も整い、戦力を増強させつつあるが独逸海軍が海軍戦力を増強させつつあるためにニ方面作戦を強いられつつある。

英国・・・バトル・オブ・ブリテンはなんとか凌ぎきったものの、北アフリカで独逸軍に完敗しスエズを含むエジプトの支配権を失うにいたり、地中海艦隊は壊滅状態。さらにマダガスカル島も陥落したためにインドとセイロン島も風前の灯火状態。1943年1月現在は残存する戦力をセイロン島と中東油田地帯の防衛、さらにマダガスカル島奪回へ振り向ける構え。

ソ連・・・歴史どおり独逸軍の侵攻を受け各地で完敗する。さらに予想以上の日本と独逸の侵攻で米英両国からのレンドリースの量が減っているため深刻な戦力不足に陥り、1943年1月現在、レーニングラードは既に陥落。モスクワもいつ陥落するかわからない状態。ただしウラル方面へ疎開した軍需工場と新型戦車の投入、さらに例年より早い冬将軍のおかげでなんとか戦線は維持している。

 
日本海軍の軍備増強計画について
 日本海軍では開戦直後のハワイとフィリピンへの空襲とマレー沖海戦、さらにはウェーク島攻略作戦の結果から、1月に戦時臨時戦力増強計画、マル特計画を策定し、既存艦艇の対空火力増強(特に駆逐艦と軽巡)と航空部隊の増設と飛行学校の増設を決定。
 続く3月には改マル特計画を策定し、秋月型駆逐艦の6番艦以降の設計変更と大和型4番艦以降の戦艦の建造中止が正式に決定される。空母は予定されていた改「大鳳」型の建造余裕がないと予想されたため、改「飛龍」型空母6隻を建造することとする。
 また、メキシコなどの中立国よりもたらされた米軍の空母増強に対抗するためと、甲標的と水上機の戦略価値が減じたため水上機母艦「千代田」、「千歳」、「瑞穂」、「日進」の空母への改装が決定された。
 ミッドウェイ開戦後のマル5計画では、改「飛龍」型空母がさらに2隻が発注された。
 この他に海上護衛総隊の設置が行なわれる。これは本土近海で駆逐艦や漁船への潜水艦による襲撃が相次いだために行なわれた。ただし本格的に稼動したのは米軍が潜水艦攻撃に本腰を入れた昭和17年後半以降。
 航空機に関しては、開戦後しばらくしてラバウル沖で起きた海戦で陸攻隊が敵戦闘機の攻撃によって短時間で全滅したために、武装と防弾の強化が図られた。また戦訓から次期主力戦闘機の格闘性能値が若干緩和され、速度と急降下性能の上昇が条件に入れられた。このため、次期戦闘機は中島と満州飛行機合作のキ106「疾風」が採用された。
 これ以外にも、戦前の軍備計画は史実とは違い「金剛」級戦艦代艦として「筑波」級巡洋戦艦と、対空巡洋艦「綾瀬」級が建造されている。
 

 日本陸軍の軍備増強計画について
 日本陸軍では昭和14年に行なわれたノモンハン事件で強力な武装を持つ高速戦闘機、高速爆撃機、大口径砲を持った戦車の重要性に気付き、次期戦闘機は当初中島のキ43を予定していたが三菱の零式艦上戦闘機に変更した。ただし、海軍機と違い航続距離は減らされ代わりに防弾板と被覆燃料タンクが採用された、加えて20mm機銃が12,7mm機銃に変更された。
戦車は新型戦車の製造に時間を喰うため、97式戦車の改良版である1式中戦車(史実の3式中戦車)と99式砲戦車(史実の1式砲戦車)を採用した。これら車両はマレー戦線で少数ではあるが英軍のマチルダ戦車と交戦し、その有効性を見せ付けた。
 またこれまでは別々であった弾薬を一部海軍と共用に変更した。
 歩兵の装備については、旧式な38式歩兵銃と96式軽機関銃を早期に廃し、より威力の強い99式小銃と1式軽機関銃に変更している。衣服も南方戦用の夏衣が開発中である。
 

 独逸陸軍の軍備増強計画について
 独逸陸軍の軍備増強計画は基本的に史実と同じであるが、戦車については「タイガー戦車」が前線での運用評価が低いため、史実とは違って生産数が抑え込まれていて、代わりに「パンター」戦車の量産が急がれている。

 独逸海軍の軍備増強計画に付いて
 独逸海軍は相変わらずUボート中心であるが、空母「グラーフ・ツェッペリン」の竣工とフランス海軍の抱き込み成功により、史実よりかなり忠実した水上戦力を保有している。また故障続出の駆逐艦の砲も日本からの技術供与で改善されつつある。

 独逸空軍の軍備増強計画に付いて
 日本との技術交流が可能となったため、これまで更新が遅れていたJu87とHe111を日本から輸入した「彗星」、「銀河」を改良した自国製機体を使用開始予定。またHe277爆撃機も1943年7月を目処に配備予定。



 帝国陸軍1式戦闘機「隼」
 全長9,2m 全幅12m 自重1800kg 速力520km 航続力1950km(増槽なし) 武装12,7mm機関砲2基、7,7mm機銃2基 発動機「栄」12型950馬力

 海軍の零戦21型の小規模改造機。翼端の折り畳み機構廃止、防弾装備による重量増加で速度と航続力が若干減じた。パイロットたちからは「武装が大幅に増強され敵機を撃墜しやすくなった。」と「格闘性能が格段に落ちた。」という意見のどちらかを指摘されることが多かった。


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