異次元世界大戦 独立艦隊海戦記(26/67)PDFで表示縦書き表示RDF


異次元世界大戦 独立艦隊海戦記
作:山口多聞



ガ島空襲大作戦


 護衛戦闘機隊の防衛網をすり抜け、爆撃隊と雷撃隊に襲い掛かったのは5機のF4F「ワイルドキャット」であった。頑丈なのが取り柄のこの機体は、セオリー通りに急降下一撃離脱を狙ってきた。同機に積まれている6基の12,7mm機関銃の攻撃を喰らったら、防御力の弱い日本の機体は大きな打撃を負う。

 「ワイルドキャット」のパイロット達は楽勝と思って襲い掛かった。しかし、彼らの目の前に現れたのは、凄まじいまでの光のシャワーだった。

「な!なんだ!」

 「ワイルドキャット」のパイロットの多くは実戦経験の少ないパイロットであった。そのため、「彗星」や97艦攻の後部機銃から撃ち出された盛大な曳光弾に幻惑されてしまった。

 実はこれを狙って、独立艦隊のパイロット達は後部機銃の弾を通常より曳光弾が多いように細工していたのだ。狙いは図にあたり、5機中4機が射点を外してしまった。

「バカ野朗!!」

曳光弾に幻惑されなかったベテランの「ワイルドキャット」隊隊長は不甲斐ない部下に悪態をつきつつ、自信は一機の艦爆に狙いをつけた。そして、12,7mm機銃を一連射した。

 ダダダ・・・・

 銃弾が空中を走っていき、その「彗星」に吸い込まれた。「彗星」艦爆は99艦爆より防御力は高いが、それでもアメリカ軍の機体よりは低い。結果銃弾を受けた「彗星」はまもなくどす黒い煙を引き始め、しばらくするとそれは炎に変わり、積んでいた爆弾を投棄すると急降下していった。

「やった!」

 だが、その報復はすぐに行なわれた。仲間の機体が仇とばかりに機銃弾を撃ち込んで来た。回避運動が遅れた「ワイルドキャット」は多数の銃弾を受け、間もなく燃料タンクからガソリンが漏れ始めて発火、「彗星」の後を追うように撃墜された。

 また残った「ワイルドキャット」は降下後に再攻撃を試みたが、その時には零戦隊が他の戦闘機との空戦を片付けて戻ってきたため、逃げる以外に手はなかった。

 こうして「彗星」隊はなんとか1機の損失だけで、敵戦闘機との戦闘を切り抜けることが出来た。また少し離れた場所を飛んでいた天山隊も損失なしであった。

 そして攻撃隊各機はヘンダ−ソン飛行場への爆撃コースに入った。出撃前に陸上基地の「暁雲」偵察機が行なった数回に渡る偵察で、駐機場や燃料タンクといった飛行場の凡その配置は判明していた。

「攻撃開始!!」

 全機突撃せよを意味するト連送が若井隊長機から発進される。それと同時に攻撃隊各機は当初予定されていた目標への爆撃を仕掛ける。

 飛行場の周りに配置された対空砲や対空機関銃が攻撃隊へ向けて攻撃を開始し、空に黒いシミのような砲弾の炸裂の跡が出来る。

 その間をすり抜けて、「彗星」は滑走路を急降下爆撃で、97艦攻は水平爆撃で駐機場や対空砲陣地、燃料タンクなどに爆弾を投下していく。

 急降下爆撃を受けた滑走路には次々とクレーターが出来上がり、また隠蔽が間に合わず、網を乗せられて簡単にカモフラージュされていただけの爆撃機や輸送機は、水平爆撃によってやはり次々と焼き払われた。

 今回97艦攻が搭載したのは、対空用砲弾を改造して造った試製3式対地焼夷弾である。中に詰め込まれた弾子が空中で飛び散ると、半径150mに渡って火の雨を降らす事が出来たこの新型爆弾によって、地上の機体や車両、人員に大きな被害を与えた。

 また爆撃を終えた機体の内、機首に7,7mm機関銃をもつ「彗星」はそのまま地上への機銃掃射を行なった。これによって数基の対空砲や対空機関銃が破壊された。

 独立艦隊攻撃隊による爆撃は20分ほどで終わり、攻撃隊各機は五月雨式に帰還して行った。だが米軍にとっての災厄はここからであった。それと入れ替わるように、真打が登場したからだ。

 独立艦隊の航空隊がヘンダ−ソン飛行場上空から消えた5分後、日本軍機がいなくなったことを確認した米兵達は、退避していた塹壕や防空壕の中から這い出し、早速瓦礫や残骸の片付けと、滑走路の修復に取り掛かった。上空に残っている迎撃戦闘機隊を降ろすためである。

 米軍の場合、こうした修復作業はブルドーザー等機械力を用いるために日本軍に比べて遥かに早く、その労力も少なく済む物であった。さらに鉄板を敷いて応急の滑走路を作り上げるようなこともした。

 しかしそうした作業を始めた所で、ラバウルから飛んできた特試航空隊の爆撃機が襲い掛かった。

 特試航空隊は日本機だと判断されにくいよう巧妙に迂回飛行をしてヘンダ−ソン飛行場上空に到達した。使用機種はいずれもB25「ミッチェル」やA20「ハボック」である。米軍からすれば味方機である。そのため、警報を出すのが遅れてしまった。

 見張りの兵士が胴体と主翼に描かれた日の丸に気付いた時には、滑走路に爆弾が投下され始めていた。

 敵襲に気付いた兵士達は、我先に滑走路上から逃げ始めた。そこへ次々と爆弾が投下さていく。滑走路の穴埋めのために引き出されたブルドーザーや、応急修理用の鉄板が次々と爆砕されていった。

「畜生!卑怯なジャップめ!!」

「俺たちの飛行機に勝手に日の丸描いて飛ばしやがって!!」

 兵士達は口々に上空の爆撃隊に恨みの声を吐きつけるが、それで爆撃機が落ちるはずもなく、逆に虚しく響き渡るだけだった。

 この時上空には、まだ迎撃戦闘機隊が飛んでいたが、やはり味方機と思い込んでしまったために攻撃が遅れてしまった。そして気付いた時にはヘンダ−ソン飛行場に次々と爆弾が炸裂していた。

 そのまま急降下して追跡しようとした戦闘機もいたが、統制を欠いていたため1機ずつでのバラバラな攻撃となってしまった。おまけに先の戦闘で弾薬や燃料を消費していたために、効果的な攻撃が出来なかった。

 特試航空隊はそれこそ通り魔のようにヘンダ−ソン飛行場を攻撃すると、ラバウルへ向かって引き上げていった。その跡に残されたのは、修理用機材のほとんどを破壊され呆然と立ち尽くす基地の兵士たちと、一機も撃墜出来ず歯噛みする戦闘機隊パイロットたちであった。

 最終的に艦載機と基地航空隊の連携プレーで行なわれたこの爆撃によって、ヘンダ−ソン飛行場は最低3日間の使用不能となり、ジャングルの奥や完成していた掩体壕へと避難していた機体を除く50機近い爆撃機が地上撃破され、飛び立った戦闘機も零戦等との空戦で27機を失い、残った機体も穴ぼこだらけの滑走路に着陸せざるえず、穴に足を引っ掛けてさらに半分を失った。

 こうしてヘンダ−ソン飛行場はその基地機能を失った。

 一方、攻撃をかけた独立艦隊の艦載機は艦戦4機、艦爆2機、艦攻4機の11機を損失した。米軍に比べれば少ないが、それでも出撃機数の1割というのは手痛い被害であった。特試航空隊の方は、追跡してきた敵戦闘機との交戦で3機が被弾したが、いずれも致命傷とはならず、無事ラバウルに帰還することが出来た。

 第一ラウンドは日本側の勝利で終わった。



 御意見・御感想お待ちしています。











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう