異次元世界大戦 独立艦隊海戦記(25/67)PDFで表示縦書き表示RDF


異次元世界大戦 独立艦隊海戦記
作:山口多聞



ガ島攻防戦 接敵編


 ラバウルを出港した独立艦隊に対する空襲は、出港2日目に始まった。この時点ではまだガ島に進出していたSBD「ドーントレス」の航続圏外であったために、やってきたのはB17やB25といった足の長い双発、4発機の合計20機であった。

 もっとも、まだこの時点では反跳爆撃は開発されていなかったために、攻撃自体は水平爆撃のみとなった。しかも、輸送船団とは段違いの対空火力を持つ艦隊と上空に飛び回る戦闘機の攻撃を受けながらの爆撃であったから、命中弾はえられず、逆に6機を撃ち落されて撃退された。

 現在独立機動艦隊は、一端ソロモン海から太平洋側に迂回してガダルカナル島を目指していた。これは島が乱立し、レーダーが利き難く、魚雷艇や駆逐艦などの夜襲を受けやすい航路を通るのを航海参謀が嫌ったからだ。

 もし連合艦隊の参謀だったら、最短距離での移動を具申したかもしれない。しかし独立艦隊はレーダーを帝国海軍内で一番有効に扱っている艦隊であった。また士官たちも出世コースから爪弾きされた者であり、柔軟な発想が出来る者たちが多かったのでこのような考えが出来るのであった。また、桑名はそうした意見を受け入れるだけの度量の広さを持ち合わせていた。

 彼は航海参謀の意見を受け入れて、時間は掛かるが安全な迂回針路を採らせたのであった。

 そして独立艦隊がガダルカナル飛行場を攻撃圏内に捉えたのは、出港2日目の正午過ぎだった。桑名は稼動全機を持っての出撃を命じた。

 艦戦47機、艦爆35機、艦攻24機、そして戦果確認の水偵2機の計108機であった。これは故障、偵察、対潜哨戒、艦隊上空直掩用の機体を除く全力出撃であった。ちなみに戦果確認の水偵は爆装はせず、代わりに高性能カメラを搭載している特別バージョンだ。

 2隻の空母の艦上に並べられた攻撃隊は、艦が風上へのダッシュを始めると同時に、手空き乗員の見送りを受けると、カタパルトを使って次々と発進していった。

 その光景を艦橋から見送りつつ、桑名は通信士に命令を下した。

「ようし無線封鎖解除、ラバウルの特試航空隊に出撃命令を出せ!」

「了解!!」

 命令と共に、ラバウル北飛行場に駐留する特試航空隊にも出撃命令が下された。そして数分後にはラバウル北飛行場に、特試航空隊司令官である岩倉大佐の声が響き渡った。

「出撃命令が出たぞ!!出撃予定機はただちに出撃せよ!!」

 既に各機では出撃のための整備や爆装等と言った全ての準備が終わり、乗員たちも翼の下で待機していた。南方特有のスコールやポートモレスビーから来る米軍の爆撃もなく、出撃するにはもってこいの状況だった。出撃命令が出されると、それまで寝台で横になっていた搭乗員達は飛び上がるように起き、飛行帽を被り機内へと滑り込んだ。

「コンターック!!」

 日本海軍独特のエンジン始動合図がそこかしこでなされ、機体のエンジンが始動する。捕獲された機体のアメリカ製エンジンは部品の質が良く、エンストなどを起こすことは滅多にない。出撃予定機の全機が無事エンジンを動かせた。

 今回出撃するのは28機の爆撃機のみである。P40や「バッファロー」と言った戦闘機は、日本で増槽をぶらさげられるよう改造してきたが、それでもラバウルからガダルカナル島間を往復するのは無理だった。

 せめてブイン飛行場が使えれば良いのだが、いまだ整備中で航空機を取り扱うには後1週間ほど必要だった。

 そういうわけで、攻撃隊は護衛無しの丸裸だった。だからこそ独立機動艦隊の攻撃隊が先生攻撃をすることとなっていた。

 28機の爆撃機は、隊幹部、居残りとなった戦闘機隊パイロット、整備兵などの見送りを受けて、重々しい高馬力エンジンの音を立てながら、南西の空へと消えていった。

 こうして矢は放たれた。











 艦隊を発艦してから1時間半後、攻撃隊はガダルカナル島まで30分の距離に近づいていた。攻撃隊隊長である新任の若井大尉は、各機に「警戒を厳重にせよ!」の信号を送る。

 もし敵がレーダーを持っていたら既にこちらは見つかっているかもしれない。敵の待ち伏せ攻撃を受けることを彼は非常に警戒していた。

 彼は以前第二次ミッドウェイ海戦で沈没した空母「加賀」の爆撃隊パイロットであった。ミッドウェイ攻撃で彼の小隊は待ち伏せていた敵戦闘機の攻撃を受け、1機を撃墜され、彼自身負傷する苦い経験を持っていた。だからこそ警戒していたのだ。

「ガ島まで後30分だ。気を引き締めていけ!!」

「了解!」

 彼は操縦手の水野一飛曹にも警戒を促した。

 そして15分後、戦闘を進む戦闘機隊から無線連絡が入った。

「敵機前方に確認!数約30!」

 若井は報告を受けて前の方を見るが、前方座席が邪魔な事と、距離が離れているせいか発見できなかった。ただし戦闘機隊が増槽を落としたのだけははっきりと確認できた。

「各機へ、前方の敵機は囮の可能性がある、太陽、ならびに下方からの奇襲に注意!!」

 すると、部下の機体から予想通りの報告が入った。

「敵機太陽の中にいます。数は不明!!」

「全機密集編隊のまま迎撃せよ!!」

 戦闘機隊の半分が慌てて上昇していくが、恐らく間に合わない。何機かは必ず攻撃してくる。彼の命令はそれに対しての処置だった。

 今回独立艦隊の爆撃機、攻撃機にはそれぞれ新兵器が搭載されていた。試製2式12,7mm機銃である。その実は米軍のブローニングM2重機関銃の模倣品だった。

 前年12月から行なわれている陸海軍兵器統一製作で最初に行なわれたのがそれまでバラバラに開発していた機銃の一本化だった。これまで陸海軍は別個に機銃を開発していた。そのため、同じヴィッカーズ系統の7,7mm機銃でも弾薬を共用できないと言う笑うに笑えない事態が起きていた。

 それがようやく改善される事となった。この2式12,7mm機銃がその陸海軍共同開発によて作られた最初の銃であった。ちなみに20mm機関砲は陸軍の開発中だった物が廃棄され、海軍のエリコン銃の発展型を共用することとなっている。

 閑話休題。

 攻撃隊各機では後部座席の乗員が格納されていた銃を引き出し、発射準備をする。もちろん隊長の若井も同様だった。

「来やがれカトンボども!」

 若井がこれから現れるであろう敵機に吐き付けた。

 そして数秒後、太陽の中から甲高い音を発しながら数機の敵機が現れ、攻撃隊目掛け突っ込んできた。同時に、各機の12,7mm機銃が火を噴いた。こうして戦闘が始まった。


 御意見・御感想お待ちしています。











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう