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「恋愛色薄くね?」注意報発令中。

プラネタリウム
作:仁義無きスモーカー


僕は夜の街を眺めながら紫煙を吐きだした。

とっくに肺に馴染んだそれは、今では僕にとってため息の変わりみたいなもんになってる。

『…また煙草、吸ってるでしょ?』

今度は本当にため息をつく。

彼女は本当に勘が鋭い。

「…なんでわかんのさ?」

『わかるもんはわかる!』

僕はもう一度ため息をつくと、電話を耳から遠ざける。

『止め―――何回―――気が―――!?――にバカ――!』

漏れた怒声からしてしばらく説教は続きそうだ。



煙草をくわえなおしゆっくりと味わう。
毒はすんなりと体に吸い込まれていく。

緑が多い田舎街。
心なしか澄んだここの空気は、正直嫌いだ。


煙草はそんな空気をしっかりと濁してくれるフィルターみたいなもの。

『―――!……』

どうやら説教は終わったようだ。

『……ちょっと……聞いてるの?』

「聞いてますよ。しっかりと。」
そう言いながら紫煙を吐きだす。

『また吸ってる!やっぱり聞いてないじゃん!』

「違う違う…君の話を聞いた上でじっくりと考え、その結果煙草の必要性を見い出した…『電話切るよ?』すみません。」

電話口から『はぁ…』とため息が漏れる。

『本当にあんたの体、心配してるんだからね?』

「…ごめん…。」

『本当だよ!まったく…』

どうやら今回の喫煙は許して頂けそうだ。

『ねぇ。』

「ん?」

『そっち、星とか見えるの?』
彼女の言葉に僕は空を見上げる。

普段空なんてまったく見ないから、その星の多さに驚いた。

それだけ空気が澄んでいるということだろうが、ここまで見えるとはっきり言ってちょっと気持ち悪い。

『で、どうなの?』

「ちょっと気持ち悪い程度には見えるよ。」

『…それ…見えるのか見えないのかどっちなのよ…。』

「だから、すごい良く見える。」


『まったく……あんたは……。』

彼女は何やら呆れた様に何か呟いていたが、僕はあまり聞いていなかった。

無感動な僕の心でさえも、この星空には何か動かされるものを感じたらしい。

本当に、偽物みたいな空だ。

小さい時に一度、こんな空を見たことがある。

あれは…
『どう?綺麗?』

彼女の声が僕の意識を引き戻す。

「…前に言ったよね。この世界にね、綺麗なモノなんて何もないって。」

『あぁ…あの自殺志願者みたいな発言ね…。』

「ま、否定はしないけどさ。」

『今の発言についてはこっちに帰ってきてからじっくり説教するわ。…で、それがどうしたの?』

僕は煙草の火を消しながら言う。

「僕ね、一つだけ美しいと思うモノ、見つけたよ。」

『…何?どーせ星空とか言うんでしょ!』

電話口からケラケラと彼女の笑い声が聞こえる。

「…違うよ…こんな気持ち悪い空なんて。」

『…ま、あんたにかぎってそんなことはないとは思ったわよ…。』

酷い言いぐさだが否定できないのが悲しい。

『で、美しいモノって?』

「君だよ。」









『………………………は?』


















『…あのさ。』

「ん?」

『…笑い声漏れてるわよ?』

「げっ…!」

『げっ…!じゃないっての!ふざけないでよ、ちょっと焦ったじゃない、バカ!』

「ハッハッハ!ごめんごめんごめんごめんごめんごめん『電話切るよ?』すみません。」

僕は相変わらず気持ち悪い星空を見上げると煙草に火をつける。

『ねぇ、いつ帰ってくるの?』

「う〜ん…出席日数の都合上明後日には帰らないと。」

『あんた…それって間に合うの?』

「大丈夫じゃない?高速ぶっとばすし。」

『…………。』

僕は自分の精神年齢の低さに驚いた。

心配症の彼女にそんなことを言ったらどうなるか、わかっていて何故こんな言葉を選んでしまうのだろう?

『…………気を付けてよね?本当に…。死んじゃうとか、やだし…。』

「わかってるよ、ちゃんと五体満足で帰る。」

『約束?』

「約束。」

なんとなくわかった。

僕が彼女に意地悪をする理由。

「あのさ。」

『何?』

「僕と結婚して?『電話切るよ?』」

今度は笑いは漏れなかった。

「冗談じゃないよ、今度は。」

『…はぁ…。本当あんたってわかんない。』

彼女はしばらくブツブツと何か呟いていた。

「で、返事は?」

『No。当たり前でしょ?』

「何で?」

『真性のバカ?…問題、私達の職業は?』

「ニート予備軍?『シメルよ?』高校生です。」

僕は煙草を消す。

「結婚ってのは半分冗談なんだけどさ…『電話切る。』大好きだよ、君のこと。」

プツッ…

電話は切れたが恐らく最後の言葉は聞こえたはずだ。
そして恐らく数秒後には顔を赤らめた女の子が僕の携帯を鳴らすだろう。

〜♪

そして予想通りに携帯は彼女の名前を映し出す。

僕は笑いをこらえながら通話ボタンを押す。

『………。』

「僕と付き合ってください。」

『…あんたって本当に嫌なヤツ…。』

「返事は?」

『根暗だし、性格悪いし、不良だし、私意外の女の子には優しい癖に私には意地悪だし…それに…』

「…言ってくれるね…。」

世界で一つだけ、美しいモノ。

『でもね…。』

「ん?」

『大好き。』

彼女の心。

「そう言うと思ってた。」

『…やっぱ嫌なヤツ。なんでよりにもよってこんなヤツを…。』

僕は本当にガキだ。

だから美しいモノを、





彼女の心を掻き乱したくなる、そう思うんだ。


読んで頂き誠にありがとうございやす!

御意見、御指摘、激しく踊りながら御待ちしております。
(一緒に踊って下さる御方も随時募集中デス♪)

余談ですが「僕」のルーツはBlanky Jet Cityの『プラネタリウム』にあります。
興味があれば是非聴いてみてください☆














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