みなさんは、醜いアヒルの子という童話を知っておられるだろうか?
たぶん、知らない人はほとんどいないだろう。
デンマークの詩人アンデルセンの有名な童話。
アヒルの群れの中に紛れた白鳥のヒナ鳥が、アヒルのヒナと違うという理由でいじめられるお話で、最後は美しい白鳥に……
僕は、この話が大好きなのです。
何故好きかって? それは……
僕も学校でイジメられているからにほかならないから。
僕はアヒルのヒナでも無く、白鳥のヒナでも無い、イジメている奴と同じ人間なのにイジメられるんです。
僕がイジメられる理由は、イジメてる奴が言うのには、顔が不細工なんだそうですよ。
エラがはってるとか、顎がしゃくれているとか、タラコ唇とか言って、毎日、学校でイジメられるの。
毎日、毎日、ことあるごとに、同級生達は僕をイジメる。もう耐えられない、いっそのこと、イジメていた奴の名前を遺書に書いて死んでやろうと思っていた時に、事件が起こったんですよ。
それは、僕が醜いアヒルの子から、白鳥になったような出来事だった……
その日の放課後、僕はいつものように、同級生達に校舎裏に連れ出されたんです。
同級生達が僕を連れ出す理由は、罵声を浴びせたり、殴ったりするためなのですよ。
同級生達は三人ががりで、僕の顔の事を馬鹿にしましたよ。
本当に悔しかったです。まだ、自分の事だけだったら我慢できたのですけど、両親のことまで同級生三人は罵ってきました。どうやったら、こんなキモイ子供が産まれるのだってね。
さすがに、弱虫の僕でも頭にきましたよ!
僕は、「うわぁ」っと叫び声を上げて、同級生の一人に掴みかかりました。
でもね、元々、腕力が強くて喧嘩上手なら、イジメられるわけないのですよ!
同級生達は一瞬驚いたものの、すぐに「何だこいつ」と言って、すぐに僕の体を抑えつけてしまいました。
そのあとは、酷いもんですよ。ボコボコに殴られたうえに、同級生の吸っているタバコの火を手に押しつけられました。もう、熱いってもんじゃなかったです。気が遠くなるような激痛です。
それでも、同級生達の怒りはおさまらないらしく、今度はズボンをずらされて、僕の大事なところに根性焼きをしようとしてきました。
僕は泣き叫びましたよ、「それだけは、やめて」ってね。
同級生達に哀願しました。でも、奴らはニタニタ笑ってるだけで、やめてくれる感じじゃなかったですよ。
僕は、心の中で神様にお願いしました。
「助けてください」ってね。
そしたら、奇跡が起こったのです。
ちょうど、同級生達が嫌がる僕を羽交い絞めにして、僕の大事なところにタバコの火を押し付けようとした瞬間にですよ。
突然、同級生達の手が止まったのです。そして、口をポカンと空けて、空を指さしていました。
僕も空を見上げました。すると、見たこともない物体が僕達の頭上に浮遊してました。
その物体はかなり大きいもので、クルクル回転しながら、眩い光を発していました。
僕達が、その光を見ていると、なんだか眠たくなってきたのです。
気がつくと、僕以外の同級生達は、殺風景な部屋とゆうか、空間といったほうがいいでしょうか、とにかくベッドのようなものに裸で縛りつけられていました。僕が空間と表現したのは、同級生達を縛っているベットのようなものに脚が無かったからと、その部屋全体が透明であって、おそらく床であろうところから、下の景色がよく見えていました。どうも、ここは地上ではなく空中なのです。だって、下に広がる景色の一つに、僕達の学校が小さく見えているのですもの。
でも、何故、僕だけ縛られてなく自由なんだろう? そんな事考えていましたね。
すぐに、答えがわかったワケなのですけど……
突然、僕達のいる空間の一部が歪んで、そこから、見たこともない生物が現れました。
そうですね、例えるなら、アニメなんかに出てくる悪魔、そう魔王ルシファーって感じです。
髪の毛とかは無く、頭からはアンテナみたいなものが出ていました。顔はエラが張っていて、顎なんかしゃくれていました。唇もタラコみたいに分厚くて、気持ち悪い顔です。そして、一番の特徴は体の背中から、大きくて立派な白い羽が生えていることでした。だから、僕はなんとなく、悪魔だと思ったのかも知れません。
それで、その悪魔みたいな生物は、縛り付けてある裸の同級生のところに行くと、長い爪で同級生の腹を引き裂きました。生きたままですよ! すぐに同級生の内蔵が露出してまして、心臓とか丸わかりで、ピクピク鼓動しているのですよ。そして、開いた内臓から、同級生の腸を引きづり出して、喰らいつきました。
空間からは、血の匂いとゆうか、生臭い匂いが立ち込めて、吐き気がしました。みるみるうちに、同級生のお腹は空洞になって頭と下半身以外は皮だけになってダランと垂れてました。
同級生の内蔵を喰らったそいつは、もう一人の同級生のところに行き、今度は頭の上部を頭蓋骨ごと切断しました。一瞬、同級生は体の一部が痙攣をおこしたのですが、すぐにおさまりました。あとは地獄絵図のようなので、ご想像におまかせします。そうして、同級生三人は残酷にも、悪魔みたいな生物に喰われてしまったのです。
今度は、僕がそいつに喰われてしまうのだと思った時、頭の中で声がしました。
「さぁ、同胞よ、お前も喰え!」
一体、この生物は何を言ってるのだと、最初は思ったのですが……
どうやら、僕もこの生物の仲間のようです。
なぜなら、僕の背中にも、大きくて立派な白い翼が生えているからです。
僕は……白鳥だったのです。
醜いアヒルどもではなく、白鳥なのです。
僕は、嬉しくなって、仲間と一緒に、アヒル達の体に喰らいつきました。
とても、おいしかったです。 了。
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