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戦国小町苦労譚 作者:夾竹桃

小話 其之壱

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戦国時代式歯磨き

虫歯になれば歯医者に行けば良い、それが現代人の感覚だが戦国時代に歯医者は存在しない。
更に言うと歯磨きの習慣などない。これは石油から精製できる付加重合系の合成樹脂が手に入るまで、歯ブラシの安定供給が出来ないためだ。
しかし静子は現代で歯磨きを常にしていたので、歯を磨かないという事に耐えられなかった。

たまたま持っていたガーゼハンカチで、歯ブラシの代用をしていたがいつまでも使い続けるのは不可能だ。
そこで静子は茄子を栽培し、へたを黒焼きしたものに塩を混ぜたものを歯磨き粉とした。
歯ブラシは馬の鬣などで作った特注品だ。これで歯を朝と晩、歯磨きが可能な環境が揃った。

当然のように歯磨きの習慣がない信長たちには、静子の行動は奇抜に写った。
グラニュー糖の大量摂取によって虫歯は発生する。故に砂糖自体が貴重な戦国時代は、虫歯の発生率が現代と比べて低い。ただし、理由は不明だが虫歯菌だけは古くから存在している。

口腔ケアは重要である。現代における歯を磨く人と磨かない人の寿命の差は、歯磨きをしない事に起因する発癌も含めて十三年程度の差が出るという。
更に虫歯にかかる率が低いとはいえ、歯を磨かなければ歯周病になる。歯槽膿漏で歯が全部なくなれば、ものが食えなくなって死ぬ以外にない。
これは何も人間に限った話ではなく、野生の獣でも牙を失えば食べる事が出来ず死ぬ。

「彩ちゃんも随分と歯磨きに慣れてきたね」

「ええ、静子様が強引に私の口を開けて、口の中を歯ぶらしとかで磨いたお陰ですね」

彩は静子によって歯磨きの習慣を徹底的に叩き込まれた。
当然ながら彩は習慣がないので何度も忘れるが、その度に静子が強引に歯磨きをしていた。
時には羽交い絞めにしてまで、彩に歯磨きをさせていた静子だった。

「あっははー、ごめんよ彩ちゃん。でも私、流石に口の中が清潔じゃない人は耐えられないので」

信長のように距離がある分は耐えられるが、身近に接する彩の息が臭いのだけは我慢ならなかった。

「歯周病予防は大事だよ。歯の並びが悪いだけでなりやすいしね」

言うまでもなく歯は重要だ。プロ野球選手がガムを噛んでいるのは、何も菓子を食べたいからではない。
噛むことで脳への血流を活性化して集中力を高め、瞬発力をより発揮出来るようにするためだ。
歯の噛み合わせが良い事は身体のバランスが安定するし、パワーも歯の並びが悪い人間より強くなる。

なお奇妙丸も、長可も、慶次も、才蔵もこの歯磨き習慣だけは嫌でも叩き込まれた。それがいつしか信長に伝わり、彼が真似をすると森可成や秀吉、竹中半兵衛が真似をし出す。
更に濃姫も真似をし始めたので、尾張・美濃で一時期茄子が高騰したのは言うまでもない。
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