民間防衛部とはッ!
ひとつ 無敵なり!
ふたつ 決して屈したりせず!
みっつ 決して誇りを捨てることはない!
よっつ あらゆる防衛の手段を兼ね備え、しかも軍のそれを上回る!
by水巣
素敵ですわ、お兄様。
by璃妃
その9 トリガーハッピー・ライフルブレッド
――さて。
こう書くとまるで名探偵の推理が披露されるような気分になるが、今のところこの小説では、名探偵が出張るような事件は起きていないのである。
それはさておき。
当たり前のことだが、この学園の部活動は目利金が今までに見学したクラブだけではないのである。
現在認可されている部活動を高等部と中等部で合わせると(たとえ、活動内容が重複しているものは除外したとしても)百を超すという。その中には、たとえば野球部、サッカー部といったポピュラーなものから、“より快適なシエスタを研究する会”(通称シエスタ研究会)や、“みんな僕の家の子になろうよの会”(略して僕の会)といった存在する意味すらわからないようなものまである。
何故こんなにもクラブが乱立しているのか? それはたったひとつの単純な答えである。
“あんなろくでなし校長のいる学校だから”ただそれだけである。
例によってあの孫バカ校長は「なにフェリ? 入りたい部活がない? 逆に考えるんだ、『自分がやりたい部活を作ればいいさ』と考えるんだ」といった調子で、たとえ一年生でも4~5人集まって申請すれば簡単にクラブが作れる校則にしちまったのである。その当時孫たちはまだ小学校にも入学していなかったことから、いかにこのボケ老人が阿呆(いや、むしろ痴呆か)であるか窺える。
まあ、肝心の孫たちが普通に既存の部に入ってしまったのだからざまあない、といった感じである。
長々と閑話休題。
それでは本編の始まりである。
③ 民間防衛部
目利金コンビは保健室に行って金田の手当てをしたあと、なんかもう、それこそ興味の惹かれた部活動なら片っ端から見学(という名の逆強制参加)をして廻った。金田の名誉の為に一応付け加えておくと、迷惑をかけたのは目利科だけである。
具体的に描写すると、料理研究部では謎の着色料で全体的に蛍光色なケーキを作って“最悪の晩餐・井木”の再来と恐れられたり(金田の作ったホットケーキONメイプルは全員が美味しく頂きました)。
野球部ではドーピングとコルクバットでも使ってんのかなどと考えてしまうほどホームランをばっかんばっかん大量生産したり(一方金田はクマなんとかさんにユニフォーム着せたりバット持たせたりして遊んでいた)。
二次元研究会ではアメリカンテイストにデフォルメされた自画像を描いたかと思えば、あの世界的に有名な7つのドラゴンの球体を集めたりインフレしまくった戦闘力で死闘を繰り広げたりする漫画の主人公を原型留めないほどリメイクして本田先生の怒りを買ったり(金なんとかさんは無難に青色猫型ロボやメイド・イン・パン工場なヒーローを描いてた)。
まあ、なんというかやりたい放題であった。
そんなことを繰り返しているうちに、いつの間にかもう完全下校時刻の30分前ほどになっていた。
「……もうこんな時間かあ。そろそろ帰る? 今から見学するには遅すぎると思うよ」
すっかり日も暮れている。二人は現在寮暮らしをしていて、あまりに帰るのが遅くなると、食堂が閉まってしまい夕食を買いにいく羽目になるのだ。
「俺も三分ぐらい前まではそう思ってたんだけどな。That's look! 見てみなよ、アレ」 二人が歩いていた四階北校舎の廊下の突き当たりに、見るからに堅牢そうな無骨な金属製の扉があった。そのゴツい外見とは裏腹に、可愛らしい動物や花のイラストが描かれたファンシーなプレートがかかり、“民間防衛部”と印刷されていた。
「行かないか」
「ウホッ、いい部活……、じゃなくて! 全然よくないよ! なんか怪しいし、嫌な予感がしてしょうがないよ!」
見るからに色々とデンジャーな気配がするのである。『ゴゴゴゴゴ』と、どこからか謎の効果音すら聞こえてきそうだ。
「えー、いいじゃないか。なんだかあの部活を見学しないと今日を“締め”られない気がするんだよ」
もし金田がもう少し人に冷たい性格だったなら「知るか。お前一人で行け」とストレートに言っていただろう。ていうかむしろ言える性格なら良かったのに、と本人は思っていた。
「……まあ、どうしても行きたいなら別に止めないけど。でも、僕はもう疲れたし、クマ夫さんだってお腹が空いてる。一人で行ってきなよ、僕たちは先に帰ってるから」
彼にしてみれば精一杯冷たい言い方で、「なんでもかんでもいちいち僕を付き合わせんじゃねえよこの自称ヒーロー(笑)が」というような意思を表明した金田。が、あえて空気を読めない自称ヒーロー(笑)はあくまでもポジティブに解釈する。
「そうか! じゃあ君はそのクマ之丞?と一緒に帰っていていいぞ! 俺もなるべく遅くならないようにするよ!」
自分の意見を押し通す・他人の意見を理解しない・相手の反応は見ない、とまさしくKYの鑑である。言いたいことを言って、とっとと去っていってしまった。
「……はあ――」
いつものことではある。だが、あの扉からは尋常ではないほどに嫌な予感がする。
在が怖い目に合わないといいなあ、とため息を吐きながら、金田は本名クマ吉さんと共に家路を歩いたのだった。
「Hey! お邪魔するんだぞ!」
心ばかりのノックをし、返事を待たずに勝手に中に入る。彼にとってはいつものことだが、今回はそれが仇になった。
ジャキッ、と独特な金属音と共に、首に当たる冷たく硬質な棒状のなにかが当てられる。そしてそれ以上に冷えきり、怒りが込められた声。
「――貴様、我輩の許可も得ず、無断で部室に入るとはいい度胸であるな。部則第27条により貴様を全力で排除するのである」
「……………………………………………………え、ゑ?」
すっかり人気もまばらになった校舎内に、突如として断末魔のごとき悲鳴が響き渡ったが、その程度のことはこのヘタ校では日常茶飯事なのである。非常に残念ながら。
その後目利科は、寮の玄関でまるで命からがら戦場から帰ってきたようなボロボロの姿で倒れているのを発見された。
それ以来、彼は何故か部屋に入るとき、ノックを欠かさなくなったという。
めでたし、めでたし。
そして後日。
目利科は野球部とアメフト部に入部し、どちらでも新進気鋭の大活躍を果たすのだが、それはまた別の話。
一方金田は、散々悩んだ末、料理研究部と“ペット愛好会”という部に入部した。
どうやら自分に合う部を見つけられたらしく、それなりに楽しく充実した日々を送っているのだった。
続く
民間防衛部は璃妃も入部してます。てか、部員は二人しかいません。
クラブ見学編が終わったのはいいけど、次のネタどうしよう……
+注意+
・特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
・特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)
・作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。
この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。