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 やっと夏休みだ!
 by板利
 季節感がないにも程があるな。
 by土井津
その終 あの夏が待ってる
 なんやかんやあった一学期もようやく終わり、今日は終業式である。
『それでは、校長先生のお言葉です』
 本田先生のアナウンスで校長が壇上に出る。
『あー……暑いから手短に言うぞ。夏だ、精一杯遊べ! ただしあんまり羽目を外し過ぎずにな! 以上!』
『……宿題も忘れるな』
 校長のざっくりとした言葉に教頭にフォローをいれ、終業式はお開きとなった。
「……相変わらず短いな、この学校の終業式は」
「爺ちゃんが長話嫌いだからね〜。無理に長くしてもみんなが辛いだけだし」
「まあ、この暑さに数十分立ちっぱなしは中々きついな」
 土井津と板利が教室に向かいながら話し合う横では、呂士谷が姉妹に囲まれていた。
「依伴ちゃーん、奈多ちゃんが話があるってー!」バイーン
「兄さん、ハネムーンはハワイとイタリアどっちにする?」
「既に結婚が前提になってるー!?」
「呂士谷さん、いいかげんに諦めたらいいのに……」
「……羅飛♪」コルコルコルコルコルコル
「羅飛ィイイイイイイイイイイイイ!」
「奈多ちゃんと行く旅行ならシベリアでもアラスカでも楽園だよ!」
「十里、指、指折れとる! 早く保健室行けし!」
 一方教師陣は。
「やれやれ……みんな大はしゃぎだな」
「アライナー、宿題のこと、ちゃんと覚えているといいですね」
 言い合っているのは越野(こしの)(みなみ)先生と田井(たい)象太(しょうた)先生である。今まで出てこなかったけど別にいなかったわけではないのである。
「まったくある。遊んでばっかりで宿題やってこねえ奴が毎年何人もいるある。どうにかしてほしいあるよ」
「ま、まあまあ。せっかくの夏休みなんですから、多少は大目に見ましょうよ。……おや、そういえば取古先生は?」
「取古ならさっき桐支屋とおいかけっこしてたある」

「てめえこの桐支屋ぁーっ!」
「お前が悪い……このひげづらが」

「……お二人とも、この暑い中お元気ですね……」
 本田先生が汗を拭きながら呟く。
「もう、桐支屋も取古先生も少しは仲良くすればいいのに」
 少し離れたところで絵里紗が桐支屋たちを見て呆れている。
「ケセセセ! お前だって瑠馬(るうま)に会うとやたらつんけんすんじゃねーか!」
「瑠馬? なんのこと?」
 義流の指摘に絵里紗がとぼけた顔をする。瑠馬とは、金髪にメッシュを入れた八重歯が素敵なあの人である。
「ところで楼出さん知らない? さっきから探してるんだけど……」
「そういえば、校歌斉唱で伴奏弾いてたときから見てねえな。また迷子になったんじゃないか?」
「まさか、いくらなんでも体育館で迷子になるわけ……」
 絵里紗がそう言いかけたとき、壇上に繋がる扉からひょっこり押鳥が顔を出した。続いて水巣も出てくる。
「いくらなんでも体育館で迷子になる奴がいるか! このお馬鹿さんが!」
「違います! ちょっと戻るための道がわからなくなっただけです!」
「それを迷子と呼ぶのである!」
「………………」
 わーわー口論する押鳥と水巣を見て絵里紗は閉口した。
「あんなのいつものことじゃない」
「せやなー」
 後方で風連池と栖辺院が笑っている。
「せやなーじゃねーよちくしょー。助けてやらなくていいのかよ」
「だって、あんなん別に喧嘩じゃあらへんしなあ」
 栖辺院の楽天的な発言に呂飛が呆れる。
 さらに体育館の出口付近では。
「XDDDD! 見ろよ亜佐、終業式が終わった途端お祭り騒ぎじゃないか!」
「お祭りっていうか乱闘騒ぎじゃないのか? これ……」
 目利科と井木、兄弟なのかそうじゃないのかよくわからない二人が騒ぎを見物していた。
「なあ、真秀も見てみなよ!」
「そうだね〜ですよ。馬鹿ばっかりだねですよ」
「ああ、真秀いたのか。気づかなかった……ってお前秀太じゃねえか!」
「うわああ! なんでバレたですよ!?」
 井木は伊達眼鏡と人工アホ毛で巧妙に金田に変装していた秀太をシメる。
「お前小学校はどうした!?」
「小学校は昨日終業式だったですよ。別にサボったわけじゃないのですよ!」
「……あれ? じゃあ本物の真秀はどこに行ったんだい?」
 目利科が首を傾げる隣で、「(僕は初めっからここにいるんだけど……)」という囁き声がしたが、目利科の耳には届かなかった。


「……なんで終業式が終わっただけでこれだけの騒ぎが起きるんだ、この学校は……」
 一連の騒動を見ていた土井津がこめかみをおさえる。
「え〜? こんなのいつものことじゃないの?」
 そう言う板利に土井津は「まあそうなんだが……」と返す。
「そんなことより、明日からのことを考えようよ! 夏休みだよ、何して遊ぶ?」
「お前はいつもそれだな……」
「夏なんだからさ、プールとか海とか行こうよ! 士主兄ちゃんとか斗仁夫兄ちゃんたちも誘って、みんなで!」
「プールか……確かに楽しそうだな。だが宿題を終わらせてからだ」
「ええ〜……」
「八月三十一日に慌ててやるのも大概にしろ、もう高二だろうが」
「ちえー」
 板利はぶすーと頬を膨らませ、土井津とともに改めて教室へ向かう。
 こうして、長い長い一学期を経て、ヘタ校にも夏休みがやってきたのだった。


 おしまい

色々書き足りないこともありますが、ひとまずこれで完結とさせていただきます。
これまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
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