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第六十九話 敵の拠点

はい、どうぞ。



 ここは、暗雲が広がってパチパチと上空から雷が鳴り落ちている。

 目の前には、上空にある暗雲と同様の物が渦巻くっていた。

 まるで、中を守る結界のように見えた。


 ロドムの話によると、ここは人間の未踏地であり、これから攻め込む魔王の領地だと。

 暗雲が渦巻くっている中にはエキドナ・キス・スカーレットの拠点があり、暗雲には雷雲が混ざっていて拠点を守っているようだ。




 今、ここにいるのはゼロ、フォネス、マリア、シル、クロト、ミーラだけだ。

 残りの三人は自分の拠点を守るために、残ってもらっている。

 ロドムとその部下達は、先に先行して部下1000人を引き付けている。

 ゼロはロドムとは契約で協力しているだけなので、ここの戦いでロドム達が死んでしまっても気にしない。

 自分の目的は魔王を殺し、魔王になることだ。




(計画は……まぁ、上手くいっているみたいだな)

『……そうだね、その隙に中に入ろう……』


 ゼロ達はロドムが戦っている場所から反対側になるとこから侵入する。

 普通は雷雲の込める暗雲がゼロ達の侵入を拒むのだが…………




「”魔呪分解デュアルバッド”」


 拠点を守る暗雲はレイの解析によって、魔法だと見破っている。

 おそらく、水魔法と雷魔法の複合魔法だと思う。

 ゼロは拠点を守る暗雲を全て吹き飛ばすことはせずに、人が通れるだけの道の大きさだけ分解して進んでいく。

 これで察知するかはわからないが、暗雲全てを吹き飛ばしていたら、間違いなくロドムと戦っている敵にも気付かれてしまうだろう。

 だから、自分達が通るだけの道を作り出したのだ。




「ここは人間達は未踏地と呼ばれているみたいだな?」

「はい。理由があってなかなか入れない場所と言われていますね。ここはあの暗雲と雷雲があるし、強い魔物がウヨウヨしているからね」

「そこに、魔王がいる……までは知られていなかったみたいだな?」

「はい。この暗雲や雷雲は魔法で出来ているよね? あんな暗雲や雷雲が年中に出ていては、生活に支障が出ますからね」


 確かに、ここら辺に街を造っても、人は住みたいとは思わないだろう。

 あの暗雲や雷雲をなんとかしない限りはね…………




「なるほどな…………お、城が見えてきたな?」


 渦巻く暗雲と雷雲の結界を抜けると、立派なお城が見えてきた。


 吸血鬼が住む場所は必ずお城だと決まっているのか……?


 お城を見たゼロは少し呆れていた。想像と同じようなお城だったからだ。




(確かに吸血鬼が住んでいるお城っぽいが……)

『……オリジナリティがないねぇ……』

(だよなぁ。まっ、お城のことはどうでもいいか!)


 ゼロは『魔力察知』を使い、察知範囲を広げてお城を包み込むのだが…………




「……あん? 反応がないだと?」

「もしかして、ここにいない……?」

「いや、それはないな。部下1000人が出て来たんだ。指示を出した奴が必ずいるはずだ」


 1000人の軍隊を統制して、ロドムの軍隊と渡り合っている。

 まさか、魔王も1000人と一緒に出たわけないよな? と思ったが、それは違ったようだ。




「もしかして、全員が『隠密』か『魔力隠蔽』を持っているのか?」

「その可能性もあるね……」


 そう、『魔力察知』を防ぐ方法なんて、いくつかあるのだ。

 側近までも『魔力隠蔽』が出来るとは思っていなかったが、ラディアと違って、これから会う者は本物の魔王なんだから、側近も『魔力隠蔽』が出来ても当たり前だと思わなければならないだろう。




(はぁ、俺は敵を甘く見ていたかもしれないな……)

『……うん、油断はダメ……』

(わかっているさ。最終目的を達成するまでは死ぬにはいかないからな!)




 甘い考えは捨て、相手は強いと認めて、お城の中に入っていく。

 おそらく、最上階が魔王の部屋だろうと推測して、進んでいく。




「っ、止まれ!」


 一階の広場のような場所にて、ゼロは魔力ではなく何かの気配を感じて、制止していた。




「誰かがいる……?」


 フォネスも気付いたようだ。階段の前に誰かがいると。

 と、さっきまで姿が見えなかったのに、インクが染み込むように何かが現れた。




「おや? 誰だ?」


 カメレオンのような顔をした魔人がいた。

 どうやら、姿を見えなくするスキルを持っているようだ。しかも、魔力を感じないから『魔力隠蔽』も持っているとわかる。

 姿を消せて、魔力も察知させない敵は戦うには嫌な相手だと思う。

 だが…………






「馬鹿ね!!」






 ミーラがもう飛び出して、本来の武器、大槌を振り回し、カメレオンの魔人がいた場所を叩き潰していた。

 そう、今なら姿が見える内に倒せばいいだけなのだ。




「…………え、嘘っ?」


 大槌を退けるが、そこには潰れたカメレオンの魔人は……………………いなかった。




「いきなり? ズルイよ?」


 上から敵の声が聞こえた。

 敵は天井に張り付いて、こっちを見ていた。


 ミーラはすぐに上を見るが、敵には傷一つもなかった。

 なら、さっきのは幻影のような偽物だろう。

 ゼロも敵が潰されるのがハッキリ見えていたが、実際は無事な姿で上にいたのだから、アレは偽物だったと考えるだろう。




「あはっ、ゼロ様、ここはアタイに任せて」

「わかった。負けるのは許さん」

「わかったわ!!」


 ここはミーラ、一人に任せることに。

 敵は一人だし、もし他に敵が隠れていても、ミーラならやってくれると信じているからだ。




「先に行くの? いいよ〜、僕だけじゃ、止められない?」


 カメレオンの魔人は首を傾けて疑問文ばかり話している。

 いや、疑問文を話すのが普通なのかもしれないが…………




「あはっ、アタイは、ミーラ! お前を殺す者だ!!」

「ミーラ〜? 僕はロイダン?」


 お互いが名を乗る。

 そして、戦いが始まった…………






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 二階に進み、最上階は三階だと思うので、次の階段を探す。




(階段が別々になっているとはな)

『……うん、一気に攻められないように……造ってあるみたいね……』

(階段が続いてくれば良かったんだがな……)




 階段を探すが、廊下を走り回っても見つからない。

 なら、部屋の中に階段があるのか? と思い、近くにあるドアを開けていく。

 それを続けていくと…………




「見付けたが……、やはり敵もいるか」


 部屋の中に階段があるのを見付けたが、それだけではなかった。

 目の前に、二体の魔人が立っていたのだ。




「誰だろうが、ここは通さん!」

「我らが相手になろう!」


 向こうの二人は階段の前で通せん坊をしていた。二人だけでゼロ達を相手するつもりのようだが…………




「クロト!」

「ククッ、私にお任せを!」


 クロトはこっち側に自分とシルを残し、奇術でゼロ、フォネス、マリアを敵の向こう側に瞬間移動させたのだ。




「なっ!?」

「行かせるかぁ!?」


 ゼロ達、三人はそのまま階段に向かうが、敵は簡単に行かせない。

 だが、残ったクロトとシルが敵に攻撃を喰らわしていた。




「っ、トランプ?」

「速いな……」


 クロトはトランプを投げており、シルは拳をぶち込んでいた。

 敵は上手く避けていたが、足を止めてしまってゼロ達を先に行かせてしまったのだ。




「ククッ……、私達の相手を願いますよ」

「貴様……」

「ククッ、私はクロトと申します!」

「自分はシルだよ〜」

「舐めるな、貴様らは……、俺はトリガだ!!」

「我らの隙を付くとはやりますね。ネリガルと言う」


 敵の二人は吸血鬼ヴァンパイアであり、身体能力が高いのだ。

 二対二で戦うことになったクロトとシルだが、顔には余裕があった。


 ゼロ様から頂いた力、実力に自信があったからだ…………











 先に進んだ三人は、もう最上階である魔王がいると思える部屋の前にいた。

 目立つように作られた扉が、向こうに魔王がいると感じさせていたのだ。




 三人は言うことはないのか、黙って扉を開いていたのだった…………







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