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第五十九話 ダマス街

はい、どうぞ。



 襲ってきたスナザメを全滅させたゼロ達は、まだラオックス砂漠にいた。




「あー、まだ着かないのか?」

「はい。まだ街が見えません」


 スナザメを倒してから体感時間だが、三時間ぐらいは経っている。

 なのに、まだ街の景色が見えない。




(まさか、道を間違えたか?)

『……わからない。……お兄ぃ達は……ちゃんと、真っ直ぐに歩いている……』

(そうか。街への道がないのは不便だな。まさか、ラオックス砂漠の真ん中にあるとはないよな?)

『……そうだったら、熱すぎて生活……出来ないと……思う。それに……水の問題も……出る』


 さらに、交易するのに、不便になってしまうから、ラオックス砂漠の真ん中に街を作る理由がない。

 と、考えていたらフォネスが声を上げていた。




「あ! 街が見えます!」

「お、ようやく着いたか?」


 一番眼が良いフォネスが街を見付けた。

 まだ少し歩かないと着かないが、目標が見付けたので足も軽い。配下達も同じようだ。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 ゼロ達も街が見えるぐらいの距離になり、そこは緑が見えていた。

 ダマス街はオアシスの側に作られた街と聞いている。

 こんな暑さで綺麗なオアシスがあるのは驚きだったが…………




(ほう、オアシスの側に街を建てるなんて、オアシスがなくなったらその後のことを考えているのかな?)

『……さぁ? ……オアシスに何か……秘密があるじゃない……?』


 オアシスは枯れることもある。もし、オアシスが枯れてしまったら、周りが砂漠であるダマス街は生きていけないだろう。

 でも、あえてオアシスの側に街を作ったのか気になったのだ。




「また情報を集めるが……、先に休んだ方がいいな」

「すいません……」

「暑い……」


 ゼロとフォネスはまだ大丈夫だが、マリアとシルには休みが必要だと思い、もうすぐで日が落ちるので、先に宿を取って今日は休むことに。




「気にするな。今日はゆっくり休んでおけ」

「ありがとうございます」


 マリアとシルは先に宿で休み、まだ体力があるゼロとフォネスは夜ご飯の買い物に。

 ダマス街は周りが砂漠だが、活気のある街のようだった。

 ゼロ達が泊まる宿は料理長がいるが、自分で料理が出来る場所があるので、宿の店主に料理の場所を借りて、自分で作ることにした。

 まず、材料を買い出しに二人はダマス街を歩き回ることに。




「ここは土で作った家が多いな」

「そうみたいですね。所々に木や石で作った家がありますが、土が一番多いですね」


 土の家を鑑定で調べて見ると、ただの土ではなく水粘土と出ていて、太陽の陽射しを和らげる効果があるようだ。




(へぇ、珍しい土で作っているんだな?)

『……この水粘土を……持ち帰って……死体集合体に……組み込めば……』

(お、それはいい考えだが、今のスキルじゃタンパク質やカルシウムでしか造れないんだよな……)


 そう、死体から死体集合体を造れると言っても、扱える材料は決まっているのだ。

 ゼロの『身体構成ヒトナルモノ』で扱える材料は、肉に含むタンパク質と骨のカルシウムだけなのだ。

 前に魔物の硬い部分である皮を使って武器や防具を造れるのでは? と試したが、失敗したのだ。

 何故、魔物の皮は硬くなっているといえ、タンパク質が含んでいる皮が使えないのかは、解析したら、魔物の皮は変質していてタンパク質ではなくなっていたのがわかったのだ。

 他に、骨で武器を造るのが出来なかったのは、『身体構成ヒトナルモノ』が身体を造る能力であり、武器を造るのは不可能だったのだ。

 例えば、身体を造って指の骨を尖らせて武器として扱うのは出来るが、生活には不便なのでそうゆうみたいのは造ってないのだ。




(また新しいスキルを見付けて造り直すしかないな)

『……うん、前の石像族のスキルは……武器を造れたけど、……まだお兄ぃの力量では……身体か武器のどちらかになる。……身体を優先したから……仕方が無いけど……』

(確かにな。あの時はまず身体が必要だったからな。だが、今の力量なら大丈夫だろ?)

『……うん、またあの石像族みたいな……スキルを探す……必要がある……』

(まだそんなスキルを持っている奴は見付かっていないからな)


 見付けたら吸収して、統合し直すつもりなのだ。

 とりあえず、今は夜ご飯の材料を探す。




「ここで有名な食料は…………あ? サメ?」

「サメって、あのスナサメですか?」

「かもな。水場はあのオアシスだが、サメがいるとは思えないしな。店員、このサメはスナザメだよな?」

「はい。スナザメの背鰭です。とても美味しいですよ! 他に、このスナカニの身もオススメです!!」

「カニもいたんだ……。サメの方は持っているから、カニだけくれ」

「ほう! サメを持っているということは倒したのですか?」

「ああ。俺らも冒険者だからな」


 ゼロの見た目は冒険者に見えないだろう。だから、サメを倒したことに驚いただろう。




「そうでしたか。カニの足一本で1000ゼニになります」

「ふむ、足一本だけでも大きいから1000ゼニは妥当だろうな。よし、四本くれ。そしてあの貝を一皿分売ってくれ」


 カニの足は太さもあり、60〜70センチの長さになっている。

 貝はアサリに似た大きさで一皿で売っていた。




「毎度あり! 全部で4700ゼニだが、4500ゼニにおまけしてやるよ!」


 お、オマケしてくれるとは思わなかったからラッキーだな。

 うーん、サメとカニと貝で、パンと野菜も残っているし、何が作れるか…………




『……醤油がないから……煮物は無理だよね……』

(あー、煮物か。サメ、カニの煮物ってあまりないよな。でも今回は無理だな)

『……じゃあ、茹でる?』

(カニは茹でて、そのまま食べても美味しそうだしな。サメは背鰭が美味しいと聞いたからフカヒレのスープにするか?)

『……で、貝と野菜は……炒めて、海鮮野菜炒め?』


 と、レイと一緒にメニューを考えたのだった。

 親がいない日が多かったから、ゼロが料理をすることが多かったのだ。

 レイはまだ小さいのもあったから、手伝いは簡単なことに留めていたし、ゼロは料理なら大体の物は作れる自信はあるのだ。




「……よし、メニューは決めたからフォネスも手伝いを宜しくな」

「はい。わかりました」


 泊まる宿に着いて、これから料理を始める。




「カニは塩茹でするから、火を見といて」

「了解です」


 フォネスに火の番を任せ、ゼロは野菜とサメを切る作業に入る。

 カニは塩茹でにし、貝は砂を取るために、水にしばらく入れておく。

 サメを『収納』から取り出して、背鰭だけ切る。




(サメの卵はキャビアだったよな?)

『……うん、ここの世界は……わからないけどね……』

(うーん、今回は使わないでとっておくか)


 今回、使うのは背鰭だけで背鰭の皮を剥いていく。

 皮を剥くと、プルンと軟らかい魚肉が出て来た。

 うわっ、凄い軟らかいなと思いながら、カニと別に茹でておいた鍋の水が沸騰してきたので、細かく切ったハーブと塩を入れて、味を整えてから背鰭を入れる。

 カニも良い具合に赤色になったので揚げて、皿に乗せて、しばらく冷やす。

 次に砂を吐き出した貝と野菜をオリーブオイルと一緒に炒める。




 パカッ、パカッ、パカッ……




 貝も次々と開いていき、塩も少々入れて、味を整える。

 簡単な海鮮野菜炒めだが、匂いは美味しそうだ。

 最後に背鰭……いや、フカヒレスープも出来たか味見をしてみた。




「お、店員の言う通りに背鰭も悪くないな」

「で、出来たですか?」

「ああ。二人も呼んでくれ」

「はい!」


 フォネスは二人が休んでいる部屋に行って、二人を呼んできた。




「あ、ご飯ですね」

「ご飯!!」


 並べられるお皿を見て、夜ご飯だとわかってすぐに椅子に座った。




「カニは一人一本しかないが、店員がオススメしたから間違いなく美味しいぞ?」


 早速、カニの足の殻をパキッと割って、中身を食べていく。




「あ、美味しいです」

「初めてカニを食べたけど、美味しいですね」

「美味しいっ!」


 マヨネーズのような感動はないが、前の世界のカニより美味しく感じられた。




「ふむ、美味しいな。次はフカヒレスープと海鮮野菜炒めだ。パンもあるから食べな」

「フカヒレ? あ、背鰭のことですね?」

「ああ。フカヒレはサメの背鰭をそう言うらしい」

「なるほど……」


 こっちの世界ではフカヒレと言う言葉はないようだ。

 質問してきたマリアは知識に貪欲のように見えた。

 もし、他にも聞かれたらわかる程度なら教えてやろうと思うゼロだった。




 フカヒレスープも絶賛してくれたし、体力を養うことが出来た。

 明日からは魔人の情報を集めて行こうと思ったのだった…………







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