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第五十六話 情報

はい、どうぞ。


 マヨネーズの虜になった配下達が、もっとマヨネーズが欲しいと言っていたが、ゼロが食べ過ぎると、太るぞと伝えたら…………




「し、少量で我慢します!」

「太ってしまうなら我慢します……」

「自分は大丈夫だもん!!」


 と、シル以外は我慢を覚えてくれたのだった。

 シルには作るのが大変だよ? と説明して、納得してくれた。

 ゼロが作るなら、疲れないが、配下達はそういかない。

 いや、一日走り回っても疲れないのに、マヨネーズを掻き混ぜると疲れると言うのはおかしいが、肉体の疲れではなく、単調にただ混ぜるだけを続けるのは精神的に疲れてしまうか、飽きてしまうのだ。

 まだ精神が子供であるシルがやったら飽きる可能性が高い。




『……女性に……太るは禁句だよ……』

(そう言わないと、本当に太ってしまうんだから、心を鬼にして言ったんだから)

『……鈍感……』

(また!?)


 なんでそう言われるのかわからないゼロだった。

 レイの考えだが、三人とも、ゼロに好意を持っている。

 シルは恋とは違う好意かもしれないが、フォネスとマリアは間違いなく、恋に近い好意を持っているとわかる。

 好きな人から太ると言われるのは女性にとっては傷付くことなのだ。

 ゼロは体調を労っているつもりで発言したので、悪くないと言えるが、直球に言わなくてもいいじゃないかと思うレイだった。




 ふぅ……、お兄ぃは、どうすれば……鈍感が……治るだろう……? 後は長くなりそうだ……




 レイはため息を吐きたくなった。

 レイはゼロのことを兄以上の好意を持っているが、独占したいわけでもない。

 もし、レイが認める女性なら、夜伽などをしても構わないと思っているのだ。

 ゼロはいい男だと知ってほしいし、幸福を願っているのだからだ。

 だが、鈍感なのが玉にきずだけど…………




『……それより、……次はどうするの……?』

(おいおい、ここで話を変えるのかよ……。次か? 情報はまだ集めてないし、まさかギルドに聞くわけにはいかないし)


 目的がないのに、魔王の居場所をギルドに聞くのはおかしいし、自分達はまだEランクとFランクだから魔王討伐と言っても、やめろと止められるだけと予想出来る。

 冒険者でもない農民や町人に聞いてもたいした情報は得られないだろう。

 なら、商人か? 旅をしている商人ならば何か聞いている程度の情報は持っているかもしれない。


 そうと決まれば、すぐに行動する。

 まず、馬車を持っている商人を探してみることに。

 しばらく探して、すぐに見付けたのだった。

 その商人は雑貨屋をやっており、裏には馬車があった。馬は何処かに預けていると考えるとして、あの商人は旅をしているのは間違いないようだ。




「おい、俺はあの商人と話すから口を閉じて待っていろ」

「了解しました」


 配下達は了解と頷き、同時に口を閉じる。

 ここからがゼロの情報収穫の時間だ。




「お、この薬、良さそうだな」

「わかりますか? あのミラド街で作られた回復薬です。あの街で作られた薬はどれも優秀ですからね」

「ふむ、買おうじゃないか。あ、知っているか? メイガス王国が魔王に襲われたと」

「お買い上げ、ありがとうございます。その話なら向こうで聞いております」

「向こうでと?」

「はい。私はこの間まではメイガス王国にいたのですが、化け物が出て来て、街が半壊してしまったので、拠点をここに移したんですよ」

「そうだったのか。ここに拠点を移したのは、良い判断だったと思うぞ」


 どの口が言うかと言われそうだが、ゼロが化け物を操り、メイガス王国を襲ったのを知っているのは配下達だけだ。

 後ろで待機している配下達は表情を変えずに黙っている。シルだけはちょろちょろと周りを見ていたが…………




「ええ、その後に魔王ラディアが襲ってきたと聞きました。決断を早めにして良かったとワシは思いましたわ」

「そうですね。いきなり魔王が攻めてくるのは止めて欲しいと思いますね」


 ゼロは苦笑いして話しつづける。




「そういえば、魔王と言ったら他の魔王は何処にいるのか情報はありますか? その情報があれば、少しは安全に過ごせると思いますね」

「そうだな、自分の命が一番大切だからな。他の魔王なぁ……」


 商人は指を顎に添えて考える。




「魔王ほどではないが、強い魔人が出て来たと言う情報がありましたな」

「魔人ですか……? もしかして、魔王の配下とか?」

「未踏地以外で魔人が出て来たら、近くに魔王がいると考えろと聞いていますからね」


 なるほど。

 これはいい情報だと笑顔である顔に口が歪みそうだったが、押さえる。 営業スマイルで会話をする。




「確かに、そう思った方がいいですね。何処で現れたか聞いても?」

「ああ。構わないぞ。この薬を買ってくれるならな」


 情報料と言うように、さっき買った薬をもう一つと勧めてくる。

 この薬は鑑定で見たようにいい薬だから、別に買っても問題ないのだ。




「買った。で、教えてくれ」

「お買い上げ、ありがとうございますっ! 確か、ここの南にあるラオックス砂漠の近くだったな。近くにダマス街と言う街があるからそこを目指せばわかるだろう」

「いやいや、そこら辺が危険だろ? 安全のために行かない方がいいだろ?」

「ははっ、確かに始めからそう言っていたな」


 お互いが笑いながら少し会話をして、店から離れた。




(これで方針は決まったな)

『……うん、ラオックス砂漠を……目指すのね……』


 待っていた配下達が口を開く。




「さすが、ゼロ様です!」

「まさか、早速仲良くなって、あっさりと教えてもらうとはね……」

「待ち疲れたー」

「待たせたな。情報は手に入ったし、ラオックス砂漠を目指すぞ」

「魔人を探すのですか?」


 後ろにいたのだから、会話が聞こえたのだろう。

 魔人を探すのは過程で、目的は魔王なのだ。




「魔人がいたら魔王が近くにいると伝わっているみたいだし、可能性はあるな」

「なるほど。魔人がいた場所を調べて、何か手がかりがないか探すのですね」

「そうだ。次の方針は砂漠だから、準備が必要だろう。ダマス街は砂漠の近くだから、水が豊富だと思えんからな」


 ここで水を沢山準備してから行った方がいいだろう。

 火魔法で熱さを軽減出来るが、水魔法の水は普通の水と比べると美味しくないし、何故か不純物が混ざるのだ。

 水は重いから冒険者は持っていくのが大変だが、ゼロには『収納』があるからここで準備しても問題ないのだ。




「よし、水を買いに行くぞ」

「「「はっ!」」」




 方針も決まり、準備するために再び、買い物を始めるのだった…………







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