表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
38/174

第三十七話 小さき村

明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願い申し上げます。



 ゼロ達は水場の付近を探索して…………、ようやく人間の村を見付ける。




「見付けたか」

「はい。人数は大体50人前後かと思います」


 村を見付けてすぐに、隠密が使えるマリアが村の内容を確認してきたのだ。

 小さな村だが、貧困な様子はなく、平和に過ごしている姿があった。




「上手く周りの森林を壁にして遠くからは見えないように村を作ってあるな」

「うん。でも、平和なのは今日までだよねっ!」

「ああ。美味しい獲物はいないようだし、三人に任せる」

「「「御意に!!」」」


 ほとんどが、珍しいスキルや役立てそうなスキルもないただの村人なので、三人に任せることにした。

 だが、村にあるものに被害が出ないように厳守させた。

 つまり、フォネスとシルは火と氷を使った技が使えないのだ。マリアは武器で戦うのが主体なので、問題はないが…………

 ただの村人にスキルを使うのは必要ないかもしれないだが、一応申告して置いた。




(どう戦うか見物だな)

『……うん、スキル無しで戦うからね』

(あいつらには、技術を上げてもらいたいからちょうど、餌がいて助かるな)


 ゼロは高い木から村を一望していた。

 ここなら戦いの様子が見れる。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




「え、君達は……?」


 三人の女性がこっちの村に近付いてくるのが見えたのだ。

 今のフォネスは尻尾を一本にしており、女性二人の人間と亜人の旅人にしか見えないだろう。

 フォネスが尻尾を隠しているのは、まだ遠くにいる内に、叫ばれてバラバラに逃げられたら一々潰すのが面倒になるからだ。

 充分、村に近付いた頃に…………




「あの……? がっ!?」

「黙っててね。私達は村を潰しに来ました」

「〜〜〜〜」


 声を掛けてきた村人はフォネスに首を掴まれて苦しんでいた。

 その様子を見た村人はそれぞれが武器や農具を持って囲んでいた。

 おそらく、魔物には見えず、ただの女性が三人いるだけだから男性の全員で掛かれば勝てると思ったのか、逃げた者はいなかった。

 家の中に隠れる女性や子供がいたが、村から逃げようとしてなかった。

 これで三人の試みは成功したようだ。




「離せ! 何のつもりだ!?」

「あら、貴方はここのリーダー?」


 フォネスが喋る。マリアとシルは話すのをフォネスに任せて黙って見ていた。

 囲んでいる人々の中から男の一人が出て来る。




「ああ、村長の息子だが、ここの警備を任されている。それより、さっさと離せと言っているだろ!!」

「五月蝿いわね、すぐに離すわ」


 フォネスは首を掴む力が増し、首の骨を折った。

 だらりと身体から力が抜ける。

 そして、死んだ男を村長の息子やらに投げたのだ。




「貴様!? ぐっ!」

「もう一回言うわ。この村は潰しに来たわ」


 投げたのを合図に、マリアとシルは動き出していた。

 マリアは短剣を二本持ち、村人の首を狙っていく。

 シルは人間とは掛け離れた力で殴り、骨を砕いていく。




「な、ななな……」

「貴方ももう死になさい」


 死体を投げつけられて地に尻を着いていた村長の息子は、フォネスの持っていた大剣で真っ二つに切り裂かれて死んだ。

 その阿鼻叫喚な状況を見ていた隠れていた者は家から逃げだそうとしていたが、もう遅かった。

 三人の中で動きが早いマリアが切り捨てていたのだ。

 一人も逃がさずに、先に家から逃げ出していく者から急所を一撃で死体を増やしていく。



 三人の中で、人間であるマリアが何故、動きが早いのか、と思う人がいるかと思う。

 マリアは『影』にいた時から、周りより俊敏さが突き抜けていたのだ。

 そのマリアはゼロから名前を付けられて、魔物どころか魔人に負けないほどの俊敏を手に入れたのだった。

 フォネスは元から得意である火の威力が名無しの九尾族より高くなり、身体能力も均等に上がっている。

 マリアのように俊敏さが突き抜けるわけでもなく、力、俊敏、魔力と均等に上がっているということだ。

 シルは名付けられてから身体能力はどれも上がっているが、力が突き抜けている。

 見た目に合わずに、身長も三人の中では小さいし、細身だから力がないように見えるが、それは間違っているのだ。

 身体は見ただけではわからないが、シルの身体は細胞の一つ、一つが濃縮されており、無駄がないのだ。

 無駄な所がないから力も高められている。

 それだけではなく、細胞が濃縮されていて、肌に弾力性があるが、三人の中では固いのは小さきの彼女だろう。

 それぞれの彼女達は、違った長所があり、それらを上手く使いこなして、一人一人と死体を増やしていたのだった…………




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆




(ふーん、あれぐらいじゃ、武器だけで充分だったな)

『……普通の人間じゃ、弱すぎて相手になっていない』

(そうだな……、聖騎士ならいい勝負できるかな?)

『……ううん、メイガス王国にいた聖騎士程度じゃ、三人の相手にならない』

(そうか、スキル持ちも少なかったしな)


 そう、聖騎士と言っても街や王国によって強さに差があるのだ。

 今回のメイガス王国にいた聖騎士の実力は下の中程度なのだ。

 何故、メイガス王国にいる聖騎士が弱いのか、その理由は新人冒険者が多い街だと言えば察知出来るだろう?



 そう、メイガス王国の周りにいる魔物はほとんどが弱い魔物しかいないのだ。

 だから、初心者に近い新人冒険者が集まり、聖騎士も強い聖騎士を配置する必要がないのだ。

 今回みたいな襲撃はまれなことであり、予測出来なかったことで、普通なら起こるとは思わなかっただけなのだ。

 余談だが、マギルが誘った聖騎士は、メイガス王国の聖騎士ではない。

 別の王国の聖騎士であり、勇者カズトを召喚した王国なのだ。

 そこの聖騎士はメイガス王国の聖騎士とはレベルが違う。



 召喚されたばかりの勇者カズトは力を付けるために新人冒険者が多い街からスタートしていたのだ。

 レイとしばらく会話していたが、叫び声も完全に止んだことに気付いた。




(もう終わったみたいだな)

『……うん、お兄ぃ行こ……?』

(ああ。配下達を褒めてやらないとな)


 観戦していたゼロは木から降りて三人の元に向かった。






「良くやったぞ」

「ありがとうございます!」

「有り難きの言葉です」

「終わったよ〜」


 『魔力察知』では生きている者はいないと確認出来ている。

 ゼロも村から逃げ出されないように木から見張っていたが、逃げ切れた者はいなかった。




 言葉通りに、三人だけで村を潰したのだった…………







感想と評価を待っています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ