第百五十八話 優勢
『異世界に召喚された暗殺者の少年』をアルファポリスにて、応募しましたので、投票を宜しくお願いします。
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あと、今は新しい小説を書いています。まだ書き溜めしておきたいので、いつ出せるかわかりませんが、出す時は告知しますので。楽しみにしておいてください。
よろしくお願いします。
「腐腐腐っ、新手みたいね?」
「…………」
クスハとゴウダは新手が現れたことによって、警戒を高める。シルと違って、確かな強さを感じたのだ。
「やる気満々で、すいませんが、私は戦いませんよ?」
「腐腐腐っ、なんで?」
マリアは戦わないと言っているのだ。その心理が読めなかったが、先にマリアが行動を起こした。
「メロン、入口と出口を塞ぎなさい。転移の対策は必要はありません」
『はーい、お兄ちゃんからも命令がありました!』
何処からか返事が来たと思ったら、入口と出口が消えたのだ。
「……何を?戦わないのではなかったのか?」
「そういいました。私はね(・・・)」
全てを話す前に、部屋全てから魔法陣が光りだす。これは召喚陣であり、その数は部屋の壁、天井、床の全てを上書きするように、埋め尽くされている。
「ここは出口がない。そして、あなた達は転移ができない。そう、逃げ場がなくなった二人にはここで潰れて死んで貰います」
そう言葉を残すと、マリアとシルは影の中に消えて行ったのだった。それが合図だったように、全ての魔法陣から幽腐鬼、死体人形が現れる。出てくるスピードが半端ではなく、すぐに部屋を埋め尽くそうとする。
二人はマリアが何をしたいのかわかり、
「腐り、消えなさい!!」
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
出てきたモノを全て消すように、全力で魔法、スキルを使う。言葉通りに全開でだ。この後を考えていないような感じに見える。
二人は必死だった。この部屋はソナタの魔法をクスハが破ったため、本来の部屋に戻っている。ここはそんなに広くはなく、せいぜい人が千人入れるとこだろう。
だが、たった今、マリアが召喚をし始めたため、圧迫し続けられている。
マリアが召喚した数は、幽腐鬼が十万、死体人形が二十万。死体人形なクロトが操っていた兵士だが、クロトはもういないので、死体人形は動いていない。だが、それでいいのだ。
この部屋を埋め尽くすのが目的だから、別に動かなくても埋められるだけでも役に立つのだから。
「っ、くくぅぅぅ……」
「うおぉぉぉあぉあああああ!!」
全ての魔力を絞り出すような勢いで健闘するが、数が違う。そして、二人の魔力がドンドンと減っていく。
「もう駄目…………」
「クソォォォォォォォ!!」
ついに、魔力が切れた。幽腐鬼と死体人形が流れ込み、部屋一杯になり……………………押しつぶされた。
ーーーーーーーーーーーーーーー
ゼロがいる部屋にマリアが戻ってきた。シルの姿がないが…………
「ただいま、戻りました」
「ちゃんと、送ってやったみたいだな?あと、二人はさっき、死んだぞ。よくやった」
「有り難きしあわせであります」
シルは、ソナタなどがいる場所へ送ったのだ。やはり、王者能力を上手く扱えなかったようで、たったさっき、戦力外になったのだ。
だが、ゼロはシルを殺さない。ゼロは敵には容赦しないが、仲間は殺さないと決めているので、たとえ、この場では役立たずでも、他の場所で働かせることもできる。
シルには次の命令をマリア伝いにしてある。『仲間の居場所を守れ』と。
シルはまだ完璧に王者能力を扱えないが、実力は確実に高いのだから、非戦闘員の守衛を任せたのだ。
『もうすぐで溜まるが、まだ来ないみたいだな』
(……うん、もう発射しちゃう?まだ85%だけど)
『うーん、確実にこっちが優勢なんだよな。雑魚は健闘出来ていないようだし』
水晶玉で外の様子を見るが、新生幽腐鬼が押しており、つまらなく感じられていた。
なら、もう終わりにしてやってもいいかと考える。
『そうだな。メロンに命令を出しておこう』
(……なんか、あっさりだったね。方舟の中で生きている勇者は、カズトだけだし)
長年、準備をしてきたのに、最後はあっさりと終わるのはつまらないと感じていたが、このまま続けても意味はないと判断した。
「メロン、発射の準備をしろ!!」
『了解しました!!』
発射をしていたのはメロンであり、止めるには、メロンを倒す必要がある。だが、メロンがいる場所は、この部屋を抜けなければ行けない作りになっているので、ゼロも倒さなければならなくなる。
「そうだ、カズトに発射する所を見せてやろうか?そしたら、どう絶望するんだろうか。ククッ…………」
「なっ、止まった?」
今まで戦っていた幽腐鬼が急に止まったのだ。
「誰かが止めたの……?」
「そんなことはどうでもいい!今がチャンスだっ!!」
カズトは幽腐鬼を無視して、先に進もうとしたら、声が聞こえた。
「そんなに慌てて、何処に行こうとするかな?」
「ゼロ!あの光線を発射するな!!」
「ククッ、そのことで話があるのだ。まだ溜まっていないが、充分に全てを破壊できると判断したので、今から発射すると決めた」
「なっ!?やめろ!!」
「ハハッ!!もう遅い!!せめて、最期だけは見せてやろう。そして…………」
絶望しろ
カズトは膝を折った。今から戻ろうとも、ゼロの元へ向かおうとも、間に合わないとわかっているからだ。
「さて、これが発射されたら、残った勇者はお前だけだ」
「な、何を……言って、いる……」
カズトはゼロの言葉で理解した。いや、理解させられた。
そして、外の様子が写っている映像が現れた。
「”光輪凱旋砲”発射だ」
今、”光輪凱旋砲”が発射された。
外の人はまだ一時間経っていないのに、大きな大砲から魔法陣が浮かんだことに疑問が浮かび、なんなのかわからないまま、光の暴流が放たれたのだった。
もう終わったと、皆が思った。
だが、奇跡が起こった。
「皆、防げ」
水晶玉を通して、外から声が聞こえたと思ったら、
「「「”守護神盾”!!」」」
光る巨大な盾が現れ、”光輪凱旋砲”を逸らすのではなく、完璧に防いだのだった。
「なっーーーー」
今度はゼロが驚愕の声を漏らすことになったのだった。
「手助けに来ました!!」
空には、大量の天使、龍の聖獣であるセラティム、そして…………
第一~三の大天使が浮いていたのだった…………