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第百四十四話 最終宣告



 ゼロがいる天魔の方舟は雲の上にあり、下からの目視では発見は出来ない。

 ある一つの部屋では、ゼロだけが黙って座っていた。

 さっきまでのことを思い浮かべていた。


 最強の魔王、ミディ・クラシス・ローズマリーのことだ。




 ゼロは、間違いなくこの世界でも指折りの実力者になった。それは、最強の魔王であるミディ・クラシス・ローズマリーと並んだと言うことになる。

 友達として、約束通りに戦うとゼロは思っていた。

 だが、ミディは…………




『強くなったから、約束を果たせそうだねっ! …………でも、今は戦わない。貴方には目的があるんでしょ? それが終わるまで待ってあげる!!』




 と言って、ロドムと姿を消したのだ。


 ゼロとしたら、確かに待ってもらえるのは助かるのだ。これからすることには、万全の状態で挑みたかったからだ。


 神の類になったゼロは、もうこれ以上の成長は望めないだろう。だから、今はミディと戦う理由がないのだ。ただ、約束があるだけで。


 ゼロの目的は、世界征服だ。ただ、ゼロの世界征服は人間を全て消すことではない。

 だから、決戦の前にやることがあるのだ。




(……どうだった?)

『……ゴメン、詰めが甘かったみたいで、あの勇者が強くなったみたい』

(そうか、それは仕方がない。あの身体は二つの王者能力があるから第七位の悪魔王程度では、強度が足りなかったみたいだな)


 レイの身体は、悪魔王の身体を材料にしているといえ、王者能力は一つしか耐えられる身体でしかなかったのだ。だから、決戦で万全に戦えるようにするため、タカオに攻撃した後、すぐに戻ったのだ。

 だが、その詰めの甘さで勇者カズトが強化された。




(まぁ、いい。勇者カズトは俺がやる。他の人にはカズトと戦うなと言っておかないとな)

『……そうだね。フォネスとマリアなら、いい勝負は出来そうだけど、勝っても再起不能に陥りそうだね』

(ああ。シルの完成度はどうだ?)

『……シルね、ヨハンと協力してやったから、完成度は高いのは確実』


 今まで、シルの出番がなかったが、ようやく決戦での活躍が期待出来そうだ。




(なら、いい。決戦は一週間後だな。一週間なら、準備を全て終わらせているだろうしな)

『……うん、私の身体も万全に動かせるだろうしね!』

(よし、最終宣告でもするか)




 何故、この部屋にはゼロだけなのは、すぐにわかる。




「さてと、全ての街に最終宣告をしようではないか……!」




 一つの部屋が、ゼロの全てを光で包んでいく…………






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






 ルーディア国にて、ナルカミの襲撃から数時間しか経っていない。

 怪我した者の手当、壊された物の修復をしていた兵士は気付いた。空に何かが映されてことに。




「な、なんだ!? アレは!!」

「え、映像?」




 そう、1人の兵士が騒いだように、映像に見えた。

 それらの映像は、ルーディア国だけではなく、聖アリューゼ皇国、サーズ王国など、ゼロに潰されていない他の街にも映像が映されている。そして、映っている者の顔が、良く見えるようになり…………






『初めまして、それと初めましてではない者もいるが、自己紹介をさせて貰おう。

俺は魔神に成り上がったゼロと言う』






 魔神ゼロはニヤッと口を歪めて話している。まるで、その後が楽しみだと言うように。




『俺の目的は世界征服。世界を手に入れるために、敵となった勇者、魔王、大天使、悪魔王を殺して来た。そして、俺は絶対なる力を得た。

これからは、人間達を選別したいと考えている』




 選別だと? と、疑問を浮かべる者が多いが、次の話で理解した。




『これは、最終宣告だ。俺達は一週間後にルーディア国を狙う。

 お前達は俺を倒したいなら、全戦力をルーディア国に集めることだ。勇者は必ず参加させるように』




 いきなりの戦争宣告、呆気に取られる民衆と兵士達だったが、ゼロの目が本気だと言っていたのがわかった。




『戦いたくない奴らは、他の街に避難しているがいい。そこには手を出さないことに誓おう。

 だが、勇者は駄目だ。もし、勇者を隠す国があっても、俺には見破る方法があるから無駄だ。隠したなら街ごと消そう』




 民衆は青ざめる。もし、偉い人が勇者を隠しただけで、巻き込まれてしまうのだ。それを防ぎたいなら、勇者は必ずルーディア国に送らなければならない。

 もちろん、人間側が勝てば問題はないが、民衆にはゼロの実力がわからない。だから、こっちまで巻き込まれるのは堪らない。

 これで、勇者は全員がルーディア国に向かわなければならなくなった。


 始めに手を出さないと言って、条件を守れなかったら消すと言う非道な脅しだ。ルーディア国以外の国は安全だが、上の意向によって、他の街も目標にされてしまう。

 民衆はそれは許さないと、騒ぐだろう。

 国と言うのは、民がいてこそだ。民からの信用が無くなったら国として成り立たなくなるから、上は勇者を出さなければならなくなった。


 だが、聖騎士や竜騎士は指名されていなかったから、勇者を行かせても、国を守る分の聖騎士と竜騎士を残すだろう。


 ゼロは、それぐらいなら、幽腐鬼だけで、いつでも潰せるから気にしないことにしている。

 まず、勇者だけは全滅させないと人間側に切り札を残すことになる。だから、勇者だけは全滅させるつもりだと考えている。




『わかったかな? では、一週間後にルーディア国に出会おう…………』






 ブチッと、映像が一斉に消えた。だが、まだ民衆の騒ぎが静まらない…………






◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆






(最終宣告はこれでいいだろう)

『……うん、もうすぐだね』

(ああ……、もうすぐだ)




 ゼロとレイは、長年求めていた世界を手に入れるのが近いと感じつつ、その日が来るまで、王座で待つのだった…………








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