ファンタジーショートショート
その男は突如暗い空間に閉じ込められた。動揺している男に輝く人影が近づいてきた。
男はその人影に言った。
「お前は何者だ。ここはどこだ?」
人影は嬉しそうに答えた。
「ここは世界と世界を繋ぐ橋のような場所だ。良いか悪いか知らないがお前は偶然そこに入り込んだんだ。もう元の世界に帰すのはこのままでは無理だろう。だがお前に私から力をやろう。不老不死、全知全能、ありとあらゆるチート能力を仕込んでやった。ここから元の世界以外で行きたい世界に飛ばしてやることが出来る。もちろん飽きたらここに戻ってくることができる。そのときはまた別の世界で飛ばしてやろう。」
それを聞いた男は訝しんだ。
「ありがたい話だが、何故そこまでしてくれるんだ?」
人影は
「何、こうゆうことが稀にあるのでな。その時はこうしましょうというマニュアルみたいなものだ。ずっと居たい世界があれば良し、あちらこちらの世界を飛び回るのも良しだ。いい話だろう?」
男は
「まぁ、ここに居てもつまらないだけだ。ならRPGのゲームのような冒険溢れる世界へ連れて行ってくれ。」
「お安い御用だ」
次の瞬間男は、見知らぬ世界の地面に足をつけていた。そこで男は、ありとあらゆるチートを使いその世界を救う勇者と呼ばれるようになった。
しかしあるとき人影に連絡があった。「飽きた。別の世界に行きたい。」
人影は望み道理にした。男は欲望渦巻く官能の世界へ誘われた。そこでも男はありとあらゆるチートを用いて快楽に溺れた。
また男が「飽きた。」という事なので今度もリクエスト通り人の一切居ない世界へ誘った。今度はかなり早く「飽きた。」と言ってきた。
こうして人影は男が飽きたら違う世界へどんどん誘っていった。
どれくらいの時が経ったのか分からない。ある時男は人影に「飽きた。」と言ってきた。
人影は
「次はどんな世界がお望みかな?」
男は答えなかった。暫く経って漸く
「お前の居る橋に戻りたい」
人影は自分の目の前に男を召喚した。
「どうしたんだい?」
男は
「もうどの世界にも行く気が起きなくなった。ここにずっと居たい。」
その瞬間人影が揺れて青年が現れた。動揺を隠せない男に青年は言った。
「良くぞ言ってくれた。ならこの力を全てお前に渡そう。これで僕は自分の世界に帰る事ができる。元々ここはそうゆうルールで成り立っているらしくてね?人が来ないと帰れないんだ。君がここに来た瞬間に不老不死、全知全能、ありとあらゆるチート能力が君に自動的に移動するらしくてね。こうなるともう帰れないんだ。帰る方法は唯1つ全能力の譲渡だ。唯の人に成らないと帰ることができない。唯の人になってしまえばすぐ元の時代の元の世界へ帰還できる。あぁ自分を複製してもそれには譲渡できないらしいからやっても無駄だよ?これら全ては私の前任からその前任も前任からずっと引き継がれている。なんでこんなシステムなのかは誰もわからないんだけどね。」
急な展開に追いつけない男に更に言った。
「まぁ君がここに居たいといった時から譲渡は始まっているからね。僕はそろそろ帰ることができるんだ。嬉しいなぁ。君も後任がすぐ来てくれることを祈りながらここにいるといいよ。いつ来るかなんて誰にもわからないんだけどね。そうそうその時は神々しさを出すために光っているといいよ。僕がそうしたみたいにね。それじゃ頑張って。」
そう言って青年は消えた。
暫く男はその場で動くことができなかったが、何かを呟いて全身から光を放ちそこに佇み続けた。