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 このお題は、書き始める前に随分と悩みました。『足つぼマッサージ』これをどう使うんだろう…。悩みながら、そんな訳の分からないお題の時は、やっぱりあの二人だよね。と登場させるキャラはあっという間に決めました。挿話集の記述から、このお題は、遠子がリボンを木に結ぼうとした時のもの、という事だったので、最初は教会のツリーに先輩が登ってリボンを結ぶ、そんなスタートをさせて見ました。けど、そのスタートでは、さすがの二人も足つぼマッサージはうまく使えずに、断念しました。
 そして、色々考えてるうちに、その使い方は突然閃きました。けど、それでも落ちに持っていくまでは紆余曲折がありました。けど、やっぱりあの二人は抜群の安定感でお話を落としてくれました。いやーアッパレ。
リボン、教会、足つぼマッサージ
 今、僕の仕事部屋には拷問器具があった。 ふと、その拷問器具を手に入れてしまった時の事を懐かしく思い出した。

 あの日、教会ではボランティアのクリスマス会があり、プレゼント交換があった。
 大半は小学生で、中に僕のようなボランティアが混じってのプレゼント交換だったので、近くのおもちゃ屋で、手頃なおもちゃを買ってラッピングしてもらった。
 僕はどんなプレゼントを引き当てる事になるんだろう?
 その当時、もう高校生だと言うのに、プレゼント交換と聞くと、なんだかワクワクしてしまう自分がおかしかった。
 ラッピングされてリボンを掛けたプレゼントを持って教会に行くと、もうボランティアの人達は揃っていて、各々が用意したプレゼントの事で話し合っていた。

 僕が来たことに気が付いた先輩が近付いてきて、嬉しそうに話しかけてきた。
「ねぇねぇ、プレゼント、何にしたの?」
「僕はミニカーのセットにしました。 先輩は?」
「私は、お人形さんよ?」
 そう言いながら、きれいにラッピングされた箱を僕に見せつけた。
 いつもの事だけど、僕は素直な事は言わずに、ちょっとずれた感想を口にした。
「へぇ、女の子みたいですね」
「もうっ みたい、じゃなくて、私は女の子です!」
 ぷりぷり怒りながら、頭をぽかりとやられた。

 その時、子供たちが揃った、と声がかかり、全員で子供たちの待つ部屋へと行った。

 しばらくは特に不思議なことはなく、ケーキを配って、みんなで食べて、プレゼント交換をした。みんなが持ち寄ったプレゼントに番号をつけて、アミダくじを作った。
 僕の買ったミニカーセットは小さな男の子が、先輩の買ったお人形さんは、ちょっと大き目の女の子が、順当に引き当ててくれた様だった。
 女の子がお人形さんを箱から出して、着せ替え始めたので、その人形は裸にされた。長い黒髪の人形で、ほっそりした体つきだけど、一応は凹凸が再現されている様だった。
 その人形と先輩を交互に見ていたら、ぷうっと頬を膨らませた先輩に、今度はデコピンされてしまった。
 結局、先輩はふかふかの手袋を引き当てて喜んでいたが、僕は、というと、何だか、どうも妙なものを引き当てた様だった。

 何だろう? 掛けられたリボンをはずし、丁寧にラッピングをはがして、中身を取り出してみると、なにやら本当に怪しげな物だった。
 先輩も不思議そうな顔で、僕の引き当てたプレゼントを覗き込んできた。
「これは、なにかしら?」
「見た事がありませんね…。 あれ…? これって、手につけるんでしょうか?」
 如何にも指を入れそうな、手袋のような、でも、そこにスプリングや怪しげなメカがついたなにやらヘンテコリンな物がそこにあった。
「なんでしょうね…」
 その時、そのプレゼントを持ってきたらしい男の子が、はっきりと言った。
「それは、 足つぼマッサージ養成ギブスです」

「へ?」
 きっと、僕も、先輩も、いや、そこに居たほとんどの人は目が点になったと思う。
「そのギブスを手にはめて、マッサージする足を持って、スイッチを入れると、最高に気持ちいい足つぼマッサージが出来るんです」
 その子は大真面目でそんな事を言った。

 その時、どうして僕がそんなに大胆な事をしたのか、それはよく分からなかった。
「じゃ、先輩。 今から、僕が最高の足つぼマッサージをして差し上げますよ」
「え?」
 先輩が引きつった笑みを浮かべるのも取り合わず、先輩を座らせると、ギブスを手にはめて、先輩の足を持ち、スイッチを入れた。

 その瞬間
「!!! ぉあ! ひゃぁあっ  そこっ うぇあ! ひぃい!」
 人間としてはかなり限界に近いと思える、妙な悲鳴を上げて、先輩は悶絶した。そのなりふり構わない悶絶ぶりに、僕は思わず赤面してしまった。
 僕の足つぼマッサージを受けて身もだえした先輩は服装も乱れて、髪を振り乱し、あられもない姿で、なぜか頬を染め、瞳を潤ませて、熱い息をしていた。
 もし、その場に警察がやってきたら、僕は捕まったかも知れない。
 荒い息の中で先輩が、息も絶え絶えに言った。
「それ…、  拷問よ…」



 それからずっと、つい最近まで、その拷問器具、いや足つぼマッサージ養成ギブスは封印されていた。
 けど、それは今、僕の仕事部屋にあった。 僕と、その担当編集者の罰ゲームとして、復活してしまったのだ。
 その威力は、最近になって初めて体験したけれど、あの時の先輩の恐怖が初めて分かったような気がしていた。
 今は、僕がその恐怖にさらされていた。原稿が〆切に間に合わなかった場合は、あのギブスの餌食になる事になっていた。

 あと十枚。時間は一分もない…。
「時間よ」
 ギブスを手にはめた先輩が、笑顔で僕の前に立ちはだかった。

「!!!!!」


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