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この話はしょぼい話です
募金してはいけない募金箱
作:火水 風地



 俺は今、初めて来た詩戯茶しぎさという個人経営らしい喫茶店にいる。そして今、俺は目の前の箱に驚きを隠せないでいる。

 そのサッカーボール程の大きさの真四角の箱には、鈍く光る円形の通貨やらギンギラに照かる丸っこい通貨やらが普通のそれではありえない程たんまりと入っていた。

 そして何より俺が驚愕する要因となっているものは、その宝箱の表面にしっかりと貼られている紙にあった。

 『この募全箱にはお金を入れてはいけません! もし、入れてしまったら大変なことになりますよ!』

 正直なところ意味が分からなかった。そもそも募金箱というものは募金するためにあるものだと俺は理解している。しかもそれは当然の如く世界の常識となっているはずだ。

 しかしここで疑問が浮かんでくる。募金するものがいない筈の募金箱にどうしてお金が溢れんばかりに貯まっているのかということにだ。……自分なりに考えてみたが、やはり意味が分からない。

 「こうなりゃ、小銭いれて様子でも観るか」

 深く考えても何の閃きも訪れなかったので、俺は行動をすることにして、ポケットから百円玉をサッと取り出した。小銭はそれしかなかったのだ。そして俺はその小銭を募金箱にそっと落とし入れた。

 

 ちょうどそのころ、アメリカのある少年はこれから起きることなど知る由もなくのんきに深夜にも関わらずある映画を見ていた。題名は……

 【COLLAPSE OF THE EARTH】

 訳すると地球の崩壊

―――――
―――


 ドッカーン


 俺が静かにコインを入れたその瞬間、地球はおろかこの銀河系さえも一瞬にして崩壊してしまった……

―――――
―――


 なんてことにはならなかった。お金を入れても何にも起きなかった。

 「……なんにも起きねぇ」

 正直なところ、こんなことをしている自分が恥ずかしくなってきていたので俺はその店を後にしようと歩を進めた。だが一歩外へ踏み出したところで店内からひそひそと声らしき音が聞こえてきたので俺はその足をまた店内に戻し耳を潜めた。

 

 「店長、あの箱……凄い店の利益に献上してますね。ですけどあれって詐欺にならないんですか? ボランティア団体にあれ渡してないですし……」

 「大丈夫でぇーあれは募金箱じゃねぇし、だいたいにしろ獲物は自分から進んで金を放り投げてやがんだから」

 「…………ほんとですね。これ募全箱ってなってますね」




 

 

 


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