Rumble(6/38)縦書き表示RDF


Rumble
作:久遠



第5話:リフレインver和人


――Side Kazuto Himuro

琴乃が過去を振り返っている頃、和人も同じく昔を思い出していた。

氷室家と春日家は家が隣同士で子供の頃から二人は仲がよく、家族ぐるみの付き合いをしていた

「和ちゃん〜♪」

満面の笑みで、スープを掬ったスプーンを差し出してくる、見た目高校生くらいの美少女。銀のウエーブかかった長い髪とクリッとした碧眼が可愛らしい、ハーフ。

氷室・レミリア。俺の母親である。性格は…

「……母さん…自分で食べるから…」

超絶子煩悩である。拒否され、いじけたようにスープの具をつついている母さん。

「母さん、こんな可愛くないガキは放っておいて、私たちだけでいちゃいちゃしようではないか…」

20代前半に見える黒髪の優男。

氷室健介。俺の父親である。対面からスプーンを母さんに運んで「はい、あ〜ん」とか言ってるが…

−−ダン!!

一瞬で父さんの表情が凍りつく。父さんの前にはテーブルに突き刺さっているフォーク。

「…あ、あの…か、母さんや?」

「…健ちゃんでも、和ちゃんの悪口は許さない…」

隣で物凄い殺気を出している母さん。母さんの父親…つまり、爺ちゃんが武術の師範とかで、母さんも幼い頃から鍛錬を積んでいたらしい。いわば達人クラス。

今は引退したとか言ってるが、強さは顕在。普段は片鱗すら見せないが、怒りの沸点を超えると目が武術家に戻る。

「ち、違う!悪口じゃない!!お、親と子のスキンシップだ!!」

「………」

必死に言い訳するが、まだ目が据わっている母さん。暴れられても困るので助け舟を出しておくかな…

「母さん、はい」

フォークでトマトを刺し、母さんの口元に持っていく

「和ちゃん、あ〜ん♪」

すると途端に上機嫌になり、トマトをパクつき食事を再開し始めた。やれやれだ…

どうにか機嫌も直り、安心からため息を吐く父さん。

「所で明日だが…朝早いから寝坊するなよ。和人」

「明日って?」

「もう、和ちゃんたら。家族で買い物に行くって言ったじゃない…」

「……今聞いたんだけど…」

「それはそうよ♪だって、ついさっき決まったことじゃない…」

……理不尽だが突っ込んだところで無意味なんで黙っておく

「俺、行かないよ…」

……言った瞬間、ガッツポーズをする父とこの世の終わりのような顔をする母

「なななな、何で!?折角の日曜日の母子の触れ合いなのに!!」

いつの間にか父さんは抜け物になっているし…

「琴乃と映画見る約束したから…」

「お〜、手が早ぇ〜な。可愛い幼馴染とのデート。人生の勝ち組がめ!まぁ、俺も美人の奥さん貰ったから人生の勝者なんだがな」

ガッハッハと愉快に笑う父。明日、母さんと二人きりというのが嬉しいんだろう…。対照的に剥れる母さん。

そんなやり取りが何時までも続くと…この時は思っていた


翌朝

「じゃ、行って来るからな。戸締りしっかりしろよ」

「……和ちゃ〜ん」

「来週は、暇だから…」

「ホント!?じゃ、今回は健ちゃんで我慢する〜」

朝早くに両親は車で出かけていき、それを見送った後、部屋で宿題を片付けていた。

「そろそろか…」

時間を見ると待ち合わせの時間に近づきつつあったので、俺は準備をし玄関に向かった。

出かけようとした時に電話が鳴り、琴乃からかなと思いつつ、電話を取ると…

「……は?」

言われたことが理解できなかった……

「………父さんと母さんが…死んだ…?」


居眠り運転のトラックと正面衝突したらしいが…そんなことはどうでもいい…。重要なのは父さんと母さんはもう居ないという事実だけだった。




病院に駆けつけると爺ちゃんが俺を抱きしめ、親戚が遺産がどうとか、誰が引き取るか話をしていた。

その時、思い出したのは琴乃との約束…

父さんと母さんを失った今、俺に残っているのは琴乃だけだった。

病院を飛び出し、琴乃と待ち合わせた公園に急ぐ。

だが…その結果は…

「和くんなんて、大っ嫌い!!」

拒絶の言葉だった…


後はよく覚えていない…

いつの間にか家に帰り、葬式を終え、身よりの無い俺を爺ちゃんが引き取り、今のこの家に来た…


「はぁ…」

過去を思いだし、溜め息をつく。

琴乃と話せなかった…

原因は俺だ…

引っ越す前に、謝り、話をしていればこんなことにはならなかった。

「明日…ちゃんと話をしないとな…」

なんで琴乃が来たのか分からないし…また拒絶されるかもしれない…それでも…

「たった一人の…幼馴染みだもんな…」


そう言うと、和人は携帯を取り出し、誰かと話し始めた…












ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(1) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう