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第12話
「うわぁ、見事に青一色ですねマスター。」
「・・・そうだな。」

イータです。
前回で大陸『ヌーナ』でのクエストをすべて終わらせたマスターたちが、ただいま別の大陸に向けて移動の真っ最中です。

基本的に大陸間は海みたいなもので囲まれており徒歩での移動は不可能です。
「泳いでいけばいいのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、それもシステム的に無理っぽいみたいです。
ならば、どのように移動すればいいのかと聞かれれば大きく分けて2つの方法があります。

1つ目はワープによる移動。
各大陸にはさまざまな村や町があり、その中1つに《ギルド》の存在している村か町が必ずあります。
その《ギルド》の存在している場所には、別の大陸の《ギルド》のある村か町にワープできる装置みたいなものが存在しており、これを使ったワープが一番ポピュラーです。
他にもトラップによるランダムワープなど、あまり歓迎したくない方法もあるようです。
あと、これは噂なんですけどワープを可能にするアイテムや魔法もあるとかないとか・・・。

2つ目は何かに乗って移動する方法。
例を挙げれば船や飛行機などがあるのですが、ワープに比べて移動に時間がかかり値段も同じくらいです。
これだけを聞けばワープの方がいいと思うかもしれません・・・が、乗り物にもそれなりの利点があります。
例えば、乗り物―――特に飛行機では《ギルド》のない村や町でも、飛行場があるのなら着陸できるし飛行機の中でしか売っていないアイテムなどもあります。

それで私たちはどの方法で別の大陸に行くかと言うと・・・飛行機になりました。
どうしてかと聞かれればマスターが「行きたいところがある。」とか言ったのが原因ですね。
まぁ、みんな急いでるわけでもなかったんであっさりと認めてくれましたよ・・・1人を除いて。

「コウもこっちまで来て見ればいいのにな。」
「・・・何気に鬼ですね、マスター。」

前のトラップの件まだ根に持ってるんでしょうか・・・。
コウが飛行機に乗ることを最後まで渋ってたのをわすれたわけじゃないでしょうに。

そういえば、前回はコウたちと再会したところで終わりましたが、あれからどうなったかというと・・・結局コウたちの方に非があるということで決着がつきました。
マスターの巧みな口先に踊らさせて・・・
私自身、完全に悪意丸出しのマスターの方が悪いような気がするんですけど・・・恐ろしくてそんな事言えませんよ。

「いや、俺は純粋にこの風景を見てもらいたいだけなんだが・・・。」
「まぁ、確かにきれいですけど。」




マスターが言う通り、この風景はすばらしいと思う。
晴れ渡る空、白い雲、青い海。
これらが、人の手によって作られた人工物なんてだれが考えられるだろうか。
・・・いや、人工物かどうかなんて関係ない。
これほどものをだれが偽者というだろうか。
何も知らない人が見れば、絶対に『本物』の海だと思うだろう。
それほどに、『箱庭』のクオリティはずば抜けている。
そう、けして『偽者』ものではないはずだ・・・。





「どうかしたか?」
「いえ、なんでもないんです。それよりもそろそろ中に入りましょうか。コウもきっとダウンしてると思いますし。」
「・・・そうだな。」

そうして私とマスターは甲板からロビーの中へと歩いていった。

・・・・飛行機について説明しましょうか。
飛行機といっても現実世界の飛行機のように四方を密閉された空間ではなく、ちゃんと風景を眺める場所もある・・・、例えるなら船が空を飛んでいるようなイメージでいいと思います。
もちろんアレほど大きくはなく、一度に30人ほどしか運ぶことができません。
行き先がたくさんあるせいかそれぞれの空路を一日一本しか便がなく、乗り遅れたり定員がいっぱいになったりすると次の日まで待たなければいけません。
実際、今回この飛行機に乗れたのもぎりぎりで、私たちのほかは団体さんでいっぱいのようです。
ちなみに団体割引なんかはありませんからあしからず。
・・・あっ、大事なことを言い忘れていました。
このゲーム「箱庭」における時間の流れは現実世界と一緒です。
学生にはやさしくないゲームですよね。
えっ、マスターたちはどうなんだって?
なんでも今は「なつやすみ」というやつに入っており、大体は暇みたいです。
けっして学校をサボってゲームをしているわけではないので安心してください。







「コウ、大丈夫なのか?」
「ふっ、下を見なければどうということはない。そうさ、下さえ見なければ・・・。」

うわぁ、目をつぶってそんなこと言われても格好悪さが際立つだけなのに・・・。
私がそんなことを思っていると、マスターが続けて話しかける。

「・・・俺の用事につき合わせて悪いな。」
「気にするな。俺はやればできる子だと小さい頃から言われ続けてるから・・・大丈夫さきっと。」

どういう理屈で大丈夫かは定かではありませんが相当堪えてるみたいです。





飛行機の中に戻った私とマスターは早速コウの無事を確かめに言ったのですが・・・。
案の定ダウンしてるみたいで、いすに座ってうなだれてます。
う〜ん、これからは飛行機での移動は控えたほうがよさそうですね・・・、ユキとマイカは飛行機での移動をなかなか楽しんでるようでしたけど。
そういえば、私とマスターが甲板に行く前はユキとマイカがいたはずなんですけど、どこに行ったんでしょうか?

「ユキとマイカは?」
「2人ともショッピングを楽しんでるよ。」

おっと、マスターも私と同じ事を考えていたようですね。
それにしても、2人は買い物ですか。
ユキはともかくマイカは病人?をおいてお自分だけ楽しむような子じゃないですから、大方ユキに無理やりつき合わさせてるんでしょうね。
まぁ、近くにいて何ができるでもないんですけど・・・。

「それよりも、シュウ・・・。」

おっと、なんだか真剣な顔でコウがマスターに話しかけてきましたよ。
まさか限界・・・

「あ、後どれぐらいで目的地に着くんだ・・・。」

・・・が近いみたいですね。
うぅ、どんどんコウが情けなく見えてきます・・・。

「俺も飛行機に乗るのは始めてだからな・・・。」

よくわからないと答えるマスター。
う〜ん、さっき甲板で周りを見たときも海しか見えませんでしたし、まだまだ時間がかかるのではないでしょうか?
・・・コウにとってはちょっとした地獄ですね。

「時間がわかれば、精神的にも楽になるんだけどな・・・。」

笑いながら答えるコウ。
ち、ちょっとやばいかもしれませんね・・・。

「・・・誰かに聞いてくる。」

マスターもコウの危険を察知したのか、結構マジな顔で答える。
そして、誰かに聞きにいこうとしたそのとき!

「残り、5分ほどだ。」

いきなり、後ろから聞こえてくる声。
マスターが振り返りとそこには!

「その・・・あなたは?」

・・・・プレイヤーの方ですか?
いや、自分から離しかけてくるということはプレイヤーの人なんでしょうけど・・・。
その、なんと言うか・・・・その格好は?



身長は170cmほどで、声からして男性で年齢はマスターと同じぐらいでしょうか。
何故『声』で年齢を判断するかというと・・・体全身を赤い布で覆っておりに、肌が見えるのは目ぐらい。
その異様さは何事にも動じないはずのマスターが思わず話しかけるのをためらってしまうほど。
・・・変質者?



「いや、そっちの人があまりにも苦しそうだったんでな。」

マスターの問いに答える赤い人。
なんだか、いい人みたいです。
人は見た目ではないということですか・・・剣の私がいっても説得力があるんだかないんだかわかりませんね。

「の、残り5分か・・・。いける、それならきっといけるはずだ!」


なんだかコウの方は大丈夫そうです・・・妙なテンションになってはいますが。







「あの、ありがとうございます。」
「別にたいしたことはしていない。」

コウのことについてお礼をいうマスターと軽く答える赤い人。
マスターの方も赤い人がいい人だとわかったせか、若干表情がやわらいでいる。

「それよりも、他にもパーティーがいるようならそろそろ集まっておいたほうがいいだろう。もうそろそろ着陸だからな。」
「そうですね。」

確かにそろって降りないとはぐれてしまう心配がありますしね。
っと、噂をすれば・・・

「シュウぅ〜、こんなところにいたのね!」
「あうぅ、走らないでよユキちゃん。」

ユキとマイカが走ってこっち方に向かってきます。
・・・マイカは無理やりですね、はい。




「どうかしたか?」
「さっきこの飛行機に乗ってる団体さんと話してたんだけど、もうすぐ目的地に着陸するっていうから探してたのよ。」

なるほど、それは探す手間が省けて助かりましたね。
っと、赤い人も用事がすんだのか

「それでは。」

とか言ってマスターたちからはなれていきます。







「あの人・・・プレイヤー?」

赤い人が去ってからユキがマスターに尋ねる。
まぁ、確かにあの格好を見た後じゃその疑問も当然ですよね。

「あぁ、そうはずだが・・。」

マスターがユキの問いに答える。
多少疑問に思っているような節も見られるがしょうがない事でしょう。

「おかしいわねぇ、マイカ。」
「・・・そうだね。」

いや、そんなもろに言わなくても・・・しかも、マイカまで。

「服装か?」
「そうそう、服装が・・・って違うわよ!」

ち、違うんですか!?
これは驚きですよ、あの姿で服装以上におかしい所をみつけるなんて・・・

「いやね、さっき団体さんと話してたって言ったじゃない。」

確かに言ってました。
でもそれがどうしたんでしょう?

「それで・・・?」
「その団体さんの人数が確か26人だったのよ。」
「私もそう聞いたよ。」

えっと、まってください。
飛行機に乗れる人数が30人で団体さんが26人、私たちパーティーが4人、赤い人が1人で合わせて・・・31人。
確かに1人定員を超えてますね・・・。

「・・・ただのバグだろ、気にするほどの事でもない。」
「う〜ん、そうね・・・。」
「そうかなぁ・・。」

まぁマスターの言う通りゲームですし、バグの1つや2つあってもおかしくないでしょ。
それともあの赤い人が幽霊だったとか?

「まぁ、気にするほどのことでもないか。」
「ただの数え間違えかもしれないしね。」

ユキとマイカはそれぞれ納得ができたようです。



グオォォーン



うん?どうやら、目的地に到着したようですね。

「それじゃ、降りるか。」
「そうね。」「そうだね。」「・・・やっとか。」

・・・若干1名死にそうな人がいますが、無事到着することができました。







新しい大陸『ペルム』へと。










飛行機の着陸音ってどんなのだ・・・?
知ってる人いたらおしえてください。
修正するんで。


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