第10話
「ようやく完成か・・・」
ここは・・・どこ?
「あぁ、気がついたようだね。・・・うん、正常に起動しているみたいでよかった。」
あなたは何をしているの?
「気にしないでくれ、正常に機能しているか調べているだけだからね。」
・・・・?
「別にわからなくてもいいよ、どうせすぐに忘れてしまうことだし。」
忘れる・・・?
「いや、正確には『思い出せなくなる』と言った方がいいかな。」
・・・・
「あれ、フリーズしちゃったかな?そんなやわに作ったはずじゃないんだけど・・・。」
あなたは・・・何?
「何とはまた失礼な聞き方だなぁ。・・・まぁ、君の『お父さん』といったところかな。」
おと・・う・・さん?
「そっ、君を作った・・・いや、創ったのは僕なんだからお父さんといっていい存在だよね。
・・あれ、この場合はお母さんの方がいいのかな?」
私は・・・何?
「それも失礼だよ。君は物じゃない、君は僕の子供だ。」
こ・ど・・も?
「あぁ、そしてこの世界の・・・いや、いずれわかることだしいいか。」
・・・・?
「気にしないでくれ・・・っと、正常に機能してるみたいでよかった。
早速で悪いんだけどもう一度眠りについてもらうよ。」
ねむり・・・
「心配しなくても大丈夫。またすぐに目覚めることになるだろうし。」
・・・
「それに、目覚めれば楽しいことがたくさんある。君が不安に思うことなんて何もないんだよ。」
・・
「それじゃお休み。そしてまた会う日まで・・・『 』。」
・
「大丈夫か、イータ。」
はっ、いったい私は何を・・・
「マイカの《古代魔法》をくらったんだ。」
そうだ、確か私はマイカの魔法でモンスターと一緒に氷付けにされたんだった。
うぅっ〜、思い出すだけで寒気が・・・しませんよね、剣だし。
「氷付けにされた時はどうなるかと思ったが・・・。」
本当ですよ全く!
「普通あんな氷の中に閉じ込められたら、絶対おかしくなりますよ!!」
「それだけ喋れるのなら大丈夫そうだな。」
「まぁ、壊れてはなさそうですけど・・・」
何か大事なことを忘れているような・・・
「大丈夫ならもう出発するぞ。凍っていた時間を考えると残りタイムリミットは2時間をきってるからな。」
「本当ですか!?それはみんなに悪いことを・・・」
・・・あれ、私が謝る必要があるのか?
というより・・・
「もとわと言えば、いきなり私を放り出したりするマスターが悪いんじゃないですか!!」
「・・・・・・チッ。」
あぁ!?今舌打ちしましたよね!!
何誤魔化そうとしてるんですか、マスター!!
「別に良いじゃないか、あれのおかげでコウは助かったしモンスターにも勝てた。パーティーの勝利に貢献できたんだから問題なしだろ。」
確かにそうかもしれませんけど・・・
「そういうことは自分がパーティーの為になるようなことをしてからいってくださいよ、全く!!」
「失礼な、ちゃんと道案内しただろ。」
アレは途中でコウたちと別れたんだからそんな役には立ってないでしょうが!!
数分の間言い争いをしていた私とマスターだったが、はたから見たらマスターが独り言を言っている危ない人にしか見ない。
ならば当然コウたちは不信に思うわけで・・・
「何1人でごそごそやってんだよ、シュウ?」
とマスターにたずねてくる。
私の存在はみんなには秘密にしているのでマスターは
「・・・独り言。」
と苦しい言い訳をせざるを得ないわけですが当然誤魔化しきれるわけもない。
「いや、独り言って・・・そういえば俺と2人のときでもぶつぶつ言ってることあるしなぁ。」
「いや、あれは・・・『別に独り言が悪いって言うわけじゃないけど・・すこし控えた方がいいぞ。』・・・善処する。」
ぷぷっ、マスターが何も言い返せないとは、こんな状況めったに見れるものじゃありませんよ。
さぁ、この光景を脳内?に刻み込まなければ!!
いけ、コウ!!もっとマスターにむかって「・・・折るぞ」攻g・・・すみません。
うぅ、結局私はマスターには逆らえないのでしょうか・・・。
さて、マスターとコウのやり取りも終わりみんなで集まってさぁ帰ろうかとなったところですが・・・
「時間・・・間に合うかなぁ。」
マイカがそうつぶやく。
まぁ、ここまでたどり着くのに9時間近くかかりましたからねぇ。
残り2時間ないぐらいで帰れるかって聞かれても・・・無理でしょうねぇ。
「ダイジョブだって、マイカ。」
おぉ、ユキには何か策があるみたいですね!
だてに戦闘では役立た・・ゴホン、あまり活躍していなかっただけのことはありますね。
いやぁ、ただのアホな子「シュウに任せておけばいいのよ!」・・だったみたいです。
というか、結局人任せですか!?なんだか周りのみんなもその手があったかって感じの表情浮かべてるし。
「なるほど、確かにそれなら確実だな!行く道もわかってたみたいだし・・・帰り道もちゃんとわかってるんだろ、シュウ!」
いやいや、さすがのマスターでも「あぁ」無理な事・・・はないんですかこの人!?
・・あぁ、そういえば策はあるとか何とか言っていたような気がしないでもないですねぇ。
あれホントだったんですか・・・
「少し待ってくれ、今必要な物をとりだすから。」
そういってゴソゴソと自分のもっている袋をあさるマスター。
どうやら、何かのアイテムを使うつもりみたいですねぇ。
アイテムの持ち運びについては、特に制限はない。
ただ、無駄にリアリティのある《箱庭》ではアイテムにもちゃんと質量が存在しており数多く持つとその分動作が重くなるというデメリットが発生する。
ただし、アイテムはプレイヤー一人ひとりが持っている専用の袋・・・いわゆるネコ型ロボットのポケットと同じ感じで中にいれてしまえば大きさはあまり関係ない。
まぁ、簡単に言えばどこでも持ち運びはできるけど重さはちゃんと感じるといったところか。
おっと、どうやらマスターがお目当てのものを探したてたようだ。
それは・・・糸?
「なんだその糸?」
「どう見ても・・糸よね?」
「あっ、もしかして・・・」
上から、コウ・ユキ・マイカの順の発せられた言葉だが・・・コウとユキは私と同じことを疑問に思ったみたいで、マイカは何かわかったようだ。
・・・コウ・ユキと一緒かぁ。
「やはりと言うべきか・・・わかったのはマイカだけみたいだな。」
いや、それだけでコウとか、ましてやユキと同列に見ないでくださいよマスター!?
「ちょっと、そんな糸見ただけでわかるわけないでしょ!」
「そうだそうだ、俺たちが馬鹿じゃなくれお前らがおかしいんだよ!」
そうだそうだ、今回ばかりはコウたちを援護させれ貰いますよマスター!
「いや、別に馬鹿なんて言ってないが・・・まぁいい、あんまりわかっていなさそうな2人+αの為に説明してやるか。」
αの部分で若干疑問を浮かべる3人だったがマスターはそのまま説明を続ける。
・・・やっぱり、私がわかってないと気付いてたんですね。
「これ名前は《アリアドスの糸玉》。かつてこの迷宮を脱出した英雄テセウスが使ったのを模倣した物で、ここの『イベントアイテム』だ。」
イベントアイテム―――特定のクエストのみで使用可能なアイテムのことで大体はクエストクリアになくてならないものだ。
大概イベントアイテムは、必要となるクエスト中に入手できる物だが稀にそうでない物もある。
この迷宮に宝箱などがなかったのを考えると、この《アリアドスの糸玉》は稀なほう、後者に当たるアイテムのようだ。
「てせうす?ありあどすのいとだま?何それ?」
「俺も知らないぞ。」
「私は学校の図書館で少し・・・」
う〜ん、私も聞いたことありませんねぇ・・・。
私たち(マイカを除く)が首をひねっているとマスターが苦笑しながら
「まぁ、百聞は一見にしかず。実際見てもらったほうが早いだろう。」
そう言って何かぶつぶつと言葉を発し始めた。
・・・また独り言かよ思っていた矢先、いきなり糸玉の端の部分―――つまりは糸の先がひとりでに動き出した。
「なっ!?」
コウが驚きの声を上げる。
いや、コウだけではなくユキも同様に驚いているようだ。
しかし、糸は驚いている2人を置き去りにしすごい速さで数多くある道の1つを選び進んでいく。
「はぁ、すげぇなこれは。」
コウが簡単の声をあげる。
いや、確かにすごい・・・というか、私より役に立ってないですかアレ。
私が自分の存在に疑問を感じている時、ユキがマスターに話しかける。
「この糸の先に出口があるってわけね!」
「あぁ、あとは糸に沿って行けば1時間ぐらいで外に出られるはず・・・何もなければ。」
「ならさっさと行こうぜ、あまり時間も残ってないな!」
そういって早歩きで駆け出すコウとユキ。
それを少し遅れて着いていくマスターとマイカ。
さっきのマスターの言葉・・・いや、あまり考えないでおこう。
どうせ結果はすぐにでるんだから。
「それにしてもこの糸のことよく知ってたな。」
歩き始めて30分ほどたったところでマスターがマイカに話しかける。
コウとユキは相変わらず先を進んでいて、正直なところ2ペアに分かれているといっていいだろう。
「うん、私本読むのとか好きだから・・・、それに学校の友達にも読書仲間が2人ぐらいいるんだよ。」
学校とかの話はともかく・・・その読書仲間にユキが入っていないことは確実だろう。
どちらかというとユキは、辞書を武器として振り回しているほうが似合っている気がする。
あと、枕とか。
「本を読む・・・知識を蓄えることは人にとって大事なことだと俺は思っている。」
なぜか、マスターがいきなり語り始めた。
そのマスターの行動に疑問を持ちながらもちゃんと話を聞くマイカ。
「時として自分の持つ知識が人を助けることもある。この迷宮だって知識がなければクリアできなかっただろう。」
まぁ、確かにボスまでの道のりを知っていたから―――知識を持っていたからこそ時間内にクリアできそうなわけなのだが。
「あっ、明かりだ!」
マイカの言うとうり前方に明かりが見える。
おっと、もう出口・・・?
マスターが言っていた時間より少し早い気がするんですが・・・
「知らないことが悪いことだとは思わない。ただ『無知は時として罪になる』ことを2人にも理解してもらわないとな・・・。」
そういって、前方にある明かりに手を伸ばすマスター。
って、この球体はもしかして・・・
「「うわああぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁぁっぁぁぁぁっぁぁ・・・・」」
マスターが光輝く球体に触れた瞬間前方でコウとユキの叫び声がこだまする。
・・・どうやらマスターは穴に落とされたことをまだ根に持っていたようだ。
2人ともあれと同じぐらいの高さから落ちたのかなぁ・・
「し、シュウ君!?」
すこしやりすぎではないかという目線を送ってくるマイカだが、球体から発せられる光のおかげではっきりと見えるマスターの顔は・・・なんだかスッキリしていた。
「さぁ、急ごうマイカ。時間も迫ってきている。」
「それはそうだけど・・・」
なんとなく納得していないマイカだが、時間も少ししか残っていないこともあり結局2人を見捨てていくことにしたようだ。
まぁ、成功にせよ失敗にせよあと1時間もたてば会えるのだから心配する必要もないだろう。
もしかしたら、多少自業自得な部分もあると考えているのかもしれない。
さらに言えばクエスト達成はパーティの誰か1人でも報告に行けばそれでオッケイだ。
実際、マスターはいつも報告はコウに任せて酒場言ってるし。
あれ、そういえばコウは高所恐怖症じゃありませんでしたっけ?
このゲーム・・・ショック死対策はちゃんとしてるんでしょうか。
大丈夫ですよね・・・たぶん。
最近コメディのタグをつけようか真剣に悩んできた。
いや、それで一ヶ月もかかったわけじゃないですよ。
原因は・・・スパ○ボかな。
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