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仮題「シャングリラ」第三章
作:月読天舞



第2話「交渉と干渉」


(どういうつもりかね・・・・・世界の安全を目指すならば国際連合があると思うのだがね・・・)
「国連には国連の役割があります、私のやろうとしている事は別の事と思って貰って結構です。」
 アレクシーナは電話口でそう答えた。
(何をどうするつもりなのか、それを聞かせて貰いたい。)
「EUの世界版とでも取っていただいて構いません・・・・・・あらゆる人種、あらゆる国それらがお互いの主権を認め合った確かな連合・・・・・・言うなればそういう事となります。」
(世界征服でもするつもりかね・・・・・・それを我が国が黙って見逃すとは思ってはいないだろう。)
 発足にあたり、この国に連絡しなかった時点でこういう勘繰りが出る事は予測していた。無視した訳ではない。この国を最初から入れてしまうには国力がやはり強すぎるのだ。
「確かに・・・・・・暫くは私がその連合の議長的立場とならざるを得ません。この連合に対するあらゆるプランは、私の中にあります。それを提示する時期も考えてはあります。しかし、あくまで我々の目的は世界の平和と発展であり、規模の大きな問題を考える上での骨子にならんという事です。誤解なく理解されたしと思っております。」
(我々の助力をあてにしているという事かね?クイーン・アレクシーナ。)
「ハッキリと申し上げますが・・・・・・・この連合を進めていく上で貴国は、強大すぎます。どうしても意識せずにはいられません・・・・・・我々が真に世界に平和と発展を望む者であると理解されるにはどうしても時間がかかると思います。」
(なるほど・・・・・我が国に参加の打診がすぐなかったと言うのはそういう事か・・・・・・・自分達の弱さと強さをよく考えている・・・・・我が国の性質もよく知っている・・・・・・・それで最初の参加国がF国とアルテイル公国・・・・・・貴国と友好の度合いがもっとも強かった国と君の国に恩がある国だけだというのもよく分かる・・・・・・・どの国にも事前の交渉はもっていなかった、そういう事でよいのかね?)
「まるで事前交渉がなかった訳ではありません。ですが、それはアルテイル公国のアルテイル・ヘン・ミュール閣下とF国外交官だけに限られています。言い方は悪いですが、F国とアルテイル公国は「さくら」という事になりましょうか。」
(我々がその連合に参加したいと望めば、快く受け入れてもらえるかね?)
「貴国の国民性から考えてもそれを決断する状況になるには時間がかかりましょう。」
(早すぎる参加は快くは思われていない、そう捉えてよいのかね?)
「我が国が提案した連合が本当の意味でその骨子を貫くためには・・・・・・」
(我が国を敵と見なした連合ではない・・・・・・それはハッキリさせて貰えるのだろうか?)
「この連合の立案は貴国の州制度、その本質的自由主義、そして貴国が敗戦国日本に与えた憲法、それらの志が元となっております。」
(分った、我が国も出来るだけ貴女の志を援助しよう。いずれ我が国が参加する時は快く受け入れて欲しいものだ。)
「その時が来るのを楽しみにしております。」
(それにしても思い切った事をやったものだ・・・・・・・貴女の健闘を心から祈る。)
「アメリカにも幸多い事を祈っております。」
 そして電話が切れた。アレクシーナはホッと溜め息をついた。
「こんなトコロでよいのか?」
「そうですね。答えとしては完璧です。向こうの質問もおおよそ筋書き通りと言っていいでしょう。」
「各国へのβ能力者の配置が、ようやく芽吹いたという事か・・・・・」
「この時の為のβ能力者の配置・・・・・それをご存知であるのはあなた様だけです。」
「しかし、最初は驚いたぞ・・・・・・まさか、お前達「悪魔」の目的が人類の救済だったとはな・・・・・」
「その名称はもはやお使いにならないで頂きたい。」
「「干渉者」・・・・・・そう呼ぶべきなのだろうな・・・・・・・全てはお前達の手にある・・・・・それは気に入らんがな・・・・・」
「我々、「干渉者」のなすべき事は人類の自主による平和的統治。それを手助けするに過ぎません・・・・・・もちろん、あなた方より遥かに高い「予測」をいたしますが・・・・・ 我々が手を貸すと言えど、元がなければどうにもならないのです。」
「リューヤは、何者なのだ?」
 アレクシーナはフと思いついたように言った。
「我々「干渉者」の敵となる者。「眺める者」の最後の手段です。」
「どう違うのか分らんな・・・・・・・・」
「それは我々の世界の事、知っても意味がありますまい・・・・・・ですが、少しだけ・・・・・彼らはあくまで「観察」によって「解決」を模索しようとします。我々は、種が違うとは言え、同じ生命であるという考えの下で文字通り「干渉」を行います。どちらが正しいのか、それは一概には言えない。彼らと我々はやはりこの問題に関して相容れないのです・・・・・・」
「「神々」の世界にもやはり問題がある、そういう事なのだろうな。」
 アレクシーナはそう言って言葉を切った。私は「干渉者」の手に乗ったのだ。世界を導く為に・・・・・・・。このままでは世界は滅びる。それは恐らく事実だった。アレクシーナは自分がやる以外ない事、そしてその為に起こる膨大な問題を処理せねばならない事を考え、椅子の上に座り一息ついた。そして仮眠を取る為に「彼」を下がらせた。












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