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仮題「シャングリラ」第三章
作:月読天舞



第15話「6人」


 円卓の場に最初に通されたのは、リューヤと小夜子、そして紫炎だった。三人が部屋に入ると、案内役の二人の護衛が部屋から去っていった。
「ここでこれから、この世界の未来が決まるのか・・・・・」
 小夜子が呟いた。
「いえ、逆かもしれません。決まっている未来を翻す・・・・・それが、この会議だと、私は信じたい・・・・・・」
 紫炎が静かに言った。
「まあ座ろう。それぞれの席が用意されてる。」
 リューヤは平静を装って自分の名前の書かれた席に座った。四角錘の名前を書かれた置物・・・・・それが全部で七つあった。その内の一つにリーン・サンドライトの名前があった事は、少なからずリューヤを動揺させていた。リーンは本当に生き返っていたのだ。そして、意外な場面で意外な再会を果たす事になった。
「リーン・サンドライトの事が気になりますか?」
 紫炎が自分の席の前にある四角錘を手も触れずに回しながら言った。その声に小夜子がピクリと反応する。
「気にならないと言えば嘘になる。」
「彼女はあなたの知っているリーン・サンドライトとは別人です・・・・・・・」
「別人?」
「記憶も性質も同じですが・・・・・・・それでも彼女はあなたの知っているリーン・サンドライトではありません。」
「意味が分からないな・・・・・・」
「その事は、この会議の中であなたは理解するはずです。」
「死人が生き返った・・・・・・その事だけでリーンが特別だとは十分分かるよ・・・・・・」
「来ました。」
 紫炎の前でクルクルと回っていた四角錘の置物がピタリと動きを止めた。その瞬間ドアが開いた。
 ドアを開けて入って来たのはアレクシーナだった。その後にリーン・サンドライトと西城が続く。
「リーン」リューヤはそう口にしそうになったが、口を止めた。その姿は、確かにあのリーンだった。だが、何かが違う。自分の知っているリーンとは何かが大きく違っている。それが何かはリューヤにはよく分からなかったが、話し掛けるのを躊躇うには十分だった。
 3人が席に着いた。後、残るのはジョー・アルシュだけだった。到着まで後、15分程かかるらしい。
「6人だけで会議を始めるのはルール違反かな?」
 アレクシーナが微笑してそう言った。
「軽く挨拶は済ませて置いた方がいいかもしれませんね。」
 リーンがアレクシーナに相槌を打った。
「好きにするがいい・・・・・・・ジョーが来れば来たでまた話を始めればいい。」
 アレクシーナがそう言った。リーンはそれに頷き、リューヤの方を見て静かに口を開いた。
「リューヤ・・・・・・お久しぶり。」
「久しぶり・・・・・・」
 リューヤにはリーンに聞きたい事が有り余るほどあったはずだった。しかし、それらの聞きたい事は生き返ったリーンの口から零れてくる言葉の前に霧散した。
「大変だったわね・・・・・その間、私はあなたに協力出来なかった・・・・・・その事を酷く辛く感じているわ。」
「いや、生きていてくれた・・・・・それだけで、俺は十分だ・・・・・・」
「そう・・・・・」
 リーンは頷いて少し寂しそうに笑った。
「小夜子さん・・・・・・」
「何か?」
 リーンが続いて小夜子に声をかけた。
「私が何も出来ない間、リューヤを助けてくれて有難う。」
「いや、任務だったから・・・・・・・今は私の生きる意味だから・・・・・・・私は私の為にリューヤと共にある事を選んだんだ。礼を言われる事じゃない。」
「それでも、私はあなたにお礼を言わなければならないの・・・・・・リューヤは私にとって大切な人だったから・・・・・・・」
「スラリとそう言える所を尊敬するよ。私には死んでも言えそうにない台詞だ。」
 小夜子は胸の内でリーンに対して反発心を覚えていた。嫉妬だろうか?リューヤの内部での特別な存在。死してなお生き返らせる程の意味のある存在。リューヤは自分が死んでも生き返らせてはくれまい。自分はリーン・サンドライト程の意味のある存在にはなれないだろう。だから、自分より遥かに存在意義のありそうなリューヤを守ってきた。自分がリューヤを好きなのかどうか?よく分からなかった・・・・・・・最初は殺す気も十分あった。だが、それもいつしか消え、いつかリューヤは自分の中で特別な存在になっていた。それを恋愛感情と結びつける事に特に意味も感じなかったし、リューヤを守るという使命を守る事に充実感を覚える。それでいいと思っていた。だが、それは、今感じるリーンへの反発心から考えるとまやかしなのかもしれない。そう思い心が揺れた。
「紫炎さん・・・・・初めまして・・・・・」
 リーン・サンドライトは小夜子の言葉に軽く頷くと、次に紫炎に言葉を向けた。
「初めまして・・・・・リーン・サンドライトさん・・・・・・」
「あなたには随分、御迷惑をお掛けしたようですね・・・・・・・」
「そうでしょうか?私の知らない事を知ったあなたに、私は私の事をあなたに聞いてみたいと思っていました。そしてそれらの思い・・・・カラクリは全て繋がっているはずです。」
「それをこの場で明らかにしたいのですか?」
「いえ、ジョー・アルシュが来てからでないと意味がない・・・・・違いますか?」
「分かるのですね・・・・・・・・・」
 リーンはそう言って静かに紫炎を見詰めた。
「あなたのように、全てを知る訳ではありませんが、事は直感で分かります。」
「そうですか・・・・・・」
 そう応えたリーンは少し悲しそうだった












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