1.此処の学校に通う…!
此処は聖琳学園高等部。全寮制の学校だ。
寮の規則はほぼ皆無に等しく、節電・節水、無駄なモノは使わない。
というのが唯一の規則。
寮の部屋に置くものは、全て自由でテレビやパソコン、ゲームを置いても構わない。
更に、起床・就寝時間は自由。
教師曰く、授業に出ればOK。
そんな誰もが憧れる聖琳学園に男装をして、入学する香月 唯(kaduki yui)。
成績はソコソコで、容姿は上の中くらい。
成績がソコソコだからと言って、運動神経が言い訳でも無い。
「あ、お母さん。あたし、聖琳学園に合格したから、そこに行く事にする。」
聖琳学園からの合格通知を見て、言った。
お母さんは、手に持っていたお皿を落としそうにした。
そんなに、驚かれたら傷付くよ。
「合格通知が来たのね!
でも、聖琳学園は全寮制なのよね…。
レベルが高い学校だから、仕方がないのかしら…。
そういえば、聖琳学園は唯が性別を男として偽った学校よね。
男の子として、そこに通うの?」
お母さんが、あたしの事を心配して長々と話す。
お母さんが言うように、あたしは性別を偽って面接を受けた。
本当に男として見られたかどうかは分からないケド、面接に受かり、しかもその先の筆記
試験にもギリギリで受かった。
「うん、そうだよ。大丈夫だって…。
聖琳に通う為に髪まで切ったんだから。」
あたしは、聖琳の面接を受ける為に幼い頃から伸ばしていた髪の毛を切った。
「という事で、明日から行ってくるね。」
今からは、明日の準備、とあたしはお母さんに告げると部屋に戻った。
聖琳学園の高等部の入学式の5日前に新1年生達が初めて寮に入る日で、寮の部屋割りを
発表する日。
新1年生達が、重たい荷物を両手に抱えて、次々にエントランスの中へと入って行く。
ほとんどが、男子生徒だ。
此処、聖琳学園高等部は男子八割女子二割の学校。
女子は逆ハー気分を味わえる。
逆ハー気分を味わうのではなく、自由な寮生活を楽しみにする女子生徒の方が少ない。
あたしも、皆と同じように重たい荷物を抱えて寮のエントランスに行く。
「ハイハイ、これで皆揃った…かな?」
パンパンと手を叩く音がしてから、声が聞こえた。
「ええと、私は此処の寮の管理人の矢吹 空瑠。
ほとんど、何もしてないけど、わからない事があったら聞いてね。」
面倒くさがりやな女性だなー…。
あたしが、そんな事を思っていると管理人室に戻ろうとした矢吹 空瑠は
「あ、此処に、部屋割りの表があそこに貼ってあるから、ちゃんと見てね。
男子が、左側。女子が、右側。」
あそこ、と言って沢山貼り紙がしてある所を見た。
今、此処にいるのは多くて80人。
一遍に、同じ所に行けば、すぐ見れるのも見れなくなる。
あたしは、貼り紙から離れてまた、入り口に行った。
ドカッ。
入り口に行こうと、身体を半回転させた時に人にぶつかった。
「すっ、すいませんっ。」
あたしは、咄嗟に言った。いや、言わざる得ないだろう。
もしかしたら、先輩になる人かもしれなから…。
普通に見たら、顔が見えない。顔を上に上げると、やっと顔が見えるくらいの身長だった。
…っ、カッコイイ…かも。
あたしの身長は、162cm。女子では平均的だけど、今は男子として来てるから、小さい。
「もしかして、唯ちゃん…?」
知らない人に、名前を呼ばれた。 |