蝉の声と日差しが降り注ぐ夏色を感じる暑い日
喉の渇きを覚え目の前にあったコップに目をやり
「このコップに水を一杯くれないか」
僕は君にそう伝えると、まだ途中だった足の指の爪を再び切りはじめた。
パチンパチン・・・・と爪が勢いよく新聞紙の上に転げ落ちる。
コトン・・・光輝く水の入った透明なコップがテーブルの上に置かれるのに気づき
僕は爪を切るのをやめた。
「ありがとう」
と君に一言礼を言うと君は不思議そうな顔で微笑んだ。
この暑さのせいかゴクンゴクンと水を一息で飲み干す。
僕はなぜだか幸せな気分に浸った。
空のコップに映るあなたを見つめて
僕は水が喉に通る感覚が愛に似てるか悩む
君から渡されたコップの中に愛なんてないと思った。
けれどその水を飲んだ瞬間幸せになったんだ。
喉の渇きを潤す事で得られる感覚なら知っている。
それとも違うもっと別の感覚
君の透き通るような笑顔を見れるだけで幸せだ。
当たり前にもらった水の入ったコップ
君の愛がそんな所にもあったなんて今まで気が付かなかった。
「水をもう一杯下さい」
僕は知らずに君に敬語を使っていた。
「ふふ」と笑うと
君は空のコップを持ち台所へと足を運んだ。
愛に色はない事も知っている
水に色はない事も知っている
でも確かにそこには色鮮やかな日常があるんだ。
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