夜のドライブ
夏のホラーフェア企画の小説です。
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ちなみに主人公や村の名前は「遊び」です。ありえないですから。
俺の名前は、葬木死怨。
俺は友達と夜のドライブをしていた。
夜のドライブは気持ちがいい。
なぜかと言うと、車は少ないし、信号もほとんどが点滅信号でストレスなく運転が出来る。
だから俺達はよく夜にドライブしていた。
「やっぱ、夜のドライブはいいなぁ」
俺は運転しながら言った。
「ほんと、最高だよ」
「今日はどこらまで行こうか?」
夜といえど、俺は安全運転だ。会話をする時でさえ前を向いている。
夜は、ドライブには最適だが、それ以上に注意しないと危険だからだ。
「そうだな〜、せっかくだし残虐村辺りまでいこう」
「じゃあ、行きますか!」
俺は、テンションを上げて言った。夜の会話は妙にテンションがあがっていて楽しい。多少大声で叫んでもあたりに人がいないので大丈夫だし。
「それにしても今日は暑かったな〜、まだ盆の季節は暑いな」
「ほんとあつかった。まじで死にそうだったよ」
「俺も死にそうだった。でも冬の寒さは寒さで嫌だよね?」
「あついよりは寒いほうがいいに決まってるだろ。あついのがどんなに嫌か・・・」
「俺は冬より夏のほうが活発で好きだけどな〜、夏って言えば今年まだ数回しか海いってないな、もっと行きたいよな?」
「海か〜、行って見たい」
「今年は、去年より雨降らないよな〜?」
「そうか?去年より降ってると思うけど・・・、でもあの日に雨降ってほしかったな」
「あの日?」
会話をしていると、意外と早く目的地についた。残虐村という看板が立っている。
この村は、数年前、山が大火事になり村の住民が何人か命を落とした。
俺は自分の家の近くだったということでそのことをよく覚えていた。そんなことを思い出しながら、車を脇道に止めた。
「さ、着いたぞ!」
俺はその言葉を言いながら、友達を見た。
友達は完全に熟睡していた。よく眠っている。さっきまで話していたのに・・・。まぁ夜も遅いし仕方ないか。
俺は、帰路につこうと友達を起こさずに、車のエンジンをかけようとした。
だが、何度やってもエンジンがかからない。エンジンをかけようとキーを捻るごとにでる音が不快だ。
なぜエンジンがかからないのか原因を探るためにドアを開け外に出ようとした時、足になにか違和感を感じた。
俺は、その違和感の正体を確かめるために、足元を見た。
俺はその瞬間凍りついた。
足を・・・千切れて血だらけの腕が掴んでいたのだ。
それを見た瞬間、全身が金縛りにあい、声が出なくなっていた。叫ぼうにも叫ぶことができない。
足に気をとられていると、フロントガラスになにかが当たる音が何度もした。
俺は、ゆっくりと顔を上げた。
そこには無数の血だらけの手が、フロントガラスを叩いていたのだ。
俺は、頭がおかしくなりそうだった。必死にエンジンをかける。
ようやくエンジンがかかり、俺は思いっきりアクセルを踏んだ。エンジンが拭かされ轟音をあげている。
ついに車は動き出し、猛スピードでその場から離れる。
一体どのくらい走ったのかわからないくらい走った先にコンビニがあった。
俺はコンビニの駐車場の端に車を止めて、友達を起こした。
「おい!起きろ!」
友達の肩を揺すって起こそうとする。
だが友達に反応はない・・・。
そして次の瞬間、友達の首が取れ、俺の足元に転がり落ちてきた。
落ちてきた頭の視線が俺の視線と一致した。
俺は、その瞬間、車から出ようと必死にドアを開けようとした。
その瞬間・・・声が聞こえた。
「どこ行くの?」
どっかで聞いた声だった。だがよく聞けば友達の声ではない・・・。
「ドライブはおしまい?」
この声を俺は確かに聞いたことがある。
「残念もっと楽しみたかったのにな」
そう・・・この声は、今日ドライブをはじめたときに聞いた声だ・・・。
「それじゃあ、バイバイ」
その声が途切れた瞬間、車は激しい轟音とともに大爆発を起こした。
いま思えば、声の主ははじめから車に乗っていた。
俺は知らないうちに会話をしていた。
最初から友達と話してなんかいなかった。
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「やっぱ、夜のドライブはいいなぁ」
「ほんと、最高だよ」
「今日はどこらまで行こうか?」
「そうだな〜、せっかくだし残虐村辺りまでいこう」
「じゃあ、行きますか!」
「それにしても今日は暑かったな〜、まだ盆の季節は暑いな」
「ほんと熱かった。まじで死にそうだったよ」
「俺も死にそうだった。でも冬の寒さは寒さで嫌だよね?」
「熱いよりは寒いほうがいいに決まってるだろ。熱いのがどんなに嫌か・・・」
「俺は冬より夏のほうが活発で好きだけどな〜、夏って言えば今年まだ数回しか海いってないな、もっと行きたいよな?」
「海か〜、行って見たい」
「今年は、去年より雨降らないよな〜?」
「そうか?去年より降ってると思うけど・・・、でもあの日に雨降ってほしかったな」
「あの日?」
「そう・・・あの日、山が大火事になったあの日に」
完
なんか、どっかであるようなないような話でスイマセン。
怖さもないですね。