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R15の性的描写の限界

作者:真白みこと
 R15ではいったいどこまでの性的描写が許されるのでしょうか。現在執筆中の小説の書きためが進み、いよいよ投稿を考え始めた私は、この問題について真剣に向き合わねばならなくなりました。これについて考えをまとめましたので、問題提起の意味を込めてここに公開させていただきます。

 本論を始める前に、先行研究をひとつ紹介しておきます。私と同じ問題を考察したエッセイがないものかと検索をしてみると、ちょうど半年前の2015年8月に、雪見雪名さんのエッセイ「r-18タグをつけずにエロい描写をするテクニックについて」が発表されていることがわかりました。
 こちらの作品は「なろう」におけるガイドラインを引用し、その規約内での限界を具体的に探っており、また著者ご自身も実際にこれを実践したR15作品を発表しておられるということで、非常に勉強になります。
 そこで本エッセイでは煩雑になるガイドライン全文の再掲は省略し、そちらもしくは改定の可能性のある実際のガイドラインを見ていただくこととさせていただきます。本論において引用するガイドラインの条文は2016年2月27日現在のものです。

参考URL
・「ガイドライン/R15に関して」 http://syosetu.com/site/ratinga/
・「ガイドライン/R18に関して」 http://syosetu.com/site/ratingb/
・雪見雪名「r-18タグをつけずにエロい描写をするテクニックについて」 http://ncode.syosetu.com/n5240cv/

 さて、前掲エッセイの著者は、私の要約するところ、「性的感情を刺激しても間接的な描写であるか、まったく違う行為の描写であれば、R15の範囲内」という結論を出しています。これはある程度正鵠を射た分析であると思います。少なくとも、ガイドラインの記述を真に受ける限りは、完全に妥当な結論になっているはずです。
 ところで、この後で著者は、

  「このr-18とr-15の規約は非常に良くできており、互いに矛盾しない絶妙な範囲でつくられています」

とまとめておりますが、この点には私は賛成できません。それどころか、「なろう」のガイドラインには重大な矛盾があり、どうとでも解釈できる文言であるがために、運営さんの裁量ひとつで同じものがR15にもR18にもなる危険をはらんでいると思います。本エッセイではこの点について指摘をし、R18の基準の厳格化、あるいは少なくとも線引きのさらなる明確化を求めたいと思います。

 まずは、いわゆる「保険としてのR15」という考え方について一言しておく必要があります。「R15は保険」というタグは多くの作品でつけられています。それでは、R18も同じことで、線引きに迷ったのならR18にしておけばよいではないか、という意見は確かに可能でしょう。しかしこれは不適当であって、R18はR18で基準として峻別される理由がある、と私は考えます。
 ひとつには、作者側の理由として、ノクターンに行けばその分だけ人目に触れる機会が少なくなってしまう、ということがあります。大した理由もなく「保険」としてこれをするには、やや代償が大きすぎます。しかしそれだけではありません。
 ノクターンの読者さんにはノクターンの読者さんの、求めているものというのがあります。R18に見合った性的興奮を求めて読まれている読者さんたちがいる中、大した描写でもないのに「保険」でそちらに流れ込む作品が増えれば、本来のR18としての良作に出会う機会がそれだけ減ってしまいます。これは先方にとって非常に迷惑であって、基準が曖昧であることはせっかくの住み分けもその意義を減じさせてしまいます。

 さて本題に入りますと、ガイドラインによれば、「性的感情を刺激する行為の直接的描写」および「性描写全般」はそれだけで「R18相当」であるといいます。まずは、「性描写」とみなされる描写の範囲、すなわち用語の定義が掲載されていないことは最初の大問題です。どこからどこまでがR18なのでしょうか。
 しかし、これはルールを制定する実際上の観点からはやむをえないことでもあります。「性描写」すべてを特定することはどだい不可能です。そして、規則を具体的に書けば書くほど、「これは書いていないからOK」という抜け道が用意しやすくなってしまうからです。ですから、この点をあまり追及するつもりはありません。

 一方、R15のほうのガイドラインには、「R15指定が行われていない場合に警告を行う可能性のある例」として、「性行為及びそれを想起させる描写がある場合」と明記されています。「それ」という代名詞を指示対象に戻し、あえて繰り返しを避けずに接続詞を開けば、

  「性行為の描写がある場合、および、性行為を想起させる描写がある場合」

には、R15警告を行う可能性がある、ざっくり言えば原則R15としたほうがいい(場合によってはR15すらもいらないが、それは特殊例)、ということになりましょう。
 ここでR18の警告例に挙げられている「明らかな性交の描写がある場合」とも見比べてみると、R15に言う「性行為」とは、「性交」とは区別して用いられる、直接的な性器の結合には至らない段階の行為を指す、と想像されます。昔の言葉で言えばBというやつですが、もし現行のガイドラインでペッティングを詳細に描写したならば、おそらくは「性的感情を刺激する」としてR18指定を受けてしまいそうです。

 結局、「性行為」の描写がある場合にはR15警告、「性的感情を刺激する行為の直接的描写」または「性描写全般」はR18指定、というのはいったいどういうことなのでしょう? これが矛盾です。
 それとも「性的感情を刺激」や「性描写」とは、単なる「性行為の描写」は含まず、それよりもさらに激しい、淫猥でどぎつい表現のことだけを指しているのでしょうか? それならそのように書くべきでしょう。少なくとも、「性描写」などという最大限に抽象的な文言では、そのようには理解できません。

 このように整合的に解釈不能なガイドラインに直面すると、私たちは自分で自分の作品を、R15なのかR18なのか判断できなくなります。ひいては、警告による削除を恐れて、発表すらままならなくなります。現に私がそれで、自分が「なろう」に掲載しようと執筆している小説を、このまま書き続けていいのかわからなくなっています。
 こうした事態のことを、法学では、「法的安定性」が欠けていると言います。何をしたときにどういう判断が法的になされるかということがはっきりとわからない条文では、その法の下に暮らす市民は何をしていいかわからない不安に置かれるということです。たとえば、何をすれば罪になるかはっきりしていないような刑法の下では、市民は恐れてどんな行動もできなくなってしまいます。要するに、不明確・不整合なガイドラインは新たな小説の発表を妨げているのです。

 それではこのガイドラインを整合的に改めるにあたって、「性行為及びそれを想起させる描写」が少しでもあるものはすべて一律R18に持っていってしまえばいいのでしょうか。
 これは上に述べたノクターンとの住み分けの無意味化を招くという理由のほか、現在までに「なろう」で発表されている小説の多くが影響を被ってしまうので、現実的ではありません。それに社会の実態にもそぐわないもので、そもそも書籍の文化では、性交を含む性行為の描写があればすなわちR18ということにはなっていません。村上春樹がR18、いやR15にすらなっているでしょうか。
 それはあくまで書籍としての、出版業界における話であって、「『なろう』ではこうなっているんだ、別のルールなんだ」と運営さんが言えば現行のガイドラインではそれでおしまいのことではありますが、私の上記の論によってそのルール自体の問題点を意識され、ガイドライン改定の必要性を感じていただけたならば、一考していただきたいと思います。

     ◇

 ここからは少し話がずれ、私事になりますが、私は現在発表されているR15(以下)のいくつかのテンプレ小説における性的描写について、かねがね疑問に思っておりました。
 ハーレム主人公は、助け出したり治癒してあげたり奴隷として買ったりした女の子と、たちどころに一線を越え、たいていの場合はその絶倫と妙技によって簡単に女の子を満足させてしまいます。しかしそういうチート能力なのでもない限り、そんなことはありえません。
 そうなってしまうのはもちろん作者の方の恋愛経験不足ということも大きいのでしょうが、また別の一因として、現行のガイドラインでは、「まず惚れて、ある時どこでどんなAをして、また別の日にはBまで進んで、それから紆余曲折あってCに発展する」ということを、淡々と事実だけ列挙するならともかくひとつひとつを立派なイベントとして描写することはできないという事実があります。書こうと思えば書けるのにこのためまともに書けていないという作者さんもいそうです。

 何もどぎつい表現でそれを書かせろと言うのではないのです。私個人に限って言えば、ノクターンのような卑俗語と淫乱なセリフ、擬音語・擬態語の連発というのは――読むのは大丈夫ですが――恥ずかしくて書けません。表の「なろう」でもたとえば「おっぱい」という語がタイトルにまで入った作品がいくつもありますが、これでさえ私は照れてしまって無理です。だからそれがしたいのではありません。
 それでも、直接的な単語はぼかしつつ時にはコメディチックにしながらも、せっかくハーレムものを書くならその一要素としてのあくまで性行為として、BやCを多少あからさまに書きたいのです。ぼかしはしても荒唐無稽になるほどバカバカしい表現にはせず、ちゃんとした恋愛の一段階を描きたい。これが私の動機であって、冒頭に述べた「現在執筆中の小説」の一テーマであります。

 前半で述べたガイドラインのわかりづらさからくる不安についてでも、後半で述べたこの懐疑と目標についてでも、賛同してくださる作者さんや読者さん、あるいは運営の方がいらっしゃれば、行き詰まりを迎えているテンプレハーレムものはそんな作家さんたちによってまた一段階ブレイクスルーを起こせると思います。皆様のご意見をお待ちしております。ご清聴ありがとうございました。
 スペシャルサンクス:先方はあずかり知らぬことですが、私がこの問題を考えるにあたっては、とーわ/朱月十話さんの作品『コミュ難の俺が、交渉スキルに全振りして転生した結果』が警告を受けていたという事実を知ったことが一因にあります。私は「採乳」になってからの版を初めて読んだため実際にどのような描写だったのかは存じませんが、授乳がアウトというのは大変な驚きでした。この場を借りてお礼を申し上げておきます。

(2月28日追記)感想欄において白井鈴さんからいただいたご意見にもとづき「保険としてのノクターン」に関するパラグラフを挿入するとともに、前後のつながりのため若干の表現を書き換えました。また、本文中で引用しているサイト内ページのURLを明記しました。ミッドナイトについて頂いたご指摘については、感想欄をご参照ください。

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