パーティ後6
その頃街では異変が起きていた。
急に魔力の供給が抑えられ、国民たちは今まで通りの生活を送れなくなっていた。
今の王になってから、安定した裕福な生活を送っていた民にとって、魔力の供給がなくなることは王への不満となっていった。
「た、大変です!もう残りの魔力がーー」
王宮での生活にも大量の魔力を使っていた王は、国民への魔力を削ったがそれでもどんどんと減り、残り僅かとなっていた。
「王よ、魔力の提供を!」
王がタンクへと魔力を注ぐことを、皆が望んでいた。
ただ、王にはそれができなかった。
そもそも王には国民に裕福な生活をさせるだけの魔力がなかったのだ。
今まではディディオンとレティシアからの魔力で賄われていた。
そもそもは、ディオゲネス公が王となるはずであった。
巨大な魔力を持って生まれたディオゲネス公は、王に相応しい名前を与えられ、兄を差し置いて王となることが決まっていた。
ディオゲネス公は魔力以外も王としての素質が十分で、優秀な人物だった。
ただ、優秀かつ公平すぎるが故、ディオゲネス公を煙たがる連中もいた。
そこで、ディオゲネス公の兄に子どもが生まれる。
そこから兄の魔力が爆発的に大きくなり、いつしか王に相応しいのはディオゲネス公ではなく兄の方では?という声が上がった。
ディオゲネス公としては、魔力の大きいものが王となることに賛成であったので、そのあと父である先王が亡くなった際に、兄が王となった。
これが今の王、ダニエル王子の父親である。
ただここにはトリックが隠されていた。
王は自分の力ではなく、子供の魔力を使い、自分の魔力を大きく見せていただけだったのだ。
魔力はまだ解明されていない点も多く、子供からは魔力を取ってはならないという決まりがある。まさか王となるものがそんなことをしているとは思われず、何年もの間子供の魔力で王は国を動かしてきた。
途中レティシアにも目をつけていたのだ。
レティシアがまだマリアンヌと呼ばれていたころ、生まれたての姪を見て、巨大な魔力を持っていることに気がついた。
姪からも取れれば、王としての力はより確立される。
そう思った王は、姪からも魔力を吸い取ろうとした。
しかしこれは、ディオゲネス公に見つかってしまう。
まだ未遂だったこともあり、見逃されたが、不信感を抱かれることを恐れ、王はディオゲネス公に遠征を命じた。
次に姪に会った時、あまりにも平凡な魔力しかないことに驚く。
この時すでに、レティシアとマリアンヌが入れ替わっていたからだ。
しかし、まさか取り替えが行われたとは思わず、ディオゲネス公の妨害の一つだろうと考えた。
そこで王は他に魔力の大きいものを探し、レティシアにたどり着く。
ハイドローザ公は喜んでレティシアの魔力を差し出した。
褒美として、ハイドローザ公は今の地位を築いたのだ。
そして、レティシアから魔力を吸い上げるために、チョーカーを付けさせた。
一番技術があると言われる者に依頼し、レティシアに付けさせるところまですんなりといった。
その技術師が誰で、何故その依頼を受けたのかも知らずにーー