パーティ後4
ここ、どこなの?
分からないと帰れないんですけどーー
ディオゲネス公ともあれから仲良くやってるし、だんだん無表情からも感情が分かるようになってきた。
たぶん今頃心配してるーー
ディディオンについてきたは良いけど、そもそも私、ディディオンが何者か知らないし....
チョーカーのことだって、よくよく考えたらディディオンに着けられてたのよね?
ディディオンに魔力を持っていかれてたってことでしょ?
それって、どうしてなのーー?
それでもレティシアはディディオンに不信感を抱くことはできなかった。
ディディオンはレティシアの唯一の味方だったのだ。
レティシアが信じられるのはディディオンだけ。
幼心にそう思い、刷り込みのようになっていた。
ディディオンはどんな時もレティシアのことを考えてくれいた。
しかし、今のディディオンはどこか、レティシアの知るディディオンとは違う。
ーーそんな気がしていた。
「レティシア様。」
コンコンとノックの音が聞こえた。
「どうぞ?」
入ってきたのはユリウスだった。
ユリウスは王子の側によくいたため、挨拶を交わしたことはあるが親しい間柄ではない。
レティシアは警戒した。
むしろユリウスはマリアンヌと仲が良かったはずだ。
「私がレティシア様の敵だとお思いでしょう?」
ユリウスはにっこり笑って言った。
冷静な印象の強いユリウスだったが、こうして見ると普通の青年だった。
「そうね。あなたは王子ともマリアンヌ様とも仲が良かったはずだわ。」
王子と同じくらいユリウスにもベッタリだったマリアンヌを思い出した。
「まあ、それが私の仕事ですから。」
ユリウスはあくまでも宰相として仕事をするための布石だと説明した。
「そう。じゃあやっぱりあちらの味方じゃない。」
心が伴っていなかったとしても、宰相としてのユリウスは王と王子を優先するだろう。
「それが、そうではなくなったのです。今この国で魔力が強いのは誰だと思いますか?」
一番は王だ。それは変わらないはず。
先ほどから感じる自分の魔力を見ても、さすがに伝説となっている王ほどではないと思った。
「レティシア様でさえ、王を抜いているかもしれませんね。ただ、ディディオン様はそれ以上のものがあります。」
ユリウスも最近になってディディオンの存在を知ったのだ。
ディディオンからユリウスへ、直接接触をしてきた。
ユリウスはもちろん警戒をした。
もちろん話を鵜呑みにすることもなかった。
王や王子を裏切ることになると、分かっていたからだ。
ただ、ディディオンにはそれ以上のものがあった。
ディディオンの正体はユリウスが長い間尊敬していた人物だった。
そして、レティシアもーー
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その頃、パーティー会場は大騒ぎになっていた。
マリアンヌは罪を問われ、連れて行かれた。
ダニエルは今だマリアンヌがしたことを飲み込めていなかった。
自分が騙されていたことを認めたくないのだろう。
そして、レティシアがあんなに魔力を持っていたことも。
レティシアの魔力は確実にダニエルの上を行っていた。そして、レティシアは王族である。
ダニエルが焦り始めるのも時間の問題だった。
王はこの場を治めなければいけないにも関わらず、ディディオンが現れたことに異常な動揺をしていた。
そしてディディオンの言葉にもーー
パーティーの参加者は、そんな二人を見てこの国の未来を心配し出した。
他国の王族も、我関せずといった態度で、国へと帰る支度をする者まで出た。