パンパカ・パーンの冒険

　辺境の村に住むパンパカ・パーンは、英雄に憧れる十歳の少年。将来は冒険者になって世界中を旅したいと考えている。その手始めとして、村の郊外にある不思議な塔を攻略しようと試みるが、塔の門戸は閉じたまま。パンパカは自身が、特別の力を持っていない、ごくごくありふれた人間であることを自覚するものの、諦めず、毎日コツコツと、自分に出来る方法で塔を攻略しようとしていた。
　そんなある日、地面に亀裂が走り、王都から封印の使徒と名乗るクロウズなる青年がやってくることから、物語は始まる。
　クロウズもまた英雄嗜好を持ち、意気投合した二人は、互いの誇りをかけて、どちらが先に塔を攻略するか勝負をする。結果はほぼ同着だったが、わずかの差でパンパカが勝利する。
　塔の最深部には、塔の管理者と自称する少女・オブザビアが住んでいた。オブザビアはパンパカのことを気に入らなかったが、攻略者であることは確かであると認める。村長や母親にも認められたパンパカは、まだ成人していなかったが、村長に鼻くそを食わされる事無く、村を出て旅をすることを許可される。
　封印の旅を続けるクロウズに同行する形として、パンパカも村を出る。攻略者に興味があるとオブザビアも一緒である。奇妙なめぐり合わせで出会った三人は、村から一番近いパチモンスキー男爵領へと向かうが、領都フィナンシェでは、街の存亡に関わる事件が起こっていた。