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デッドゲーム
作:テルル



真実は


「何故この俺が貴様なんぞの教会の修復工事を手伝わなければいけないんだ・・・。」
「良いじゃないですか。たまには2人でよろしくやるのも・・・。」
「怪しいことをさらっと笑顔で言うな。俺にはそんな趣味はない。」
「おや・・。勘違いなされては困りますね。あくまで、友人としてでの意味ですよ。」

番長は持ち上げた瓦礫を正面にいる水崎に投げつけてやろうかと思った。
砂時の喫茶店へ向かう途中に水崎に掴まってしまったのだった。番長は力も体力もあるということで、今教会の片付けの真っ最中なのだ。

「くそ・・・。こんなことなら、回り道をするんだった。」
「そうですか?お礼に何か和菓子でも出そうと思ったのに。」

番長は舌打ちをすると、もくもくと片付けを再開した。

+++

「このことは・・・初めて人に話す。驚くと思うが、最後までどうか聞いてくれ。」
「うん・・・。」

2人でベンチに腰掛け、桜はじっと長瀬が話し出すのを待った。

「まずは・・・すまなかった。ずっと1人にして。
「え?ううん。そんなっ。長瀬さんにも色々事情があったと思うしっ。」

慌てて桜は長瀬を安心させるために笑顔を繕った。

「俺が姿を眩ましたのも全てに訳がある。前のデッドゲームも俺は参加をしていた。そして勝った。だが、俺は・・・すぐさまゲームから離脱した。」

いつになく早口でしゃべる長瀬に圧倒されながらも、桜は一言一言を耳に刻んでいく。

「白崎からは俺達の父のことは聞いたな?」
「一応は。でも・・・行方知れずだって・・・。」
「違う。」

長瀬は一瞬だけ顔を歪めて言った。

「違うんだ・・・。行方知れずになんか・・・なっていなかった・・・。」
「え・・・。どういうこと。」

苦虫を噛み潰したように言う長瀬に、桜は嫌な予感がした。さっきまで冷静を保っていたはずなのに、どくどくと心臓の鼓動が激しくなってくる。そのせいか、目の前がちかちかとした。

「俺達の父・・・長谷川翔太は・・・『D』なんだ・・・。」

何も言えなかった。
家に残されていた写真に写る男性、あれが『D』だというのか。あんなに幸せそうに笑う男がそうなのか。

「止める、か・・・?」
「え?」

うまく判断が出来ない。
長瀬がいう止める、という意味が何なのか理解するのに時間がかかった。桜は震える手を隠しながら頷く。

「大丈夫。」

長瀬は桜の表情をうかがいながら続ける。

「『D』は元々実体はない。俺達の頭に『D』という記憶を植えつけることで、デッドゲームを進行していた。そして長谷川翔太は優秀な成績でゲームに勝った。それに『D』は目をつけた。」

またミントの香りのする風が吹き抜けた。

「『D』は離脱しなかった父の精神と身体を乗っ取り、今まで父を使ってデッドゲームを進行してきた。『D』には器が必要だったらしい・・・。その器が・・・。」
「お父さん・・・?」

長瀬は頷く。

「そんな・・・こと・・・。」
「『D』がお前に執着するのは何か理由があるのかもしれない。」

そこまで言うと長瀬はベンチから立ち上がった。

「俺は離脱し、姿を眩ましたのはデッドゲームがまた開かれるこの時を待ったからだ。俺は・・・最終ゲームで『D』の首を取る。」

ぎりり、と刀を握り締める。

「このままではいけない。これ以上『D』の好き勝手にさせるわけにはいかない。器が死ねば中に入ってる『D』もどうにか出来るかもしれない。」
「でも・・・っ。」
「分かってる・・・。相手が実の父親ということも・・・。だがそのせいで犠牲になった奴らが何百人といる・・・。ここで止めなければ・・・いけないんだ・・・。」

桜は突然リコのことを思い出した。
ゾーンに乗っ取られていても、リコはぬいぐるみの中に閉じ込められていただけだ。

「でも乗っ取られたっていっても・・・お父さんがまだどこかに残ってるかも・・・。話せばもしかしたら・・・。」

わずかな桜の希望は長瀬の表情によって壊された。

「何年もあのままなんだ・・・。もう父はいないのかもしれない・・・。」
「そんなこと分からないよ!」

長瀬はゆっくりと首を横に振った。

「すまない・・・俺が不甲斐ないばっかりに・・・。」

ゆっくりと立ち去ろうとする長瀬に、桜は腕を掴んで引き止めた。

「行かないで・・・。」
「・・・。」

桜は泣きそうな顔で長瀬を引き止めた。長瀬は桜の頭に手を置いて撫でた。

「希望はあるかもな・・・。」
「え?」

長瀬は桜を引き寄せると、力を入れて桜を抱きしめた。長瀬の身体は冷たいが、ぬくもりが伝わってきた。

「俺は行く。お前は家にまっすぐ帰って眠れ。そして起きたら顔を洗って、お前の1番信頼する仲間にこれを伝えろ。いいか、絶対必ずまた会える。」

気づくと長瀬の感触がなくなっていた。
ミントの香りだけを残し、長瀬は消えていた。桜はしばらくそこに突っ立っていたが、思い立ったように走り出した。
言われた通りまっすぐに家に向かい、まだ夕方だというのにベッドに直行した。

「・・・くっ。」

頭から布団をかぶり、枕を力いっぱい抱きしめる。

「う、うぇ・・・・・・ッ。」

ぐうっと何かが競りあがって、桜は久しぶりに声を上げて泣いた。
悲しくないはずなのに。
桜は何故か、口からごめんなさい、という言葉を出していた。それが何対しての謝罪なのか、本人にも分からない。
散々泣いたあげく、気が付くと桜は涙の跡を残しながらゆっくりと眠りに付いていた。



これを更新するか少し迷いました。
もしかしたら訂正するかもしれません(汗)。

『D』の正体を知ってしまった桜。そしてデッドゲーム、最終予選が始まろうとしていた。
次回もよろしくお願いします!











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