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デッドゲーム
作:テルル



行く方法


「お腹空いたよう。」
「・・・食ってこなかったのか?」

2人はとりあえず車の中に戻り、ドライブをしていた。ただ元来た道を戻っているだけなのだが。

「もう家に帰りたい。」

ぐだぐだと言っていると車が町に着いた。

「そうだ!海近くの人に聞いてみよう。シズが走って行った方向は海だよ。もしかしたらアジトがあるのかもしれない。」
「さすが姐さんだ。よし。」

車を近くの小さな駐車場に止めると、2人は海岸沿いへ向かった。
近くに漁船があり、そこそこ大きい市場がそこに広がっていた。今は昼なので人は少ないが、桜は市場の中にいた1人の男性に声をかけた。

「あの、お聞きしたいことが。」
「んー?」

長靴姿の男性が振り向いた。手には魚を捌く大きな包丁が握られている。

「すみません。この近くの海上に何か、建物があったりしませんか。」
「何だぁ?」

男性は不審そうに桜と番長を交互に見る。

「あの、怪しい者じゃありません!」

桜は慌てて洋服の中から生徒手帳を取り出して男性に見せた。

「『白山高校』?あぁ!高校の学習の何かかね?」
「は、はい!そうだよね?」
「あ?あぁ・・・。」

それに納得した男性はやっと不審そうな目をやめてくれた。

「で、あのさっきの質問なんですが。」
「あぁ・・・。そういえば、船で出ている時に小さな小島を見たことがあるなあ。何でも古い研究所だそうで、今はもう廃墟同然になっているそうだ。」
「廃墟に?そこで何を研究していたんですか?」
「さぁ?でも法に触れて研究員が何人も逮捕されたらしいな。」

桜は番長と顔を見合わせると、その男性に丁寧に礼を言ってから車に戻った。

「きっと基地はそこね。」
「これで決まった。が、どうやって行く?さすがに船を貸してもらうわけにはいかないだろう。」
「そうだけど・・・番長が氷で海を凍らせればいいんじゃない?良いと思うんだけど!そこを歩って行けば・・・。」
「出来ないことはないが、かなり時間がかかるぞ。下手したら1日ほど歩き続けなければいけない。」

桜ははぁと溜息をつく。

「姐さんの超能力ではどうだ?」
「身体を浮き上がらせることは出来るけど、あんまり距離があったりすると落ちちゃうもん。」

やはり海を大きく移動する手立ては浮かばなかった。しばらく車の中で案を出し続けたが、次第に言葉数が少なくなり、桜はいつの間にか寝てしまっていた。
番長も同じくうとうとしていると、いきなり車全体に大きな衝撃が走った。

「何だ?おい、姐さん!大丈夫か?」
「え・・・?何か起こったの?」

寝ぼけ眼のまま桜は車の回りをきょろきょろと見る。慌てて飛び出すと番長は思わずぽかんとして車の屋根を見つめた。桜もゆっくりと車を出て、屋根を見た。

「な、何これ・・・?」

不気味な植物が、車の屋根いっぱいに根っこを張り、巨大な黄色の花を咲かせていた。茎から生えているのは葉ではなく、しゅるしゅると伸び縮みする蔓だった。そして花の中心部からはほわほわとした胞子をどこかへ飛ばしている。

「これってまさか・・・水崎さんの?」
「何故奴が・・・。」

するといきなり伸びていた蔓を大きく振り上げ、桜達に攻撃を仕掛けてきた。間一髪でそれを避けるが、蔓は触手のように次々と2人に襲い掛かる。

「何なのこれ?!」
「くそっ。奴の罠かっ!」

番長は大きく舌打ちをすると、手を車にぴったりとくっつけた。

「全て凍れ!」

一瞬だけ冷たい空気が張ったと思うと、車と植物ごと丸々氷のオブジェが出来た。蔓はそのままの形で凍り、花は胞子を飛ばさなくなっていた。

「あ、ありがとう。」
「あの変態神父、次会った時は殺してやる。」

そう番長が憎たらしげに呟いた時、

「桜ちゃん!京一君!」
「あ・・・鈴華さん。水崎さん?!」

何と鈴華と、あの植物を仕掛けた張本人の水崎がやって来たのだ。番長は咄嗟に身構えたが、水崎の頭を見て再びぽかんと首を傾げた。桜も気づいたらしく、思わず水崎に聞く。

「ど、どうしたのその頭。」
「おかしいでしょう?この人、自分でやったのよ。」

鈴華がくすくすと笑いながら言う。
桜も思わず鈴華につられて吹き出してしまった。番長は冷ややかな眼差しで水崎を一瞥すると鼻で笑ってみせた。
水崎の頭には先ほどの黄色い花の小さい奴が咲いていたのだ。見れば見るほど間抜けに見える。

「仕方がないでしょう?わたくしの失敗作です。ですが、こうやって桜さん達を見つけられました。」
「さっきの花、あたし達のことを攻撃してきたんだけど。」
「おや、そうでしたか?」

わざとらしく水崎が笑った。

「シズ達が色々と暴れているらしいわね。」
「うん・・・。あの酷い事件のニュース見た?シズが独断でやっているらしくて。言うには『地獄遊戯』達が『D』に逆らったらしいの。」
「何故逆らったりしたのでしょうか?」
「それは、分からないけど・・・。けど、止めなくちゃいけないの。」

真面目な顔つきで語ると鈴華がぽんと手を桜の肩に置いた。

「もちろんよ。協力するわ。ね?」

鈴華が隣にいる水崎に問いかける。水崎も文句ないらしく、笑みを浮かべながら頭にある花を揺らしながら頷いた。

「じゃあ『地獄遊戯』の居場所は分かったのね?」
「分かったは分かったんだけど・・・場所がね。海の上らしくて。どうやって行けば良いのか。」

そう深刻そうに言うと水崎がくすっと笑った。

「わたくしにお任せ下さい。」
「何をするの?」
「人気のない場所へ行きましょう。」

ここは駐車場。
4人はとりあえず人気のない海岸へ移動した。砂浜には誰もいないし、静まり返っている。

「ここらで良いでしょう。」

そう言って水崎は1つの種を砂浜へ落とした。
するとその種は砂に触れた瞬間、弾けるようにして芽を出すと巨大な花を咲かせ、空まで届くほど背を伸ばした。

「お、おっきい・・・。」
「ヒルガオです。」

するとその巨大ヒルガオが、長い茎を腰を折り曲げるようにして桜に近づいた。花からは甘い香りがする。するとその花がいきなりばふっと桜を花びらで掴むようにして持ち上げた。

「うわぁっ?!」
「どこに『地獄遊戯』の基地があるのか探して下さい。」

はるか地上で水崎の面白そうな声が聞こえてきた。

「た、高ッ。」

改めて下を見ると、番長達が豆粒のように見える。ぐっと息を飲み込み、顔を持ち上げて当たりを見回す。

「ん?」

すると大海原の向こうに小さくぽつんとたたずむ小島が見えた。そして白い建物も見える。きっとあそこが例の研究所なのだ。

「皆ァ!!研究所が見えたよ!!」

声が届くように大声で下にいる3人に叫ぶ。

「どこら辺にありますか?」
「ここからだと・・・んーと・・・、結構遠い!!」

そう言った時だった。
桜の身体を支えていた花が桜を食べるように飲み込んだ。



また中途半端な所で終わってしまいました(汗)
桜は一体どうなってしまったんでしょうか?
では、次回もよろしくお願いします!











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