デッドゲーム(46/104)縦書き表示RDF



少しだけ残酷が描写があるのでご注意を!

デッドゲーム
作:テルル



出会った女性


「えっ・・・!?」

桜はあまりの出来事に携帯と鞄を落としそうになった。
人間にとっての1番の恐怖は、幽霊や自分の命を脅かされることではない。目の前で殺されていた生きていないはずの人間が動く、ということだ。
女性の首は黒色の目で桜をじっと見ると、口の端から血が出ている状態で、にこりと笑ったので非常に滑稽に見えた。

「きゃ・・・・!!」
「しっ。黙って。」

思わず悲鳴を上げようとした時、生首が軽くウィンクしながら桜に言った。

「あなたデッドゲーム参加者ですね?」
「・・・何で・・。」
「あら、そんなに怯えなくてもいいです。何もしないから。」

怯えるなと言われてもそうにしない方が無理である。

「あたしもデッドゲーム参加者ですわ。」
「えっ。」
「もう少し待って。後ちょっとで身体が再生するから。」

見ると、転がっていた胴体に、切断された腕がくっつこうとしていた。びろびろと胴体の方から神経やら筋肉やらが飛び出て、切断部分を再生していく。それがあまりにもリアルで桜は思わず目を背けた。

「あら・・・もう1つの腕はどこに行ったのかしら?」

目の前の女性は平気な顔をしてそんなことを言ってのける。

「あ、ありましたわ。」

気が付くと胴体の方には両手がついており、首のない状態で立っていた。そして身体は自分の首を持ち上げると、切断部にぐらぐらしないように乗せた。

「見苦しい所を見せてしまって・・・ごめんなさいね。」
「・・・。」

絶句している桜を見て、女性はくすくすと笑った。
もう首は完全に繋がっている。

「さ、立てる?」

女性は座り込んでしまった桜の腕をとると丁寧に立たせてくれた。
その手が暖かい。生きている人間の手だ。桜は少し恥ずかしくなってしまって、慌てて頭を下げた。

「あの・・・すいませんでした!もうちょっと早く来てればこんなことには・・・。」
「あら?そうかしら?それより・・・あなたすごいですね。よかったら名前を聞かせてもらえるかしら。」
「え、えっと・・・長谷川桜。一応超能力者です・・・。」
「あたしは佐々木鈴華。不死身女よ。」

+++

「さぁ、何でもいいですわ。好きなのを頼みなさい。」
「はぁ・・・。」

桜と鈴華と名乗った女性は近くのファミレスにいた。
向かい合うように座り、鈴華はごきげんな笑顔で桜に水を渡してくれた。

「あ、すみません。パフェ後3つ追加して下さい。あ、桜ちゃんも食べる?」
「え?えぇ・・・。」
「すみません4つに変更で。」

桜は呆気に取られて見ているしかなかった。鈴華の目の前には空になったパフェの容器が2つあった。よくあんなことの後で食べられるものだ。桜はある意味感心してしまう。

「あの・・・どうしてあんなことになっていたの?」
「ん?」

鈴華は容器の底に残っているアイスを食べながら答える。

「あの人、あたしの元彼でしたのよ。」
「えっ!嘘!元彼?!」

桜は仰天してしまった。
鈴華とさっきの男の顔を思い浮かべて、見比べる。

「うわ、合わない・・・。」
「あらそうかしら?あの人とは奥まで進んだ仲だったんだけど、別れたとたんストーカー気味になったらしくて。自分の物にならないならいっそ殺すって考えたんでしょうね。」
「あ・・・いますよね。そういう勘違いしてる人・・・。」
「ええ。あの人もよくあたしに、まだ好きなんだろ?俺が欲しいんだろ?とか言ってきてね。いなくなってせいせいしたかも。」

くすくすと笑いながら鈴華が言った。

「あたし不死身でもね・・・やっぱり痛いですわ。気絶したくてもあたしには出来ませんの。だから心の中で助けてって叫んでいたの。桜ちゃんが来てくれて嬉しかったわ。」
「あ・・・別に・・・。」

桜は恥ずかしくなって顔を俯かせた。

「桜ちゃんは高校生?」
「え?う、うん・・・。」
「よくここまで残ってきましたね、デッドゲーム。つらくなかった?」

そう言われて桜は少し考えて笑った。

「友達と一緒にデッドゲームをしてるから、そんなには。それに・・・やっぱりゲームをやっていく中で、馴れていっていたから。」
「そう・・・。」

そこまで話すとパフェが運ばれてきたので、デッドゲームの話はなしになり、女同士の話に2人は花を咲かせた。

「じゃあね。今日は久しぶりに楽しかったですわ。」
「いえ、こちらこそ!すっかりご馳走になっちゃって。」

そんなこんなでファミリーレストランを出たのは昼過ぎだった。

「かまいませんわ。暇になったらいつでも電話してくださいな。あたしもその方が嬉しいですわ。」

そう言われて鈴華から渡された名刺を見て桜は目を見開いた。

「あ、ファッションデザイナーだったんだ!」
「裏方仕事だけどね。じゃあね、桜ちゃん。」
「あ、はい!」

鈴華はにっこりと笑うと駅の方へと歩いて行った。これから仕事に向かうらしい。桜はしばらく鈴華の姿が消えてもそこに突っ立っていた。

「おいどけよ。」
「あ、すみません・・・。」

やっと通りすがりの男性に声をかけられ、桜も目的地だった図書館に向かうのだった。



鈴華は本当は登場させる予定はありませんでしたが、あえて登場させました
次回もよろしくお願いします!











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう