デッドゲーム(43/104)縦書き表示RDF


デッドゲーム
作:テルル



ドロー


がぎっと桜の真横に刀が深々と突き刺さっていた。刀は堅いコンクリート壁にもかかわらず、すっとひびも入れずに刺さっている。
桜は驚いて刀を見てから、自分を見つめる長瀬を見た。

「何で・・・。」
「・・・。」

ずっと刀を引き抜くと、かちんと刀を腰の鞘に戻した。

「殺せるわけないだろうが・・・!」

怒鳴るように桜に言ってから長瀬は溜息交じりに顔を俯かせた。

「俺はどうしてもお前だけは殺せない・・・。」
「・・・どうして?」
「どうしてもと言っただろう。何度も言わせるな。」

長瀬は呆れたように言いながらも、桜の腕を一方的に引っ張って起こしてくれた。

「・・・あなたは・・・きっと前にあたしに会ってる。絶対に。」
「何故言い切れる?」
「別にこうって理由はないけれど・・・。でもあなたを見てるととても懐かしい。あなたきっと悪い人じゃないわ。」

そう言って笑う桜に長瀬は目を伏せて無言のままだった。

「『D』!聞いてるんでしょ!」
『おや?何か?』

桜がステージを囲む黒スーツ達にも聞こえるように叫んだ。

「あたしと長瀬さんはリタイアしない!でも勝者と敗者を決めることもしない!言ってる意味分かるわよね?あんたもそこまで馬鹿じゃないでしょう?」

ざわざわと黒スーツ達がざわめく。

『お静かに。』

『D』の声でしん、とそこが静まった。

『ドロー・・・つまり引き分けということですね?ルール上問題ありません。ドローしますか?』

桜もにや、と笑うと無言で頷いた。

『では『超能力者』、長谷川桜様。『幻覚視』、長瀬冬夜様。お2方の意思により、引き分けといたします。』

桜は内心ほっとして『D』の声を聞いていた。

「何故だ?」

長瀬が桜に言う。

「2人ともリタイアする必要はないってことだよ。こんな言い方したくないけど、『D』の言った通り、これはゲーム。クリアもゲームオーバーもあれば、絶対ドローもあったと思うの。それがゲームのルール。問題ないでしょう?」
「そこまで考えなかったな。」

相変わらず無表情のままだったが、その声は感心を帯びていた。

「じゃあ・・・また、ね。」
「縁があればまた会うことかもしれんな。」

そして2人のゲームはそこで終わった。

+++

「ただいま。」
「よう、テメー何を言い出すかと思ったらドローかよ?全然考えたことなかったぜ。」

砂時が複雑な表情で言った。

「それよりもあの長瀬とか言う奴と何話してたんだ?」
「あたしあの人に絶対に会ったことあるんだよ。だから懐かしい感じがしたんだ。」

すると桜はあることに気づいた。

「ねぇ、番長はどこ?」
「あぁ・・・。あの野郎、いきなりモニター見て絶叫しやがってよ。ドラッグが回ったらしいぜ。今は外で涼んでるぜ。」
「えっ!嘘!そんなに悪かったんだ。」

砂時がヤレヤレと首を振った。

「とにかくもうここには用はねぇんだ。おら、さっさと行くぞ。」
「あ、先に行ってて。」
「あん?別にいいけどよ。」

桜は苦笑しながら砂時の背中を押してホールから姿を消すのを確認した。

「あの・・・それどけてもらえます?」

そして今自分の背後に潜む影に桜は緊張した声で言った。
するとすぐ後ろからくすくすと笑う声が聞こえてきた。

「ただの子供だと思って油断してたわぁ。」

黄色い声が桜の耳のそばで囁くように聞こえた。それにぞわっと背中に悪寒が走る。桜は緊張したままゆっくりと後ろを振り向くと、長身の女性がそこに立っていた。
きれいな顔立ちの女性だが、どこか激しさも感じる。片手には女性に不似合いな真っ赤な剣が握られていた。

「物騒な物を持ってますね。しかも鉄臭い・・・。」
「うふふ。」

女性がにやっと笑ってその剣を握りつぶすと、パシャッと一気に弾けて床にぽたぽたと落ちた。まるで血のように。

「あたしは叶静香。液体なら何でも操れる力を持ってるわ。」
「今のそれ・・・誰かの血で出来てるんでしょう。」

叶はまたくすくすと笑った。

「可愛いわね、あなた。ねぇ、あたしと一緒に来ない?あんな男達とは別れて。」
「折角のお誘い、すみません。あたしはあなたと行く気はないですから。」

きっと睨みつけると、女性はますます面白そうに無邪気に笑った。

「まあいいわ。今日の所は見逃してあげる。でも・・・。」

叶は笑みを浮かべながら腰のかがめて桜の耳元で囁いた。

「でも次は逃がさなくてよ。」

またぞわりと悪寒が走る。
桜は叶を睨みつけてから手を振り払うと、急いでホールを後にした。



クリア、ゲームオーバー、ドローはゲームの基本ルールですよね?
更新すっかり遅くなってすみませんです!桜は色々な意味でモテると思います
では、次回もよろしくお願いします!











ケータイ表示 | 小説情報 | 小説評価/感想 | 縦書き表示 | TXTファイル | トラックバック(0) | 作者紹介ページ


小説の責任/著作権は特に記載のない場合は作者にあります。
作者の許可なく小説を無断転載することは法律で堅く禁じられています。




BACK | TOP | NEXT


小説家になろう