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デッドゲーム
作:テルル



超能力者対幻覚視


「あ・・・、あの。あの時は助けてくれてありがとう。長瀬、さんて言うんだね。」

そう言う桜に長瀬という青年はわずかに、無表情な顔をほころばせた。しかしそれは一瞬のことで、すぐに目をそらされてしまう。

「別にかまわない。」
「どうしてあの時あたしの名前を知っていたの?」
「・・・。」

何故か長瀬は桜に対する態度が皆とは違う。
何というか、どうしていいか分からないようだ。おどおどしているというか。目も合わせてくれない。

「長瀬さん?」
「別に特別な理由はない。ただ知っていただけだ。」

そう答える長瀬。

「後もう1つ質問!あたしと・・・どこかで会ったことがある?」

すると目を見開いて長瀬が桜を凝視した。そして懐かしむように目が緩んだが、すぐに元の状態に戻ってしまう。桜は首をかしげて長瀬に近づく。

「会ったことあるよね?」
「・・・っ。」

長瀬がとっさに自分の腰の刀の鞘に手をかけたのを見て、桜はびくっと身を縮ませた。

「すまない・・・。」
「あ、いえ・・・。」

それからしばらくだんまりを決め込んでしまった。
ゲームを始めようにも、長瀬には殺気が見られないし、桜も動けない状態にあった。そんな状況にも関わらず、『D』は何も言ってこないことに疑問を感じた。

「超能力者だそうだな。」
「えっ?あ、うん・・・。一応。上手く使えないけど。」

あはは、と笑ってみせる。

「いや・・・立派なものだな・・・。」
「え?」
「今更こんなことを言うのはなんだが、リタイアしてくれないか。」

その言葉に桜はぽかんと口を開けた。

「俺はお前とは戦いたくはない。」
「あ、あたし・・・駄目だよ。」

すると長瀬は以外そうな表情をした。

「何故だ。」
「あたしこのゲームを進めて、知りたいことがたくさんあるの・・・。『D』の目的も知りたいし・・・それに・・・それに・・・。」

そこまで言って桜は口をつぐむ。

「ほかも理由はあるけれど、だからこのゲームは止められないの。」
「奇遇だな。俺も理由がある。だから俺はここでリタイアするわけにはいかない。」

長瀬は刀の柄に手をかけ、すらりと刀を引き抜いた。
銀色の太刀が美しい。桜はきっと身構えていつでも超能力が使えるように距離を取った。

「・・・お手並み拝見といこう。」
「望むところよ!」

大きな間を置いて2人のゲームが始まった。
最初はためらいを見せていた長瀬だったが、その迷いはなかった。

「こちらからいくぞ。」

そう言ったとたん、ひゅっと長瀬の姿が桜の視界から消えた。

「えっ?」

思わずきょろきょろと辺りを見回したが、背中にちくりとした痛みが走った。

「相手の動きくらい予期してみせろ。」
「・・・っ。」

長瀬が刀の尖端を桜に突きつけていたのだ。

「テレポート!」

そう叫ぶと桜の身体が一瞬で消えると、少しだけ離れた場所に桜の姿が現れた。

「ふむ、なるほど。一応超能力者らしい・・・。」
「ば、馬鹿にしないでよっ。」

長瀬は無表情のまま、刀を構えて風のように桜の目の前に現れる。

「あ・・・っ。」

間一髪で突きつけられた刀を避けるが、髪と服が少しだけ切れた。
桜はひるまずに、力いっぱい握りこぶしを作ると、長瀬にアッパーを喰らわせようと身をかがめたが、やはり長瀬の方が反応が早い。桜のアッパーを軽いステップで避けると、刀の柄でどんっと桜の峰を強く打った。

「うっ!」

呼吸が止まり、一瞬意識が遠のいたが、太もも辺りに激痛が走ったので、それによって意識が戻された。

「痛・・・。」

太ももが綺麗に切られており、すっと、傷口が見えたと思ったら、そこから血がたらりと流れ出てきた。

「何だ。この程度か桜。」
「・・・ちっ。」

その言葉に触発されて桜は長瀬を睨みつけた。

「テレパシー!」

覚えたての能力を使う桜。
何も起こらなかったが、突然長瀬の耳を通じてひどい耳鳴りが襲った。

「?!」

がんがんとそれが頭の中に響く。
長瀬は刀を取り落としそうになったが、それを杖代わりにして、何とか体制を保った。

「何を・・・。」
「一種の超音波。動物には無害だけど・・・人間にとっては有害ははず。」

きーんとしていた耳鳴りが次第に強くなり、頭が割れるように痛むし、鼓膜が震えているのが分かる。

「く・・・っ。」

長瀬は力を振り絞ると、勢いよく地面を蹴った。それを利用しながら、力を使い続ける桜に刀の柄で体当たりをした。

「ぐふっ。」

桜はそれにより、大きく壁に叩きつけられた。その拍子に砂埃が起こる。

「がは・・・っ。ごほっ、ごほっ!」

朦朧とする意識の中で、桜は長瀬が自分に刀を振るうのが見えた。



更新遅くなってすいません!
長瀬は何か知っているようですが・・・
果たして桜は勝つことができるのか!
次回もよろしくお願いします











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