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デッドゲーム
作:テルル



画家対雷男


ステージでは新たな参加者によって開始されようとしていた。
西側からはまだ押さない少女。東側からは以外にも地味な男性がステージへ出て来た。
男性は白シャツとジーパンといういたって普通の恰好であり、長い髪を後ろで軽く縛っている。表情はおどおどしており、頼りなさそうだ。

「あの人負けそうね。」

河上がモニターを見ながら呟いた。

「いや、ここまで進んできたんだ。きっと何かあるぞ。」
「そうさなぁ・・・。『雷男』っつーくらいだしな。」

そしてまたモニターに目を戻す。

「あ・・・は、はじめまして・・・私、普通の会社員をやっています、山田広海です。本日はよろしくお願いします!」
「私は我妻リコ。こっちは助手のゾーン。こちらこそどうぞよろしく。」

山田という男はきり、と会社員らしく頭を下げ、リコという少女はドレスの裾を少し持ち上げて丁寧にお辞儀をした。リコの背中に背負われているのはゾーンという猫のぬいぐるみらしい。

「い、いやぁ・・・お互い大変でしたよね!こ、こんなことになってしまって。」
「そうですか。私はたくさんの人間を描けて満足ですけどね。」

冷たく言う彼女の言葉に、山田はへへ、と愛想笑いを浮かべた。

「じゃあ早速ゲームをしましょう・・・と言いたいところですが、その・・・私はあまり野蛮な戦いは・・・、えっと・・・苦手なもので・・・。」
「何か言いたいのかはっきりおっしゃって下さい。」

山田はかなり焦った様子で続ける。

「リタイアしてくれませんかっ!」
「嫌。」

リコは冷たく言うと1本の筆と1つのパレットを取り出した。そして腰のベルトに取り付けられている絵の具を数本手に常備する。

「私はリタイアなどする気もありませんし、あなたを逃がす気もありませんので。ゲームオーバーにして次に進みます。」
「あ、あはは・・・。」

それでも山田は笑みを崩さない。
リコは表情を変えずに絵の具をパレットの上に出した。鮮やかな赤色である。それをぺちゃりと筆に塗ると、山田に突き出した。

「情熱の赤は、灼熱の炎!」

筆をぴっと降ると、絵の具が山田の回りに飛んだ。それが地面についたとたん、

「うわああァっ?!」

爆発したような衝撃とともに、真っ赤な業火が山田を囲むようにして空へ立ち昇った。

「さぁ、早くあなたの能力見せて。もっと私を楽しませてちょうだい。」
「・・・くっ!熱い・・・!」

山田にかまわず、リコは次の絵の具、覚めるような青色をパレットに出す。それを筆につけると、同じように筆を降る。

「静寂の青は、母なる水!」

瞬間、飛び散った絵の具からは想像も出来ないほどの、青色を称えた水が現れ、炎に圧倒されている山田をあっという間に飲み込んだ。

「うぐっ!」

その勢いで山田はステージの壁に水とともに叩きつけられた。

「ごほっ、ごほっ!」

いつの間にか水は消えており、しかし山田は頭から足の先までびしょ濡れになっていた。

「人形のような人ではつまらないです。」
「・・・そう、ですか。」

にこっと笑いながら少女を見つめると、自分の髪を縛っているゴムを取り払った。

「?」

リコは首をわずかにかしげて、筆を持っている腕を下ろした。
すると山田はふらりと立ち上がると、先ほどの穏やかな表情とは一変し、凶暴そうな顔をリコに向けた。目は釣りあがり、口元には不敵な笑いが浮かんでいるではないか。

「さぁ、俺様の前にひれ伏せ!!」

山田は雷を呼び寄せると、ビシャァッとステージの地面に落雷を叩きつけた。それと同時にバチバチッと青白い光が山田を取り囲む。

「・・・人格障害者ですの。」

リコは驚きもせずに筆を構える。

「一応なァ・・・。ま、優柔不断のこいつの中に生まれた存在だ。あいつの障害にはなってないゼ!」

口元を歪ませながら山田は続ける。

「こいつは忘れているようだが、俺はお前に借りがあんだよな。」

親指を自分に突き立てた後、それをリコに向けた。リコは無表情のまま背中に背負っている、リコいわく、助手のゾーンに語りかける。

「あの人は私に借りがありそうなの。何か知ってる、ゾーン。」

そしてしばらくして視線を山田に戻す。

「私は全く見に覚えないですが。」
「しらばっくれんじゃねえ。お前、第1次予選で初めて1人目、女をゲームオーバーさせただろう。」

不敵な笑みを消しながら山田はリコに問いかける。
リコはしばらく黙っていたが、何かを思いついたように、助手のゾーンに何か耳打ちをした。するとゾーンの手にはいつの間にかスケッチブックが握られており、リコはありがとう、と言うとそのスケッチブックを開いた。

「あ。思い出した。この人ですね。」

そう言って開いたままのスケッチブックを見せる。

「なめてんのかくそガキィ・・・!!」

山田の額には青筋が浮かんだ。その身体は怒りでぶるぶると震えていた。
そのスケッチブックには1人の女性の絵が鉛筆と色鉛筆でスケッチされていた。わずかにつま先で立った状態で、腹を下から突き出ている太い何かで貫かれている。長い髪が幸いなことに顔を隠していた。
貫かれた部分には赤黒い物が飛び出しており、だらりとそれが地面まで続いていた。それと一緒に小さな棒のようなものが赤黒い物に続いていた。

「あの人は妊娠していたようですね。」

あの突き出ている棒のような物は、母の腹の中で生きていた胎児の手だったのだ。
鮮明に描写されている絵に、山田は震えながら顔を背けた。

「テメーだけはぶち殺してやるぜええぇェェ!!!!」

ビシャァッと落雷が再び空から降り注ぎ、リコを狙った。

「野蛮な人は嫌いですね。」

灰色の絵の具を筆につける。

「鋼の灰は、凶器の矛!」

降られた灰色の絵の具が山田の足元に付着した。

「ぐあぁっ!」

ずぶぅっと地面から太い刃が飛び出し、山田の右足を刺し貫いた。
ぐちゅっと嫌な音とともに、血がそこから服をじわじわと染めていく。

「ちくしょう!」

ばりっとわずかな電流が続き、リコのパレットを空中に弾き上げた。
しかし、その手にはまだ灰色の絵の具がついた筆が握られている。

「あなたもあの人同様に刺し貫いてあげます。」

リコが筆を振ろうとした時、

『タイム。』

『D』の声がステージに響いた。

「?」
『山田広海様に代わり、交代が出されました。速やかに山田広海様はステージから移動願います。』
「な、何だと・・・。」

山田は目を見開いて西側の通路を見た。

『それにより、河上洋子様。ステージへ移動お願いします。』



画家、リコがかなり強いキャラになってしまいました 山田の二重人格はそんなに激変させるつもりはなかったのですが、何故かこんな結果に
次回は山田の代わりに河上がリコとゲームをするようです。どちらが勝つのか!
次回もよろしくお願いします

今更ですが・・・更新遅れてすみません!











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