『リタイア』
後日、再び『D』からの手紙が桜、砂時、番長のもとへ届いていた。
内容はやはり衝撃と不安を与えるものだった。
拝啓
長谷川桜様
昨日はさぞ驚かれたことでしょう。使いの者が失礼なことをしませんでしたでしょうか。何分教育不足でして、そこは大目に見てやってくださいませ。
では、これから次のデッドゲームの説明をいたします。
手紙につらつらと長文を綴るのは私の趣味ではない。よって、ゲームが開催される場所に第1次予選をクリアした人々に集まってもらい、そこで直接説明することにしましょう。
場所と時刻を記します。
東京都中心部にある、とある巨大学校施設がありますでしょう?そう、名門で知られる私立若葉高等学校です。よく知っていますでしょう?
そこの門前に明日の午前8時前に集まっていただきたいのです。
もちろん、拒否権は御座いません。
何分私もルーズな方は嫌いで、少しでも遅れた場合はゲームオーバーとなりますのでお気をつけ下さい。
では、会えることを楽しみにしています。
では、これにて失礼。
敬具
D
明日は丁度日曜日だ。
当日桜は早朝に起きると足早に指定された場所へと向かった。
「『D』は本当に何考えてるのかな」
そう呟いていると、途中で番長と出くわした。それから肩を並べて目的の場所へと向かった。砂時は先に行っていると携帯からメールがきた。
私立若葉高等学校は有名な巨大学校施設であり、いわゆるお金持ち学校である。白い真新しい学校の門前には、以外に少ない8人のゲーム参加者達がいた。
「来たかテメーら」
「あ、砂時。おはよう。ねぇ、こんなに少ないの」
「いや、ここだけじゃなくほかの場所でも集められているらしい」
一体何人が参加しているのだろうか。ざわざわと話し声がする中、1人の少年が桜の足にぶつかってきた。
「あ…っ。ごめんなさい」
長い黒髪を後ろで結び、前髪で目を隠している少年だ。
「何してんだっ。早く来な!」
「は、はい! じゃ、じゃあ失礼します…」
門に近い場所にいた5人組の中の女性が叫んだ。少年は再度桜達に深く頭を下げるととことこ走って行った。
そのすぐ後、桜達の耳に『D』だと思われる声が響いた。
『ごきげんよう、皆様。私が招待状を出した方々はそろっているようですね。いや、嬉しいことです』
「いいから何のゲームをするのか教えろ!!」
怒っているのか、誰かが『D』に向かって叫んだ。
『そう焦らないでください。では、次に皆様にやっていただくデッドゲームは『リタイア』です』
リタイアは脱落するという意味であるらしい。
『ゲームをする場所はご察しの通り、この学校施設の中です。この中には部屋等全てに鍵がかかっております。学校の中を探し回って鍵を探し、部屋を開けてください。そのどれかの部屋に私の信頼する右腕が待っております。その右腕を倒した方、その方だけが無条件でこのゲームからリタイアできます』
「リタイアってどういうことだい?」
先ほどの女性が言った。
『デッドゲームから抜けていただきます。そのまま…そして通常の生活に戻ってもらいます』
通常の生活。
それが桜には何よりも魅力的な言葉に聞こえた。ルールではこのゲームを拒否したり、逃げ出そうとするならば、容赦なく参加者達は抹消されていく。今回ではそれがないというのだ。そこにいた全員が1度は平穏な生活を想像したことだろう。
『どなたでもリタイアされてもかまいませんが…私としては長谷川桜様。あなたにはぜひこのゲームに残っていただきたいものですね』
「!」
砂時と番長以外の全員が桜に注目した。
『ではデッドゲーム『リタイア』。開始いたします』
|