夕焼け縦書き表示RDF


勢いで書いた代物ですので、若干(ほとんどかな?)推敲を怠っています。すみません!内容ですが、かなり暗いですし、過激な表現も含まれています。また、バックグラウンドとしての世界は現実のものではありません。
夕焼け
作:ACES


戦力差は圧倒的だ。
自治都市の市民軍を1とすると、政府軍は5。
つまり、五倍ほどの差があるわけだ。
正面から立ち向かえば、アッと言う間に自分達は全滅するだろう。市民軍はゲリラ戦を展開し、なんとか都市への侵攻を防いでいた。ある日、自治都市内で政府軍の特殊部隊の攻撃があった。その攻撃で、学生が大勢死亡した。生き残った学生の中に、市民軍に参加した人がいた。自分もその一人だ。そして今、最後の戦いが始まった。


・・・市民軍アジト・・・


各地で抵抗を続ける市民軍だったが、主に学生からの志願兵で守られるアジトが発見された。学生は政府軍が不当な制裁を加えてきているということを知っていた。だから学生の志願兵は市民軍のなかでも士気が高かった。しかし、訓練を受ける間もなく戦闘に参加していた者が多いため、各地で全滅の報告が相次いだ。アジトを守る戦いも終わりが近い。すでに大勢の志願兵が殺害された。もう戦えるだけの力は残っていなかった。政府軍の部隊が踏み込んでくるのも時間の問題だ。
「野郎!俺達は何もしてないのに、どうして攻めてくるんだ!」
隣にいた民兵の一人が叫びながら、手にした小銃を撃った。
「俺達が邪魔なんだろ。」
俺も小銃を撃ちながら答えた。
「ちくしょう。ぐあっ!」
答えた矢先、その民兵は銃弾を浴びて倒れた。さらに、倒れた民兵に駆け寄った別の民兵が、頭を撃ち抜かれて絶命した。
「くそっ!」
気付けば、怪我を負っていないのは俺だけだった。
「おい、お前、撤退するんだ。」
「な、なぜ?」
「ここにいるのは大勢の死体と政府軍だ。後退して味方と合流しろよ。」
「でも、」
男は手にした拳銃を俺に向けた。
「でも、もくそもねぇ!」
「、、、はい!」
「俺達が精一杯援護してやるよ。」
「そうさ、、、安心しろ。足止めくらい、、、なんてこと、、、ない。」
「俺たちの代わりにやつらをぶちのめすんだぞ。」

俺が走る準備を整えた瞬間、負傷者全員が立ち上がって、攻撃を始めた。
「いまだ!」
俺は走り出した。しばらくして振り向くと、合図をしてくれた男はすでに死んでいた。そして、踏み込んできた政府軍の兵士達が負傷者に止めを刺すのを見た。


・・・あれから一時間、自治都市内神社境内・・・


俺が市の中枢にたどり着いた時、戦いは終わっていた。自治都市は降伏した。
しかし、俺は潜伏を決めることにした。
既に街の広場や空き地、駐車場などへ、市民が集められていた。
住宅地の複雑な路地を抜けた先に、公園があった。
そこには、若い女性を無理矢理集める政府軍兵士の姿があった。
そして、一人の少女に向けられたのは、銃口だった。
俺は武器の残弾をチェックした。が、一発の銃声が少女の命を奪った。泣き崩れ、座り込む女性たちにに政府軍兵士は何かを言った。
直後、兵士達は女性を強姦し始めた。気の強い女性が抵抗すると、その女性は一発の銃弾により頭を吹き飛ばされた。それを見た女性たちは抵抗を止め、涙を流しながら歯を食い縛り、耐えるしかなかった。
(やつら!殺してやる!)
兵士たちは武器を放り出し、ひたすら暴行に手を染めている。俺は手にしたライフルを見た。
(やるなら、今しかないっ!)
俺は小銃を撃ちながら、突撃した。不意を突かれた政府軍兵士たちは次々と倒れた。兵士の半数はまだ生きている。しかし、境内にはいったところで小銃の弾が切れた。弾を補充する隙に兵士たちは武器を取り、俺はあっさりと殺されてしまうだろう。
(だったら!)
俺は小銃を武器に駆け寄った兵士に投げつけると腰にしまっていた拳銃を取り出して、そのまま武器に駆け寄る兵士を撃ち抜いた。
兵士の一人が腰のホルスターからあたふたと拳銃を取り出そうとした。俺がその兵士を撃ち抜くと、背後から別の兵が羽交い締めにしてきた。完全に動きを封じられてしまった。
膝を蹴り畳まれて膝まずくと、兵士の一人が不気味な微笑みを浮かべ、俺に銃口を向けた。
女性たちは悲鳴を上げて、見守る。
「英雄きどりかっ?このくそガキが!」
兵士は銃口はそのままに、羽交い絞めにされて無防備な俺の腹をブーツで蹴り上げた。続いて別の兵士が境内にあった木材で殴打してきた。
「ハァ、はぁ・・・」
「死ね。民兵野郎。」
兵士が引き金に指を掛ける。銃口を突きつける兵士がそう言った瞬間。守ると誓った婚約者のハルの顔が浮かんだ。
(死ねるかよ・・・!アイツが・・・ハルが待ってるんだ!)
「死ねる、かぁっ!」
俺は渾身の力を込めて、羽交い締めにしていた兵士を前方に投げた。
左の肩からゴキッという鈍い音がした。おそらく、肩の骨を脱臼しただろう。
近くに落ちていた自分の拳銃を拾った。
間一髪、敵の銃弾は外れ、俺は武器を持った兵士を射殺した。
続けて羽交い締めにしてきた兵士を撃ち抜くと、そこで弾が切れた。
直後、兵士たちとは別の服装の政府軍の人間が現れた。男は黙って、持っていた拳銃を撃った。腹に激痛が走り、その衝撃で俺は後ろにあった鳥居に叩き付けられた。
足元に、撃ち抜かれた腹部から流れた血液が滴った。一滴、一滴とその量を増やしていくのを無視し、撃った男をにらみつけた。男は俺を見ると、
「撤収だ。駆け足!」
と言って背を向け、歩き出した。兵士たちは慌てて服を着て、その場を去っていった。
「待て、、、よ!」
叫ぶと、激痛とともに多量の血液が吹き出るのがわかったが、俺は一歩一歩、追い掛けた。しかし、体は思いと反比例し、その場に倒れた。男は振り返り、夕日を仰いだ。そして、その場を後にした。
追いすがろうとする俺を、女性たちが制した。
「もういい!アンタはあたしたちを救ったんだよ!」
「ありがとう!ありがとう!」
俺の視界が、少しずつ歪んできた。
(終わり、、、か。あっけないな、、、。へへっ。)
倒れた俺の眼に、夕陽が焼き付けてきた。
(戦争やってたのに、綺麗な夕焼けだ。)

ユウヤ・・・

誰かが名前を呼んでいる・・・ハルの声だ。

(やっぱ、死ぬ前って幻聴が聴こえるのか。ハル、、、ごめんな。悲しませることになっちまったよ。ごめんな、、、約束、守れそうもない。)

ユウヤ・・・ユウヤ・・・!


(幻覚は、、、ないのか、やっぱり。声だけ、、、。でも、良かった。最期にハルの声が聴けて。)

ユウヤッ!

(幻聴、じゃないのか?)
俺がうっすらと眼を開くと、ハルがいた。幻覚でない、本物が。
ハルは涙を流しながら名前を呼び続けていた。
「、、、は、ル?」
「ユウヤッ!バカ!死ぬなよ!嫁にしてくれるんだろ!守ってくれるんだろ!?」
「、、、怒鳴るな、よ。ちゃんと聴こえて、るよ。なぁ、ハル。ありがとな。俺のために、泣いて、くれてるのか?」
「バカ!いつも心配ばかり!」
「悪かっ、たな。、、、最期にハルに逢えて、良かった。ハル、、、。生きてくれよ、、、。」
そう言って、俺の息は急速に弱まった。残された体力は、最後に、俺を笑顔にしてくれた。
(綺麗だ、、、)


ユウヤは夕日を見つめたきり、動かない。大好きな夕日を、ただ見つめている。
「夕日だよ。アンタの大好きな。ねえ。ちっちゃな頃から、アンタは夕日が好きで。アタシはそんなアンタが大好きだった。」
ハルはユウヤの亡骸を抱きかかえながら、ユウヤと同じように夕日を眺めた。
「・・・ねえ。まだ、届くよね。子供が出来たんだよ、、、子供の名前は、ユウって、決めたんだよ。夕日見たいに明るくて綺麗な子になるように。アンタとの子、、、ユウって名前に、、、。アンタに伝えようと、、、」
ハルは堪え切れず、大声をあげて泣き出した。


・・・七年後、旧自治都市 終戦記念公園・・・


「ねぇねぇお母さん。」
「ん?」
「お母さんには、大好きなものってないのぉー?」
「じゃあ、後で見せてあげるね。」
「うん!」

七年前の戦争の後でも、その公園はあった。広い公園は今では草原のようになっていて、家族や恋人の憩いの場となっている。
少女の母親は、今は亡き少女の父親の死んだ場所に立った。
「どれがお母さんの大好きなもの?」
「あの夕日だよ。」
「わぁ、、、!、、、綺麗だ!」
「ユウのお父さんは、天国から毎日、こんなふうに夕日を綺麗にしてくれるんだよ。」
「ふーん。」
「あのー。すみません。」
少女が振り向くと、そこには一人の男性が立っていた。
「私、サカキと言う者でして、あの、戦争終結後、ここで亡くなられた方の墓はどこにあるのでしょうか?」
「墓なら、ありません。」
「そうですか、、、残念です。」
「失礼ですが、何の用があるんですか。」
「、、、彼を撃ったのは私です。私は制圧部隊の司令官でした。、、、ここで集団暴行を働いたのも私の部下です。」
「あなたが、、、ユウヤを、、、!」
ハルは男をにらみつけた。今更、ユウヤのところにくるなんて!
「お母さん、、、?」
しかし、ハルが男を罵倒しようとした瞬間に娘のユウがそれを制した。娘の前で、怒るわけにはいかない。
「彼の御遺族をご存知ありませんか?」
「、、、娘のユウです。アタシは婚約者のハルです。」
「無礼を、お許し下さい。」
「それで、どのようなご用件で?」
「戦争の真実を伝えたいんです。話をお伺いできますか。」
サカキは懐から、手帳とペンを取り出した。
「真実は、1つだけです。戦争は何も産み出しません。ただ、深い痛みと悲しみと憎しみが残るだけです。」
サカキと名乗った男は、ハルの言葉を手帳に書き込んだ。
「、、、ユウヤの墓は、あの夕日です。」
「夕日が、、、?」
「彼は、今は夕日になって、私たちを照らしています。」
サカキは、夕日に向けて眼を伏せた。
「それでは、失礼します。あなたの言葉はきっと伝えます。」
サカキは最後にもう一度夕日を見つめ、その場を後にした。
「帰ろう。ユウ。」
「うん!じゃあね、おじさん!」
サカキに手をふる小さな子供の目が、ユウヤにそっくりだと気づき、ハルは夕日を見上げた。
「ありがとう。」


読者の皆さんから『わかりづらい』と評価をいただいたので修正しました。また、ジャンルも戦記に移項しました。僕の小説を読んでくれて、また評価していただいてありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。













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