表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

虹色のバラを探しに

作者: 青木ユイ

ある丘の上に女の子と病気のお母さんがいました。

お母さんはいつもベットで寝ていました。

お母さんの病気は、お医者さんからも治らないと言われていて、とても危険な状態です。


ある朝、女の子が起きると小鳥が部屋に入ってきて言いました。

「キミのお母さんの病気を治す力がある花があるよ!!」

「えっ?本当に?」

女の子はとても喜びました。

女の子と小鳥はとても仲良しです。

それは、小鳥がけがをして家の前で倒れていたのを、女の子が助けたからです。

体調がよくなった後も、小鳥はよく女の子の家に遊びに来ていました。

でも、女の子のお母さんが病気になったので、それから遊ぶことも少なくなりました。

ですが、女の子は小鳥にお母さんのことを話していたので、小鳥はそのことをよく知っていました。


女の子は知りませんが、小鳥は毎日女の子のお母さんの病気を治す方法を探していました。

そして、ついに小鳥はその方法を発見したのです。

といっても、小鳥はひとりで探していたわけではありません。

小鳥にはたくさんの仲間がいたのです。

そして実は、お母さんの病気を治す方法を思いついたのは森に住んでいるうさぎだったのです。


うさぎは、小鳥の一番の親友でした。

だから、小鳥が病気のお母さんのことを最初に話したのはうさぎです。

うさぎは、誰よりも真剣に病気を治す方法を探していました。

朝から晩まで、どんな怪しい植物でも自分で試しました。

そのせいで、うさぎは風邪をひいたりもしました。

ときには熱が出たりもしました。

それでも、うさぎは毎日探し続けました。


そして今日、風邪をひいていたうさぎの体調がすぐによくなるバラを見つけたのです。

しかし、使った瞬間バラは消えてしまいました。

すぐにそこら中探し回りましたが、全く見つかりませんでした。


「それで、キミに会いにきたんだ。キミにも一緒に探してほしい。」

「うん、わかった!!」

女の子は元気に答えました。

しかし、それを聞いていたお母さんは反対しました。

女の子はまだ小さいので、危険だと思ったのです。

それに、女の子は生まれてから一度も丘の下に行った事がないのです。

でも、最後には女の子の熱意に負け、お母さんは探しに行くことを許しました。


最初に女の子と小鳥は図書館に行きました。

虹色のバラについて何か書いてあるかと思ったのです。

でも、花図鑑にも虹色のバラおことは書いてありませんでした。


次に、女の子と小鳥は花の事をよく知っているおばあさんのところに行きました。

虹色のバラのことを聞くと、おばあさんはこう言いました。

「あぁ、そんなバラが昔あったかねぇ。本屋の奥にそんなことが書いてある本があるんじゃないかい?

さぁ、本屋に行っておいで。」

女の子と小鳥はおばあさんの言うとおりにしました。


女の子と小鳥は本屋へ向かいました。

本屋の店長にお願いをして、奥の本を見せてもらうことにしました。

幸い、女の子のお母さんと本屋の店長は仲が良かったので、病気のことは知っていました。

だから、すぐに入れてくれました。


二人がしばらく探していると、女の子がそれらしい本を見つけました。

その本の題名は「不思議な花」というものです。

開いてみると、目次がありました。

「バラ・・・あった!!」

女の子がバラのページを開きました。

そこには、とても美しい色のバラの絵が描かれていました。

「うわぁ・・・きれい。これ?」

「多分そうだよ。説明のところ、見てみよう。」

~説明~

・このバラは、どんな病気やけがも治すことができる。

・このバラは五年間以上枯れないとされている。

・このバラは、一年に一度しか咲かない。

・どんな環境・状況で咲くかは分かっていない。


「だって・・・。」

「い、一年に一度ってことは・・・この間使っちゃったじゃないかぁ!!」

小鳥はびっくりして飛び上がりました。

「え!?どうしよう!!お母さんは今年中しかムリなのに!!」

女の子は泣きそうになって言いました。

お母さんの病状は悪化していて、今年中しか生きていられないかもしれないと言われています。

食事をとることすら大変です。

「ど、どうしよう・・・。」

二人はあわてました。

「せっかく、あなたが病気を治す方法を見つけてくれたのに・・・。」

「あっ。」

小鳥は違う意味であわてました。

女の子は、小鳥がお母さんの病気を治す方法を見つけてくれたと思っていました。

小鳥は女の子に嘘をついているのです。

「あ、あのね・・・」

「どうしたの?何か思いついたの?」

女の子の頭の中はお母さんのことでいっぱいです。

「実はね、病気を治す方法を見つけてくれたのはぼくじゃないんだ。」

「えっ?」

女の子はとてもびっくりしました。

何しろ、小鳥は仲間も一緒に探してくれていることを、女の子に一言も言っていなかったのです。

それもそのはず。

小鳥とうさぎは特に熱心に探していました。

だから、女の子に会いに行く時間があまりなかったのです。

「ねえ、じゃあ、誰がお母さんの病気を治す方法を見つけてくれたの?」

女の子はとても不思議そうに聞きました。

小鳥は思い切って言いました。

「ぼくの一番の親友の、うさぎちゃんが見つけてくれたんだ!!」

小鳥が、今日すぐにうさぎのことを言わなかったのには、理由がありました。

うさぎが、そのことは女の子には言わないでほしいと言っていたからです。

うさぎは、とても恥ずかしがり屋でした。

だから、病気を治す方法を見つけてくれたのは小鳥だと言ってほしいと言いました。

でも、小鳥はどうしてもうさぎのがんばりを女の子に伝えたいと思いました。

直接関係のないうさぎが、自分が風邪になってまで病気を治す方法を見つけたという事を、女の子に伝えたかったのです。


小鳥は、細かくそのことを話しました。

もちろん、女の子はそれを嫌がることもありませんでした。

最後まで小鳥が言い終わると、女の子は泣きそうになっていました。

「わたしが何もせずに過ごしていた間に、探してくれていたなんて・・・。」

女の子は、小鳥に何度も謝りました。

でも、小鳥は首を振って言いました。

「一番探してくれていたのはうさぎちゃんだから、今度うさぎちゃんに言ってあげて?」

女の子は、少ししてからうなずきました。

「もしかしたら、まだ森にあるかもしれないんじゃない?」

女の子は、笑顔になって言いました。

小鳥は、どう答えようか迷いました。

うさぎが、虹色のバラを使った後に探しても見つからなかったのに、いまさら見つかるのか、不安だったのです。

でも、見つからないと決まったわけではないと思い、賛成しました。

「あるかもしれない。行ってみよう!!」

「うんっ!!」


女の子と小鳥は森へ行きました。

そして、何時間も虹色のバラを探し続けました。

しかし、結局見つかることはありませんでした。

女の子はくやし涙を流しました。

「もうちょっとで、お母さんを助けられたのに・・・。」

その時でした。

女の子が涙を落としたところだけが、虹色に輝きだしました。

「うわぁ・・・。」

二人は声をそろえて言いました。

そして、芽が出てきました。

そこで一度、成長がとまりました。

しかし、しばらくすると、また成長し出しました。

そして、つぼみができました。

そのつぼみは、虹色の光を放っていました。

二人は、その光景を黙って見ていました。

そしてついに、ゆっくりと花が開きだしました。

「わぁ!!」

二人は虹色のバラを見つけ出しました。

女の子はゆっくりと、その虹色のバラを摘み取りました。

「やったね!!見つかった!!見つかったよぉ!!」

二人はとても喜びました。

「良かった!!さ、早くお母さんのところに行こう!!」

「うん!!」

女の子と小鳥は立ち上がって、家に帰りました。


「ただいま!!」

帰ってくるとお医者さんがいました。

お医者さんは虹色のバラを見ると、とても驚きました。

そして、虹色のバラからとった成分をお湯に溶かし、お母さんに飲ませました。

すると、あたりは虹色に輝きました。

あまりのまぶしさに女の子はぎゅっと目をつぶりました。

次の瞬間、パリッと小さな音がしました。

その音に気が付いた女の子は、目を開きました。

すると、元気そうな顔をしたお母さんがいました。

お母さんの病気は治ったのです。


こうしてお母さんは健康な体になり、女の子と幸せに暮らしました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] すごく素敵なストーリーで、可愛らしさを感じました!
2018/04/26 20:53 退会済み
管理
[良い点] 読みやすかった ストーリーが良い [気になる点] 友達にさがしてもらうんじゃなくて、図書館でさがす 方が良いのかも⁉︎ [一言] お疲れ様でした❗️ よかったよ‼︎
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ