Happy X'mas
ついにクリスマスの日がやってきた。
私は今、大嶺高校の正門にいる。
彰輔君が来てくれるのを信じて、ひたすら待ち続けていた。
いつ来てくれるかなんて、手紙に書いてなかったからわからないけど、彰輔君ならきっと来てくれる。
彰輔君は、私に言ってくれたから・・・。
『―――どんな時でも・・・どこにいても・・・蛍が呼んでくれれば、すぐに駆けつけるよ』
この学校の屋上で、私に言ってくれた彰輔君の言葉・・・。
私はこの言葉を信じて、彰輔君を待ち続けていた。
朝の7時から・・・お昼・・・そして夕方・・・日が暮れそうになっても来ない・・・。
それでも、私は信じて待ち続けた。
・・・そういえば、いろんなことがあったなぁ。
彰輔君にあの世界で初めて会った時は、確かぶつかっちゃって・・・。
そして、一緒にこの学校に来て、絵を見て、遊んで、話して・・・。
あの時、電脳世界では友達も家族もいなかった。
辛くて、苦しくて、そんな中、やっと彰輔君を見つけて・・・。
とても、嬉しかったな。
でも・・・彰輔君に、いつまでも一緒にいてくれるか訊いたら、答えてくれなかった。
私は・・・その・・彰輔君のことが・・・好き・・・なのに・・・。
そんな風に考えていると、もう日は暮れ、夜になっていった。
さすがに、お腹が空いてきてしまった。
「・・・ご飯・・全然食べてなかった・・・」
私は、小さくため息をついた。
胸の辛さを吐き出すように・・・。
彰輔君のことを信じていたのに、来てくれなかったんだ。
すごく辛い・・・。
私は、正門から、一歩離れた。
すると、後ろから歩いてくる足音がした。
「・・・彰輔君・・・?」
私は振り向き、声をかけた。
すると、眼鏡をかけた見知らぬ男性だった。
やっぱり・・来てくれないや・・・。
私はまた、さっきよりも大きなため息をついた。
「蛍!!」
ため息をした途端、かすれながらも大きな声で、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。
私は振り返った。
目の前には、ぜぇぜぇと息を乱しながら膝に手を突いている、少年の姿があった。
私はすぐさま、名前を呼び返した。
「・・・彰輔君・・・」
やっと・・・来てくれた・・・。
つい、顔に笑顔が浮き出てくる。
こんなに幸せだと思ったクリスマスは、今年が初めてかもしれない。
彰輔君は、顔を上げてから笑顔を私に見せてくれた。
「ごめん!ちょっとバイト先の店長を説得するのに時間がかかっちゃって・・・」
「・・・ううん・・大丈夫・・・信じてたよ・・きっと会いに来てくれるって・・・」
私の目に、涙が溜まってきたけど、流すのはまだ早い・・・。
まだ、彰輔君の答えを聞いていないから・・・。
「・・・ねぇ・・彰輔君・・・」
「ん?何?」
顔を俯かせてから、意を決し、口を広げた。
「・・・あの世界の海浜公園で訊いた質問・・・覚えてる・・・?」
「うん・・・覚えてるよ・・・」
彼の今の返事で、少し自信が無くなってしまった。
でも、もう決めたから、言い切るしかない。
「・・・彰輔君・・・私は・・・」
私が、彰輔君に想いを告げようとした時、彼はそれを遮るように告げた。
「俺で良ければ、蛍と一緒にいさせてくれないか?」
「・・・え・・・?」
彰輔君は、満面の笑みで、私より先に言い切った。
「俺はいつまでも、蛍の側にいたい!!」
ついに堪えきれなくなり、私の感情が雫となり零れ落ちた。
「・・・私も一緒にいたい・・・いつまでも・・ずっと・・彰輔君の側に・・・」
私も満面の笑みを浮かべて、彰輔君に笑い返した。
涙のせいで、不器用な笑い方をしてしまったけれど、彰輔君はわかってくれたと思う。
彰輔君も嬉しそうだから。
彼は、私の右手を握って、こう言った。
「少し遅いけど、これからどこか行かない?」
もちろん、笑顔でうなずいた。
私は彰輔君と一緒に、手を繋いで街へ歩きだした。
―――いつまでも彰輔君と一緒にいられる、そんな『居場所』を見つけるために・・・。 |